子供の発音・滑舌が悪いという悩みを持っている場合には、耳鼻科に相談するのが一般的。

言語聴覚士が在籍しているところで小児の発達支援を行っているのであれば、発音の不明瞭さを評価して、はっきりしない音や聞き取れない音の修正を行ってくれます。

ここでは、4歳になっても発音・滑舌が悪い原因と、言語聴覚士が施す解決策を紹介します。

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4歳で発音・滑舌が悪い(不明瞭・はっきりしない・聞き取れない)原因と傾向

4歳になっても正しく言えない発音があったり、滑舌が悪くて何を言っているかわからないという悩みをお持ちの保護者にとって、どうしてそのような状態が起こっているのかが疑問に思うはずです。

そのまま待っていて改善するのか、もしくは言葉を治してもらうようなところに相談すれば良いのか判断に迷うケースも少なくありません。

発音が悪い、もしくは滑舌が悪いというのは、大抵が舌の動きが関係しています。

「話す」という行為は運動の一種なので、手先が不器用だったり、目で見て認識するスキルがゆっくり成長しているようであれば、発音が不明瞭である可能性があります。


4歳に多い傾向としては、サ行がタ行に置き換わってしまうことや、カ行がタ行に置き換わることもあります。

ほかにも、鼻の詰まりが長期的にある子供はマ行やハ行がうまく言えないこともありますし、舌尖帯短縮症と言って、舌を「ベー」と出した時に、中央部分が引っ張られてハートのような形になる場合には、ラ行がはっきり言えないこともあります。

主としてサ行・カ行が言えないという相談が多いのですが、生活環境や癖、体の作りによって言えない音があります。

日本語の発音は4歳半くらいで完成するのが一般的。

もちろん、早くから正しい発音でコミュニケーションが取れる子供も多いのですが、4歳までは日常生活の中で修正されるのを待つという考えを持っている方が多いもの。

それでも、周囲から発音の悪さを指摘されたり、滑舌が悪いからといって他の子供にからかわれたりするようであれば、早々に発音の修正を行う時期と考えるのがおすすめです。

舌の動きをはじめとした運動のスキルが原因

日本語を話すというのは、一種の運動と考えるべきです。発音する時には息を使って音を作り、口の形や舌の動きを連動させて色々な言葉に変化します。

でも、運動面が円滑にならなければ、発音できないものが生じたり、滑舌が悪くて明瞭さを低下させてしまうことがあります。

舌の動きは運動面の向上をボトムアップすることが重要です。

もしも運動面でうまくできないことがあるようであれば、それも併せて修正が必要になるかもしれません。箸やはさみなど、手先を使った作業が苦手という場合には、発音という複雑な運動がうまくいかないということが起こります。

4歳でうまく発音できない悩みとして多いサ行・カ行は、舌の動きが誤っていたり、うまく動かせないことで改善できずに悩むことになります。ですから、舌の動きを円滑にすることで、明瞭な発音の方法を獲得できます。

サ行がうまく言えない

4歳の子供がうまく言えない発音の中でも多いのがサ行ではないでしょうか。

誤りの傾向としては、サ行がタ行もしくは「チャ・チュ・チョ」に近い発音に置き換わるというものがほとんどです。

誤りの傾向としては、

  • 「サカナ」を「タカナ」と言ってしまう
  • 「シンブン」を「チンブン」と言ってしまう
  • 「スイカ」を「チュイカ」と言ってしまう
  • 「センセイ」を「シェンシェイ」と言ってしまう

このように、サ行がうまく言えないと、幼い印象の発音に聞こえてしまうため、「赤ちゃん言葉を使っている」と言われることが多いはずです。

まだ3歳の頃は、自分の年齢を「シャンシャイ」と言っても可愛いものですが、4歳にもなるとからかいの対象になってしまいがちです。

サ行がタ行に置き換わってしまう原因は、舌先が歯茎の裏に完全に付いた状態で言葉が発せられることが関係しています。

自分で「サ」と「タ」を1回ずつ発してみましょう。「サ」は舌と歯茎の裏との間に若干の隙間ができますが、「タ」は舌先で空気の通りを一度ストップさせてから発します。

また、サ行が置き換わるのではなく、子音成分といってサ行の元になる音が削れて「ア・イ・ウ・エ・オ」の母音に聞こえてしまうこともあります。

  • 「サカナ」を「アカナ」と言ってしまう
  • 「シンブン」を「インブン」と言ってしまう
  • 「スイカ」を「ウイカ」と言ってしまう
  • 「センセイ」を「エンエイ」と言ってしまう

このような誤りだと、滑舌が悪くて伝わらないということが多く、相手は子供の言葉を予測しながら会話を理解しなければならなくなります。舌が全然動かずに発してしまうと、サ行の成分が省略されてしまうのです。

カ行がうまく言えない

サ行と同じように発音が明瞭にならないものの代表格がカ行です。

ガラガラうがいができないという子供は、カ行がタ行に置き換わって出てしまうことがあります。水が入っていない状態でうがいのマネがうまくできないということは、舌の奥が上にあがっていないサインです。

サ行とは違って、舌の後ろ側の動きが不十分であることが原因で、発音できない状態が起こってしまいます。間違いのパターンとしては以下の通りです。

  • 「カラス」を「タラス」と言ってしまう
  • 「キリン」を「チリン」と言ってしまう
  • 「ケーキ」を「テーキ」と言ってしまう

カ行がうまく言えない場合には、相手は本人の発音を聞いて推測しなければなりません。

大よそのルールがわかるようになると推測は簡単ですが、聞きなれていない人が対応すると、「何を言っているかわからない」という状況が生まれてしまいます。

発音が悪いことで診断される構音障害は治療可能

発音が悪いということで医療機関に相談をすると、「構音障害」という診断を受けることがあるかもしれません。

でも、あくまで現状の発音に対する評価であって、発音できない状態や滑舌の悪さは正しい発音のコツをつかむことで、容易に症状の解消が実現します。改善の見込みがないわけではなく、正しいイメージを作ることで解決できることを知っておくべきです。

構音障害はトレーニングで解決を早めることができます。その専門職が言語聴覚士という聞こえや言葉、摂食に関する支援を行う職業です。

4歳は意識して発音する癖をつける絶好のチャンスです。真面目に取り組めば、その日のうちに正誤の違いに気づくことも珍しくはありません。

評価を正しく行ってくれるところであれば、その後の解決に向けた行動にも迷うことはありません。

耳鼻科で行われる言語聴覚士の評価

4歳で発音・滑舌が悪いという状態を保護者が感じているようであれば、言語聴覚士が在籍している耳鼻科を受診して、現時点の発音を評価したもらうことが必要です。

そこからどのような支援を行うべきかを検討してもらうことこそ、解決のための第一歩と言えるでしょう。

言語聴覚士の評価は実際に子供の発音を聞くことから始まります。流れとしては以下の通りです。

  • フリートークをしながら発音の評価を実施する
  • 「構音検査」という絵カードを見て単語の名前を言ったり、文章を読んだり、1音ずつ提示された言葉の真似をしながら発音の評価を実施する
  • 保護者から子供の発音で気になるところを伺う

このような対応から、子供がうまく言えない発音の特定を行います。言語聴覚士が評価する前に、医師の診察で舌の動きを確認したり、発音に関わる部分の先天的な異常が無いかをチェックします。


発音に関するものとしては、身体的な発達のチェックも必要不可欠です。

発音も運動の一種なので、手先の運動が弱かったりする場合にもうまく言えないという状況が生まれます。保護者にとっては驚きの事実でしょうが、運動全般に目を向けた評価を言語聴覚士が見立ててくれるでしょう。

ほかにも、言葉の発達を調べるための知能検査や心理検査が行われることもあります。発音だけに注目するのではなく、言葉全般から発音を見つめてくれるのが言語聴覚士の存在です。

4歳はトレーニング開始のターニングポイント

4歳で発音のトレーニングを行うのは、決して遅いわけではありません。

日本語の発音が完成する年齢に差し掛かるため、そのタイミングで修正を行うのが介入の効果を高めます。癖が積み重なって修正が難しくなる小学生以降とは違って、まだ日本語としての発音のイメージが容易に変えられる時期です。

4歳になると大人の指示を聞いて行動する力が成長します。見たものを再現する力も高まる時期です。

ということは、発音が悪いという悩みや、滑舌が悪くて伝わりにくいという状況を修正する時期として子供自身の手間を省くことになりますし、保護者の心配が早期に改善されて喜べるという相乗効果が期待できます。

ヤル気がアップした子供は一生懸命練習に励み、正しい発音の癖をつけることができます。すると、小学校に入るまでにサ行やカ行、そのほかの気になる発音が「綺麗になった」という感覚に繋がります。

3歳でも発音がうまく言えない子供がたくさん存在しますが、トレーニングを実施するには早いと判断されることもあります。自然に修正される可能性がまだ高い時期だからです。

ところが、4歳になっても変わりがないのであれば、発音に関わるどこかの動きがうまくいっていないという判断が行えます。そこの修正さえできれば、トレーニング終了の日は遠くありません。

4歳児の発音・滑舌が綺麗になるトレーニング・練習方法!

発音の明瞭さをアップさせるためには、運動の制度をアップさせるようなトレーニングを行うべき。

サ行やカ行をはじめ、言えない発音がある原因の大半は、舌の動きが十分ではないからです。意識して動かすことができるようになると、言葉の出し分けが簡単になります。

大人は「カ」と「タ」や、「サ」と「タ」の違いを自分の体で確かめることができるはずです。それは、2つの音の違いを記憶しているからではないでしょうか。

ところが、4歳の子供は自分の運動のコントロールを意識して制御するには経験不足です。だからこそ、発音に関わる運動面のトレーニングを行う経験が必要になります。

意識して動かすことを毎日コツコツ続けていると、やがては運動の範囲が広がったり、確実性を高めることができるようになります。ほんのわずかな運動調節が発音を分けるからこそ、うまく言えないイメージを払しょくするようなトレーニングを行いましょう。

どういった内容の鍛錬を積むべきかは、言語聴覚士のかじ取りがあると着実な進歩が見られます。まずは現状の把握と今後の相談を行うことから始めてください。

器用さをアップさせると効率的

発音を綺麗にするためのトレーニングは、器用さをアップさせることが大切です。

具体的には、口の動きや舌の動きのスキルアップを図るべき。毎日の歯磨きのときに5分でいいので、意識して動かすことを子供と一緒に行いましょう。

■「ウー」「イー」と口を交互に動かす
しっかりと口すぼめと口角を横に引くように意識させるのがポイント
■アッカンベーと舌を出し、勢いよく舌を口の中に引っ込めるのを交互に行う
できるだけ唇よりも舌を前に出すようにする
■口を開けて舌を少し出して、舌の力を抜いて10秒キープする
舌の中央がお皿のように窪むのが目標
■舌を口の中で挙上させて上の歯茎の後ろに舌先をつける
「ラ」を言うときに舌先がつく位置を触るようにしましょう
■舌先で唇を時計回り、反時計回りに舐める
ゆっくりと1回転なぞるように動かしてください

このような運動を毎日の歯磨きタイムに追加してみましょう。初めはうまくできないかもしれませんが、意識を向けることでコントロールがしやすくなります。

また、手先の運動の質をアップさせることも大切です。

4歳になるとお箸や鉛筆、はさみといった手先を使った運動のスキルが磨かれる時期です。手を使って自由に運動をコントロール力は、やがては口や舌といった細かな動きにも反映されます。器用さをアップさせることは、発音改善の近道とも言えるでしょう。

発音・滑舌の悪さは早めに相談をするべき

子供の発音が気になる保護者は、4歳という時期に「待つ」のではなく、早めに相談を行って問題解決の糸口を見つけてもらうべき。

できることはたくさんありますし、子供の状態に合わせた成長のステップを専門家から指導してもらうことで、困り感の早期解決が実現します。

滑舌が悪いという悩みに対しても、どのような方法で経験を積ませるべきかの指導を行う施設が地域にあるはずです。相談先がわからない場合には保健センターに問い合わせを行うと、発音のスペシャリストが在籍している言語聴覚士に繋いでくれるでしょう。

癖が定着する前に手をつけることこそ、お悩み改善のタイミングを早めます。