4歳は言葉巧みにコミュニケーションを取る時期です。イメージしたものを発するスキルも発達します。

でも、偏りのあるやり取りによって問題が生じる時期でもあります。会話がちぐはぐだったり、一方的に話しかけてくるだけで会話のキャッチボールが成り立たないという悩みを抱える時期でもあります。

ここでは、意味不明な言葉・一方的で会話が成立しないなど、4歳児と保護者の関わり方について説明します。

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4歳で会話が成立しない・ 会話が一方的で質問に答えられない、ときに考えられる原因

4歳になっても会話が成立せず、意味不明なことを伝えてくるような状態は、何らかの原因が保護者の心配を刺激しています。

うまくやり取りができないという状態を放置していても、関わりが一方的になって「伝えられない」というイライラが募るばかり。

一般的な4歳は質疑ー応答が上手になり、よほど難しい内容でない限りは、質問に答えられないということはありません。むしろ、どんどん伝えたいという気持ちを表現するために、言葉を巧みに操るという印象を抱くものです。


会話が成立しないという印象は、言葉全体が遅れている場合もあれば、人との関わりが苦手で、普段の実力が発揮できないという場合もあります。発音が不明瞭で相手が聞き取れないということもあるので、原因を突き止めて解決へ向けた行動を起こすべきです。

待っていても解決するものは少なく、意図的に関わることで促されるスキルもありますから、会話の状況を踏まえて然るべき対応を求めましょう。

言語発達遅滞の可能性

年齢よりも言葉の発達が遅れているという状態を、「言語発達遅滞」として診断することがあります。子供の言葉の発達が行える小児科や耳鼻科を受診し、言語聴覚士や心理士の評価によって確認することができます。

4歳になっても保護者がイメージするような発達を遂げていないのであれば、まずは実年齢とどれくらい成長の差が生じているかを知るべきです。

年齢よりも半年以上の発達の差がある場合には、何らかの対処が必要と考えるべき。もしも1年以上の遅れがあると判断されたのであれば、専門的支援を受けて関わり方の調整を行ってもらいましょう。


4歳は一般的な会話のやり取りができる年齢なので、ある程度の質問を投げかけてもリアクションが得られます。でも、質問に答えられないという状況が多く感じられるようであれば、次の2点の成長に心配が及びます。

  • 言葉の理解がうまく繋がっていない
  • 表現する言葉が出てこない

理解するスキルが磨かれていなければ、そもそも会話がちぐはぐになってしまいます。保護者の言っている内容も、意味不明に感じられているのではないでしょうか。

表現する言葉が出てこないのであれば、返答するためのレパートリーが足りないことが考えられるでしょう。言っていることは理解できていても、返答が意味不明になるようであれば、言語発達遅滞として認められます。

発達障害による偏りの出現

4歳で会話が成立しないという状況で保護者が心配するものの代表格なのが発達障害。

発達障害には色々なタイプがあります。一見するとわからないような症状のこともあり、周囲からは理解されないことも少なくありません。でも、保護者にとっては一般的な4歳とは違う何かを抱えているという思いがあり、発達の相談を希望することがあります。

発達障害は関わりをはじめとしたコミュニケーションの偏りを呈するものです。4歳で困ることは複数存在しますが、以下にいくつか例をあげますので、該当するものがあって解決に困っている場合には、発達の評価を行うべきです。

  • ほかの子供との遊びに興味を示さない
  • ルールのある遊びを一緒に楽しむことができない
  • 言葉の指示を聞いていても衝動的に自分の興味の向くまま行動してしまう
  • 場面に相応しくない言動や行動を繰り返すことがある
  • 対大人とはやり取りができても子供同士での意思疎通が難しい
  • 自分なりに落ち着いていられるルールがあり、そこから外れると乱れることが多い
  • 人と視線を合わせてやり取りを行うことが少ない
  • 我慢ができずに一方的に要求を求めることが多い
  • 文でのやり取りを行わず、単語単位の言葉しか口にしない

このように、発達の偏りに対する気づきのポイントはいくつも存在します。


言葉の成長が詳しくわからなくても、保護者が考える4歳とは違った部分があるようであれば、何らかの解決ができるかを考えてみてはいかがでしょうか。そのきっかけが、言葉の発達を言語聴覚士をはじめとした専門職に診てもらうことへと繋がります。

会話が一方的で質問に対する返答が苦手な子供は、自閉スペクトラム症に含まれる広汎性発達障害を呈する場合がありますが、必ずしもその診断が下るわけではありません。

まずは発達の偏りを知ることから始めると、子供の困り感を保護者が認識するに至ります。

発音が不明瞭な構音障害も考えられる

保護者は長年一緒に過ごしていることもあり、子供の発音が不明瞭でも分かり合うことに不便を感じていないことがあるのですが、幼稚園や保育園では、「言っていることがわからない」「宇宙後のように聞こえる」といった印象を持っていることがあります。

ほかにも同じような子供を保育してきた経験があるスタッフがいるところでは、「構音障害ではないか?」という指摘を受けることもあります。

日本語の発音の完成は4歳を過ぎてからなので、まだ不明瞭であっても構わない時期ではあります。

ただし、発達の早い子だと2歳代でサ行やカ行といった正しい音を獲得する時期が遅いものでも明瞭に表出することもあるので、周囲と比べて幼いという印象を持ってしまうのは否めません。


舌先の動きが未熟であれば、当然ながら舌の微妙な動きが関与するカ行・サ行の発音習得は遅れます。手先をはじめとした体の動きが粗大であれば、細かなコントロールが必要となる発音が不明瞭になってしまうのは仕方ありません。

その結果、会話が成立しないという状況が起こります。そのまま過ごしていても正しい発音を獲得することもあるのですが、4歳になると周囲からもからかわれることが増えてきます。

専門家へ相談することで解決できるものがたくさんあるので、早めに相談するのが良いでしょう。

4歳の会話のスキルを伸ばす関わり方・対処法

子供の言葉の問題は、スキルアップを促すような関わり方や対処法を保護者が実践することで小さくできます。何をしなければならないかを明確にしてもらうことができると、それだけでも日常的な困り感が解決されて、育児に対する負担の軽減が図れます。

会話のスキルは子供ながらにコツをつかむべき。その道を示してくれるパートナーに協力してもらえると、成長を細かく把握しながら、日々の関わりで喜びを感じられるようになります。

そのための一つのポイントが、質問ー応答の関係を成立させる関わりを持つことなのです。

子供の特徴を把握する支援をコーディネートしてくれる言語聴覚士と繋がれるのであれば、会話が一方的で成立しないのがどうしてなのかを紐解いてくれます。専門的な見地から成長のエッセンスを与えてくれるのは、成長のスピードアップにも影響します。

質問ー応答を成立させる意識を持つ

4歳の子供は質問ー応答の関係がそれなりに成立します。

年齢や氏名を聞くと教えてくれるでしょうし、幼稚園や保育園であったことを教えてくれる時期でもあります。家族のことや自分のことを説明するのも上達する時期です。

「〇〇ってなあに?」といった知識の説明をしなければならない働きかけにも応答してくれます。「もし〇〇だったら」といった想像を巡らせて答えるようなものにも、ある程度具体的な表現が使えるのが一般的です。


4歳になっても会話がちぐはぐな場合には、質問ー応答の関係が成立していない場合が考えられます。

どんな質問には答えてくれるかを保護者が把握できていれば、次のステップの設定ができるようになります。

「なに」「だれ」「どこ」のように、単語単位で答えるだけでもやり取りが成立するものがわかっているようであれば、「どうして」という疑問に対する説明ができるかを確認してください。

もしも「〇〇だから」という返答が無いようであれば、答え方のモデルを保護者が示してあげましょう。


子供は大人の表現を聞きながらコミュニケーションの学習を行います。子供が説明できない状況には、説明のモデルを聞かせてあげるようにしてください。

「どうして」「〇〇だから」という対になる質問ー応答の関係がわかるようになると、人に伝える力が豊かになります。

簡単に質問ー応答の体験が積めるものは、いわゆる人間観察です。

人が見渡せるような飲食店で子供と一緒に食事をしていると、周囲の人の動きを見ながらさりげない質問が投げかけられます。

たとえば

  • 「どうしてあの子は泣いているのだろうね?」
  • →「ママがいないから泣いているんだね」「おもちゃを買ってほしかったんだね」といった状況を確認しながら説明してあげる機会が作れます。
もう少し発展させて聞くのであれば、

  • 「もし、〇〇くん(ちゃん)のママとはぐれたらどうする?」という質問をしてみるのも良いでしょう。

言葉のキャッチボールをするには、話し手と聞き手の関係をきちんと理解することが大切です。子供が聞いて「なるほど」と思えるような時間が演出できると、「伝える」だけでなく情報をキャッチすることにも意識が向けられます。

子供の特徴を把握するための支援を受ける

子供の発達状態を把握することは、次に何を経験させると成長に繋がるかが明確になります。

医学的な診断を受けるのであれば児童精神科医が在籍している施設へ相談しましょう。もしくは、言語発達の評価を行ってくれる言語聴覚士に繋いでもらうことができれば、現在の成長がはっきりします。

一方的に話してしまうという悩みを持つ保護者が子供の評価を求めても、一様に同じ結果が出るわけではありません。

色々なパターンがあって、これから何をしなければならないかも家庭によって違います。一人一人のコーディネートをしてくれる専門職に繋がることこそ、見えない成長への不安を解消してくれます。


4歳になっても会話が意味不明で伝わりにくいという悩みを抱えている場合には、地域の保健センターへ連絡してみましょう。すると、相談先の紹介を行ってくれるでしょうし、迅速な対応ができるお手伝いをしてくれます。

定期的なトレーニングを必要とする場合もあるでしょうし、発達の状態を把握して、家庭で関わるポイントを提示しながら成長を適宜チェックするフォロースタイルで進むこともあります。

療育と名の付くサービスは地域にたくさんあるでしょうが、まずは子供の状態を把握することから始めてください。すると、うまく繋がっていないコミュニケーションのスキルをバックアップする道が切り拓かれます。

原因を探って適切な対応をすることが成長を養う

4歳という年齢で言葉の成長に対する心配事を小さくする動きは効果的です。なぜなら、子供の成長は保護者が想像する以上のスピードを発揮して、スキルアップが実現できるからです。

小学校で学習をするための構えを作る幼児期。そこでコミュニケーションの基礎を学ぶことは、良好な人間関係を築くうえでも重要です。


会話がうまくできない子供は、そのままだと周囲からも関わりにくさを指摘されるようになってしまいます。幼稚園や保育園で楽しく過ごせないという状況は、子供にとってもストレスです。

どうして関わりが一方的なのかを調べていくと、子供の困り感に触れることができ、適切な対応によって問題を解消、もしくは小さくすることもできます。そのためにも、原因を探るという行動をとるべきです。

4歳はまだまだ変化に富んだ時期なので、今後の関わり次第で大きく変わるきっかけが作れます。保護者の頑張り次第で当初の心配が解決できるのであれば、単に見守るのではなく積極的に介入するべきです。