川崎病、あまり聞いたことのない病気かもしれません。
でもこの病気を医師から告げられて次に聞く言葉はほとんどが「即入院」でしょう。というのもこの病気は早期発見と早めに治療することが後遺症などを残さないカギとなるからです。
なぜでしょうか?それはこの病気が血液の炎症の病気で、それにより様々な合併症を引き起こし、心臓に後遺症や心筋梗塞などを引き起こし命を危険にさらす可能性があるからです。
ここでは川崎病の症状には一体どのようなものがあるのか、症状のでかたに順番があるのか、また他の人にうつることがあるのかどうか、最後に私の下の子が発病した時の話などをお話します。
子供(乳児・幼児)の川崎病の初期症状は?
川崎富作という博士が1967年に「急性熱性皮膚粘膜りんぱ腺症候群」という病気を発見しました。その博士の名前をとって川崎病という病名になりました。よく公害病と間違える人もいますが(私も当時医師からその名前を聞いた時はそう勘違いしました。)、これはその病気とは全く別のものです。
発見から50年がたったとはいえ、まだ新しい病気ですので全てが明らかになってはいません。ただ、原因不明ではありますが、早期発見と早めの治療を行えば完治する病気でもあります。
川崎病は主に以下の症状がでてきます。
- 発熱
- 発疹
- 目の充血
- 唇の腫れ・出血といちご舌
- 手足の腫れ
- 首のリンパ節が腫れる
1.発熱
急な高熱をだします。38度台〜40度台の熱が3日以上続くようだったらまずは受診をおすすめします。
川崎病の場合、解熱剤を使用してもあまり効くことがありません。効いたとしても薬の効果が薄れていく頃にまた熱が上がるということを繰り返します。3,4日以上続く高熱の場合は川崎病も頭に入れて病院を受診しましょう。
2.発疹
大きさの異なる大小の発疹が全身にでます。また川崎病は血液の炎症の病気ですので、全身の発疹とともに「(乳児において)BCG跡が赤く腫れる※」ことがあります。
もし発熱、発疹が見られ、かつこどもが乳児の場合は、BCG跡も赤く腫れているかどうかも合わせてチェックしましょう。このチェックは川崎病と確定するポイントには入らないのですが、BCG跡が赤く腫れる病気は川崎病以外ほとんどないため、この部位が腫れていたら「もしかしたら川崎病かも」と頭に入れておいたほうがよいです。
3.目の充血
先程もお話したとおり川崎病は血液の炎症の病気ですので、両目の白い部分が赤く充血する症状もでてきます。
目の中の一本一本の血管がくっきりわかるほどに充血している、片目だけでなく両目にそれを確認することができる、充血しているのに目やにがほとんどでない、などです。
4.唇の腫れ・出血といちご舌
唇が赤く腫れ出血する場合もあります。また舌全体が赤く腫れ、赤いプツプツがでてきます。まるで舌がいちごのように見えるため「いちご舌」と呼ばれるものです。口の中の粘膜部分が真っ赤になることもあります(びまん性発赤)。
5.手足の腫れ
発症してから10日以内に一番表れる症状です。手足がパンパンに腫れ上がりその後回復に差し掛かると、手足の皮がポロポロ剥けたりします。
6.首のリンパ節が腫れる
首のリンパ節が腫れて痛がります。川崎病の患者のこどもは「機嫌が悪い」様子が多くみられるのは、この首のリンパ節が腫れて痛いからではないかという見方があります。見てわかるほどに腫れるものもありますし、触ってもわからない程度のものもあります。
以上、6つの症状のうち5つ以上が当てはまるようなら川崎病と診断されます。またこの6つ以外にも下痢、嘔吐、黄疸、腹痛などが表れることがあります。
症状の順番、不完全型の川崎病、うつる?川崎病の初期症状以外に知っておきたいこと
ここでは、川崎病は症状がでる順番はあるのか、不完全型の川崎病があること、川崎病はうつる病気なのか、初期症状外の疑問や知っておきたいことを紹介します。
川崎病は症状のでかたに順番がある?
症状のでかたに順番があるのかについては、ないと思います。個人によってでかたに差がありますし、症状が同時にでたり、順番が逆にでたりすることもあるでしょう。
症状の覚え方(ゴロで覚えるなど)もありますが、それらを覚えるよりも注意深くこどもの様子を観察し、できればメモしたり可能なら撮影しておくほうがいいですね。メモや写真を受診時に担当医に見せれば口頭で伝えるよりももっとよく伝わります。
軽い川崎病?
6つの症状のうち4つしか当てはまらなかった場合は不完全型の川崎病と診断されます。
ところが、症状が出揃わないために診断が遅れたり、いったん症状が落ち着いたので川崎病治療のメインとなるガンマグロブリン治療がなされなかった後、心臓に問題が見つかってしまったケースもあるので、不完全だから、症状が軽いから、と安心せずに適切な早期治療を医師に求めていきたいところです。
川崎病はうつることはある?
未だに原因不明の病気でなにが原因で発病するのかすら解明されていない病気ですが、ウィルスや菌などで感染したというケースは報告されていません。また隔離して入院させるという病院もありません。よって、うつる病気ではないということが言えます。
ただ、川崎病になったこどもの数%に再発があることがわかっています。また、うつる病気ではありませんが、兄弟姉妹でかかる場合が2%ほどあります。これは遺伝的なことが関わっているのではという見方があります。
我が家の下の子も8ヶ月の時に川崎病に!初期症状から川崎病と診断されるまで
ここで私の下の子も川崎病になった時のことを話したいと思います。
発熱〜
下の子は生後8ヶ月の時に川崎病で入院しました。クリスマスの時期、急に高熱が3日間ほど続き、解熱剤を使用してもまったく下がらず、嘔吐や下痢を繰り返していました。
また横抱きで頭や首の下に腕を回して抱っこすると、体全体をビクンと震わせてその度に泣いていました。その時はなぜこんなに震えて泣くのかわからなかったのですが、今思うと首のリンパ節が腫れていて痛かったのだろうと思います。
かかりつけの小児科では突発性発疹ではないかという診断でしたが、発熱3日目の夜中に嘔吐し、全く水分を受け付けなくなってしまったので、慌てて夜間救急を受診しました。その時も風邪からくるものだろうと診断されたのですが、最後に医師が一言ぼそっと「BCG跡が腫れていたら川崎病なんだけどね。」と言ったのを聞いて、あっ!と思いました。
BCG跡の腫れ
「うちの子、BCG跡赤くなってます!」
全身の発疹はあまり気づかなかったのですが、唯一BCG跡が赤くなっているのだけは気になっていました。ですが、それが川崎病の特徴の一つとは全く知らずにいたのです。
すぐにBCG跡を診てもらい、ほぼ間違いなく川崎病だろういうということで翌日朝一番に受診しました。溶連菌検査も併せて検査した結果、川崎病で即入院となりました。(川崎病についてほとんど知識がなかったので、前夜帰宅してからは夫婦で延々と川崎病について調べていたらいつのまにか夜が明けたのを覚えています。)
朝の待合室で待っている間に、(前の晩まではほとんどなかったのですが)白目が赤く充血し、舌が赤くなってきたので、私も、「あ、これは先生が説明していた症状と同じだ」と思いました。
我が家の場合は
という順番で症状が表れました。
その後
ガンマグロブリン療法をして約10日間ほど入院し、退院後は定期的に心臓のエコーなど経過をみていますが、今のところ問題なく元気に過ごしています。
まとめ
原因不明である川崎病ですが、治療法が確立されているため、早期に発見して適切な治療を受ければそれほど極端に恐れる病気ではありません。ただ、しっかりと病後の経過も含めてみていく必要があるものではあります。
もし、高熱が3日以上続き、紹介した症状がいくつか当てはまるようなら、受診の際は「川崎病の可能性はありませんか?」と医師や看護師に聞いてみましょう。
お子さんが一刻も早くよくなりますように願っています。