場面緘黙(ばめんかんもく)、という病気を知っていますか?

この病気は精神的なことが引き金となって起こる、幼児期~学童期にかけてよく見られるものです。ですが、実態は日本ではまだ知られていないことが多いです。

ここでは、そもそも「かんもく」とは一体何なのか、原因や症状にはどのようなものがあるのか?ということについてまとめています。

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場面かんもくとは一体なに?

実はわたしの息子は場面かんもくです。

と言うと、知っている人には驚かれることも多いのですが、場面かんもくとは、「場面緘黙」と書き、「緘黙症」の一種として最近になってやっと、少しは市民権を得てきたという、未だ詳しく知らない人も多い「心のやまい」です。

緘黙症とは

ここで、そもそも緘黙症、というのは一体何か、ということについて説明します。場面緘黙と、完全なる緘黙症は、少し違ってきます。

緘黙症とは、ある決定的な出来事がきかっけとなり(きっかけがない場合もある)、「言葉を全く話さなくなる症状」のことで、多くは幼児期~学童期にかけて発症します。

緘黙症、とは、言語を司る脳に障害がなく、学習能力面でも全く普通であるにもかかわらず、日常生活のほとんどすべての場面において、自分から「話す」ということができません。

本当は、できないのではなく、潜在的に話さないことを自分で選んでいるのですが、完全なる緘黙症の場合には、家庭でも、幼稚園や保育園、小学校などでもほとんど一切「話す」ということをしません。

身振りや手振りで相手に自分の意思を伝えようとすることもありますが、完全な緘黙症の場合、それもあまり見られないようです。

そして、話さないことによって日常生活に支障をきたしている状態です。

場面緘黙症とは

場面緘黙症というのは、緘黙症の一種で、基本的なこと、例えば発症するきっかけがあること、話さない、ということは同じです。

完全な緘黙症と違うところが、「自分で話さない場面を決めている」という点で、別名、「選択性場面緘黙」とも言われます。先ほども書きましたが、わたしの息子がこれにあたります。

場面緘黙は、主に家庭では普通に話せるし、むしろおしゃべりで口達者であったりもします。

息子もまさにそうなのですが、ところが、いざ登園したり登校すると、園では(学校では)ほとんど自分から口を開く、ということがありません。

ですから、他の人とのコミュニケーションはもっぱら、身振り手振りや頷く、首を振る、などです。

他の人とのコミュニケーションが嫌いなのではなく、「どうやって話したらいいのかわからない」という場合が多くなってきます。

つまり、自分から話すときにキッカケがない限りは話せません。こういったことで、緘黙症と同じように日常生活に支障をきたす場合が多い状態です。

場面かんもくになる原因とは

わたしは、自分の息子が場面緘黙症だと知ってから、一体何が原因だったのだろうか、と毎日のように「原因探し」をしていました。

ですが、かんもくの原因というのは、本人にもはっきりとわからないことが多く、当然、親のわたしにすら、今までの日常生活の中の何が原因だったのか、未だにわかりません。

敢えて言うなら、境い目、のようなものはあったので、その話をしたいと思います。

幼稚園の年少さんの時期と、年中さんの時期とのあまりの違い

息子の様子がおかしいな、と初めて気が付いたのが、ちょうど幼稚園の年中さんの頃で、早生まれなので4歳前くらいでしょうか。

幼稚園では、よく生まれ月のお友達のお誕生日会をやりますよね?

そのお誕生日会に、年少さんの頃に行った時と、年中さんになってからの園での雰囲気が、あまりにも違っていたのでびっくりしたのです。

わたしはビデオで毎年撮影していたのですが、年少さんのときのお誕生日会では、みんなの前に出ても、ピョンピョン跳ねたり、ニコニコ笑ったり、楽しそうにインタビュー(将来なりたいものなど)に答えていたのですね。

ところが、最近おかしいなと感じ始めてから再びやってきた、年中さんのときのお誕生日会では、楽しそうどころか、緊張しているようでガチガチに。

そして、恒例のインタビューでも、やっとこさぽつりと一言、「運転手さん」と答える声が聞こえたくらいで、顔は引きつっているし、動作もぎこちなく、見ていてとても切なかったのをよく覚えています。

ここまでの間で、もう1年は過ぎてしまっているわけなので、年少さんから年中さんの間に、何か決定的なことがあったのは確かなのですが、どうしてもその、「決定的な何か」がわからないのです。

ある日突然に話せなくなるというわけではないらしい

わたしの息子のように、気が付いたら話せなくなっていた、ということがとても多いようで、ある日突然に、起きたら子供が話さなくなっていた、なんていうドラマのようなことはPTSDとは違うのでありません。

おそらくですが、原因があったとして、子供が話せなくなるまでの「プロセス」のようなものも、あるのかもしれないと思います。

例えば、風邪をひいたとしますよね。

そうすると、熱が出る前に、まず咳が出たり、体がだるくなってきたりといった、「前触れ」がありますが、それと似たようなことが重なって、結局、話せなくなる性格が形成されていくのかもしれないな、と思うのです。

少なくとも、わたしがあれこれ調べた限りでは、ある日突然話せなくなりました、といった場面かんもくのお子さんの話しはほとんど見かけませんでした。

ただし、息子の場合には、年少さんから年中さんの時期の間に、何か絶対に「きっかけ」となることがあったはずなので、親としてそれに気付いてあげられなかったことは、本当に今でも悔やまれます。

場面かんもくの症状は? 他の人が見てもすぐにわかるのか

場面緘黙の症状は、他の人が見てもすぐにわかります。

ただし、どんな風にわかるのかと言うと、「大人しい」「恥ずかしがり屋」など、その子の「性格」としてそのように認識されるだけで、実際にはその子が場面緘黙なのかどうかということは、他の人にはわかりません。

親がよくわかる主な症状

はじめに、親から見たらよくわかる症状にはどんなものがあるのかを説明すると、大きくわけてふたつあります。

  • ひとつ目が、「家では普通に話すし楽しそうで、言葉に遅れも見当たらない」
    ということです。
  • ふたつ目が、「園や学校など特定の場所に行くと全く話さなくなる」
    ということです。

この2点がまるっきり逆の様相を呈しているので、初めのうちは、親は、なぜ?どうして?となってしまいます。

なぜ家ではこんなに楽しい子なのに、外では全くの別人になってしまうのか、ということです。

つまり、親から見ると、子供は家と外(園や学校)では「全くの別人のよう」に見えるところが、親から見てもよくわかる症状です。

ちなみにわたしの息子は、だいぶよくなってきた今でも、公共の場で(人がたくさんいる場所で)わたしに話があるときには、耳元で小声で話します。

すっかり慣れてしまいましたが、初めのうちは、「はっきり言いなさい」など、言ってはいけないことも言ってしまったものです。(なぜ言ってはいけないのかは別のところで記述します)

他の人から見てよくわかる症状

周りの人から見ると、その子が場面緘黙なのだな、とすぐにわかる人は少ないと思いますし、わたしも他の人から、「もしかして場面かんもくなの?」と当てられたことは一回もありませんでした。

自分の子供を客観的に見てみるとこうなると思います。

  • 大人しすぎる
  • 自分から話しかけてくるということが全くない
  • 緊張しがちに見える
  • 動作がぎこちない
  • 話さないことに不自由を感じていないように見える

もしも、身の周りにこのような特徴を持っている子供がいたら、もしかしたら緘黙症なのかもしれません。

まとめ

今回は、場面緘黙とはどのような原因でなるのか、どのような症状が現れるのか、みついて解説しました。

もしも、自分のお子さんや周りのお子さんにこのような症状が見られたら、場面緘黙症なのかもしれないということも頭に置いて、注意深く見守ってあげてくださいね。