日本ではまだ馴染みの薄い、場面緘黙症ですが、自分の子供が場面緘黙症になってしまったらどのようなことに気を配ればいいのでしょうか?
日常での接し方や考え方、幼児期と小学生時期での子供への接し方について、実体験をもとに説明します。
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場面緘黙症はいつまで続くの? 子供の場合はどうなのか
お子さんや、接する子供が場面緘黙症だと、これはいつまで続くのだろうかということが一番気になるところですよね。
そこで、わたしの息子(場面緘黙症)の実体験をもとに、ケースごとで見ていきたいと思います。
発症した時期と、良くなっていく時期は比例しない
息子は場面緘黙を発症してから、かれこれ5~6年くらい経ちます。
その間にも、実生活は普通に進んでいくため、発症時に4歳くらいだった息子も、今では小学校高学年です。
多くのカウンセラーさんや専門家の意見に従って見守ってきましたが、みなさん口を揃えて言うのが「治るのには時間がかかり、きっかけが必要」というものでした。
つまり、場面緘黙の原因となったきっかけがあるのに対し、治るのにも何かきっかけが必要ということですね。
色々なお話を耳にする中で、治るきっかけになったのが「環境の変化」であるという話を聞き、色んな場面で期待してみました。
例えば小学校に上がるとき、新しい習い事を始めるときなどですね。
ですが、わたしの感想としては子供の人生の中でそんなに衝撃的なことが起こる機会なんて少ない、というものです。
ですから、ある一定の期間が過ぎればよくなるというわけではなく、逆に酷くなることもしばしばだと思います。さらに頑なになっていく、という表現がまさにピッタリです。
多くの場合は、子供が自分で気が付いて行くのでそこに期待!
わたしが思うのは、そのうちよくなりますよ、と適当に言うようなカウンセラーさんは、はっきり言って全く信用できないです。
なぜかと言うと、多くの場合が、歳が上がるにつれて酷くなるからです。そのうちよくなるどころか、ますます悪くなること請け合いです。
ただし、わたしの子供の場合は、「自分は話すことができない」ということを早くに自覚したんですね。これは大きかったです。
なぜなら、今までは、子供が話せないということを、親も子供に悟られないように、その話題にはほとんど触れずに生活してきたのが、「今日はどうだった?」「最近誰かとお話しできるようになった?」などと、わりと気軽に聞けるようになったからです。
ここまでくると、親はかなり精神的にラクになると思います。
そして、子供に自覚が出てきたころ合いから、「もうちょっと頑張ってみようか」といった、励ましも使えるようになります。
別に話さなくても構わないけれど、いずれ困ることもあるから、今のうちに少しでも意思表示ができるように頑張ってみようよ、という感じですね。
これは小さい子には使えないテクニックになってくるので、子供が自分で自覚を持ち始めたときがチャンスだとわたしは思います。現にそれで息子はだんだんとよくなってきています。
以上のことをまとめると、
- いつまで続くかはその子それぞれ
- きっかけがあって治る場合もあれば、きっかけがあっても変わらない場合もある
- 子供の成長とともに自分で気づき、なんとかしたいと思う場合もある
- 親はとにかく焦らない
ということが主に挙げられます。
荒療治は症状を酷くするだけ
これはぜひ多くの人に知ってもらいたいのですが、緘黙症は、必要以上に「ちゃんと話しなさい」と強要することで、ますます症状が悪化します。
緘黙症の子供は、話さないことで「周囲から自分を守っている」のです。ところが、周りのお友達や先生から、「大きな声で話して!」と言われると、それが非常にストレスになり症状がますます酷くなることが多いのです。
実際に、わたしの息子は、幼稚園時代のある先生から、大きな声で返事をすることを強要されたことがあったのですが、(そうなる前に親が先生に言うべきだったのですが)それが原因で一時期本当に酷くなってしまいました。
特に周りの大人は、話せないことに対して無理に話すように強要しないことがとても大切ですし、ぜひそうしてもらいたいと思います。
親は、周囲の人にあらかじめ子供の症状について話しておくと、子供にとってストレス要因がかなり減るのではないかと思います。言いにくいことですが、子供を守ってあげましょう。
場面緘黙症の子供との接し方とは?幼児期編
わたしは、自分の息子が場面緘黙になっても、特にいつもと変わらずに接していました。
ただし、幼児期~学童期に入るまではちょっとコツがある思うので、いくつかポイントを絞ってみたいと思います。
話せないことについては何も言わない
子供が話せないことによって、子供自身が幼稚園や保育園で嫌な目に合ったりすると、親としては可哀想で見ていられないですよね。
ですが、そこで、一番言ってはいけないのが、「あなたは話せないのだから仕方がない」といった、子供が困っていることをダイレクトに言ってしまうことだと思います。
これを言うのと言わないのとでは、その後が180度違うといっても過言ではないと思います。
家では楽しく普段通りに接する
それでなくても、子供は園生活で話さないことで身を守っている状態です。ですから、ものすごく緊張している状態から、やっと解放されるのが「家」ですよね。
親は、そんな子供に対して、いつも通りに接していればいいと思いますし、子供は家ではとてもおしゃべりになるでしょうが、頭の中で(これを外でやればいいのに・・・)と思っても、喉元から出かかったとしても、今は家で発散してるのだな、と思ってありのままを受け入れてあげるといいと思います。
息子は常にこの状態で安定してましたし、大人でも外であったことを家でも言われるのは辛いですよね。わたしはそう思って、一切言いませんでした。
場面緘黙症の子供との接し方、小学生編
小学生になってくると、ちょっと親も工夫が必要になると思います。というのも、学校は幼稚園や保育園とは違いますし、色んな子供がいっせいに集まる場所だからです。
そんな中でも、特に注意したいことについて挙げてみます。
低学年のうちに必ず学校の先生と連携が取れるようにする!
担任の先生との連携、これは絶対条件だと思います。
特にまだ低学年のうちは、周りのお友達も学校生活について手探り状態なので、子供が話せないということは、周りの子供に比べて圧倒的に不利なのです。辛いですが現実なんですね。
ただ、場面緘黙の子はその子なりに、クラスの中に染まって行こうとしますから、まずは様子を見て少し学校生活が落ち着いてから、担任の先生に「自分の子供が場面緘黙症であること」を知ってもらうべきです。
これは、子供が何か困ったことがあったっときに、先生におそらく自分から言うことができないことのためと、先生に無理に「話させようとしないでほしい」意思表示のためです。
特に後者は子供の精神的な安定を図るためには欠かせないと思います。
先生にも協力してもらって、子供が発言する機会をなるべく作ってもらうのは、高学年になってからで十分だとわたしは感じます。
まとめ
最近では学校の先生なども少しずつ場面緘黙症について詳しい人が増えているように思います。
ですが、中には「なぜ話さないのか全くわからない」先生も多いですし、周りのお友達も、初めのうちは、この子どうして話さないんだろう? と、不思議に思うようですね。
これは、周りの大人や子供にとっては当然のことなので、親はあまり過剰反応せず、特に学校の先生などにはきちんと子供の状態について、報告しておくことが大切だと思います。
いつよくなるのかばかりに気を取られることは、子供にとっても親にとっても精神的によくない状態になってしまいますから、親はどんと構えていて、いざというときにだけ守ってあげる姿勢が子供を安心させるのではないかと思います。