子供が場面緘黙症かもしれないと思ったとき、詳しい診断は一体どこでしてもらえばいいのでしょうか。

また、治療はどうやってするのか、病院の必要性や、通常学級に通えるのかについて、場面緘黙症の子供を持つ視点からご紹介したいと思います。

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場面緘黙症の診断とは

場面緘黙症は、こころのやまいです。ですから、診断にあたって、どの程度なのかということについては最低限知っておきたいものですよね。

わたしの息子は場面緘黙症ですが、なりたての頃~数年に渡ってどのような医療機関に相談に行き、どのような診断を受けたかの話しをしたいと思います。

一番最初に頼ったのは、地域の教育相談センター

わたしの住んでいる地域には、教育相談センターと心理発達相談センターという2種類の行政機関が存在します。

どちらも、子供(小学生~中学生くらい)と親が対象なのですが、場面緘黙であるらしいと判断した息子が小学校に上がると同時にいくつかの地域のこういった相談センターに電話をしてみました。

ですが、いわゆる心理発達相談センターというのは、自閉症のお子さんや心身の発達の遅れがみられるお子さんしか相談に乗ってもらえないらしく、あちこち電話をたらい回しにされた挙句、教育相談センターの管轄であるということになったのです。

場面緘黙症はこころのやまいですから、当然心理の方だと思いますよね?ところが違ったのです。これもやはり、日本において「場面緘黙症」というものが広く知られていないから起こる現実だと思っています。

ただし、教育相談センターにも子供担当の心理士さんはいるので、今となってはどちらも同じだったのかもしれない、とも思うのですが。

最終的な判断は専門医

実は場面緘黙症の専門医というのは、全国でも非常に少ないのが現状です。わたしも専門医を色々と探したのですが、住んでいる地域で民間での専門医はやっと一件見つかっただけでした。

大学病院と言う手もあったのですが、その前に一度専門医に診断してもらいたかったので、やっと見つけたときは本当にホッとしたものです。

ちなみに、わたしが見つけられたのは、子供の通う学校のスクールカウンセラーさんのおかげでした。色々と口をきいてもらい、ツテを使ってやっと見つけてくれたのです。

こういったことで、色々な人のお世話になってきたなと改めて感じます。

そして、専門医の判断は確かに場面緘黙症だけれども、そこまで酷くはない、というものでした。

つまり、専門医からすれば、本当に完全なる緘黙症の子供や大人を見てきているわけですから、その中では比較的軽いですよ、ということですね。

ともかく、これで診断がちゃんと出たわけですが、このように緘黙症の専門医はとても少ないので探すときに苦労するかもしれませんが、一度専門医に診てもらうとかなり安心するのも事実です。

具体的な治療法とは?息子の場合と、他の方法

治療方法について考えるとき、親は本当に迷うものです。何しろ、身の回りに場面緘黙症の子供なんてほとんどいないことが多いですからね。

ですから、すべて両親だけで判断しなければならないところが辛いところです。ここで、息子の場合はどうしたかということと、他のみなさんはどうしているのだろうというお話しをします。

息子の場合の治療方法

場面緘黙症について色々と検索したり、専門医と話したり、スクールカウンセラーさんに相談したりして、一度民間のグループセラピーもあると教えられたことがあります。

ですが、みなさん口を揃えて、民間のそういうところは場面緘黙の子は少ないでしょうと言うのです。つまりそれは、他のこころのやまいや、自閉症の子や、逆に注意欠陥障害など落ち着きのない悩みを持つ子供たちと、一緒になってグループで活動をするということなんですね。

ですから、それはちょっと違うな、と感じたのです。

そして、カウンセラーさんや専門医の話しによると、おそらく活発な子(落ち着きのない子)の方が多いだろうから治療になるかどうかわからない、という判断だったので、民間のグループセラピーという選択肢はやめることにしました。

その代わり、先に書いたように地域の教育相談センターの個人カウンセリングを利用しました。

結果としては息子の場合はよかったようで、カウンセラーの先生と仲良くなったり、学校でも挨拶程度はできるようになったりといったことがありました。

また、そういった機関は親の相談にも乗ってくれるので親子で助かりました。今では定期的にお電話をいただく状態となっていますが2年ほど通っていました。

他によく聞く治療法

そういった、地域のボランティア的な機関を利用しない人は、やはり専門医の指導のもと民間のグループセラピーなどに参加している場合が多いようでした。それはそれでいいと思いますし、子供に合う場合もあると思います。

ただし、これらのところは民間なため、無料ではないことがほとんどです。ですから、もし通わせるのであれば、信頼できる活動グループを吟味するべきだと思います。多くは保険が効かないためです。

その他には、地域の小児科さんでカウンセリングを定期的に受けているという話も聞いたことがありました。わたしはこれもいいなと思っていました。

なんにしろ、子供の状態を相談できるところがあるということが、親としては特に安心できる部分ではないでしょうか。

通常学級で大丈夫なのか?

場面緘黙症のお子さんがこれから小学校に上がるという人は、お子さんが通常の学校で大丈夫なのだろうかと悩むこともあるかもしれませんが、実は場面緘黙だけでは、いわゆる「支援学級」には入れません。

知らなかった頃は、わたしたちも夫婦で学校と連携している支援学級の見学に行ったことがあるのですが、そこで支援学級の責任者の人にあきれられてしまった苦い思い出があります。

支援学級には、主に知能に遅れがあったり問題がある、自閉症である、発達障害があるなど、日常生活で「薬を飲んでいないといけないレベル」のお子さんでないと入れないのです。

わかりやすく言うと、知能に何の問題もない子供はよほどのことがない限りは許可されないか、入ってもあまり意味がないようなのです。知能指数を計り、それを提出しなくてはいけませんし、その他様々な提出物もあります。

ですから、場面緘黙症の子供が支援学級に入ろうと思ってもほとんどの場合、そもそも入れないのです。したがって、通常学級での生活になります。

大学病院の検査も使いよう

これは余談なのですが、専門医のところに行ったときに、一度大学病院で知能検査を受けてきてと言われました。WISKというもので、いわゆるIQがわかるテストですね。

そこの専門医さんは大学病院と連携が取れていたために勧められ、実際に大学病院に行ってWISKを受けてきました。

その結果、知能に何も問題がないどころか指数的には高いくらいで、多くの場面緘黙症のお子さんがこういった傾向があるとのことでした。

ですから、先に書いたような支援学級はもちろん入れませんし、入る必要がないのですね。

ただし、こういったテストはとても細かく結果が出るので、やはり息子は「物事を早く決めてしまえる」といった「スピードに関する部分」のスコアが低めでした。

場面緘黙症の子供は、とても用心深いので、何事も失敗しないように慎重にやります。ですから、こういったテストを受けると、なるほどな、と納得がいきます。

もしも、支援学級も視野に入れている場面緘黙症のお子さんがいらしたら、一度こういったテストを受けさせてみるといいと思います。

親も納得できますし、子供の特徴も把握しやすいですよ。

まとめ

場面緘黙症だけではなく、子供に何らかの異常を感じる親は、よく「診断名を聞くと安心する」と言われているようです。

わたしもそうでしたが、確かに一体どういった状態なのかがわからないままでは親は不安なのですよね。ですから、周りの人がどう言おうと、親として明確な診断名を受けることはわたしは賛成です。

また、息子の場合のように小学校のスクールカウンセラーさんとも連携しておくと、普段の学校生活についても気に留めていてくれますし、親も相談しやすいですよ。