「ジカ熱」や「小頭症」という言葉を、ニュースで見聞きしたことはありませんか?妊娠中の女性や、妊娠を希望する女性には、ぜひ「ジカ熱」についての正確な情報を知っておいていただきたいものです。

今回は、この「ジカ熱」について、その病気や症状、特に妊婦が感染に気を付けるべきなのはなぜか、感染しないために、どのような予防策を講じることができるか・・・などを中心に、分かりやすくご説明したいと思います。

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ジカ熱とは?

ジカ熱(=ジカウイルス感染症)とは、ジカウイルスによって引き起こされる病気で、ジカウイルスを持つ蚊に刺されて発症します。

流行している地域

近年は、主に中南米を中心に、流行が拡大しています。それ以外にも、タイ、フィリピン、ベトナムなどでも感染が報告されているようです。

具体的な症状

数日から1週間の潜伏期間があり、その後、軽度の発熱・倦怠感・発疹・目の充血・関節痛・筋肉痛・頭痛などの症状が現れることがあります。

少し前に日本でも流行した「デング熱」に比べて、「ジカ熱」の症状は軽く、安静にしていれば4日から1週間の間に治るようです。もちろん、死に至るような危険な病気でもありません。

また、ジカウイルスに感染してもすべての人が発症するわけではなく、症状が全く出ないか、もしくは症状が軽く、感染したことに全く気づかないことさえあります。

感染ルート

ジカウイルスを持った蚊に刺される(血を吸われる)ことで感染します。それ以外にも、輸血や性行為で感染した例もあるようです。

では、妊婦さんが、この「ジカ熱」に特に注意すべきなのは、なぜでしょうか?次の項で見てみましょう。

「ジカ熱」と「小頭症」の関連性について

ジカ熱それ自体は、恐ろしい病気ではありませんが、妊婦さんがジカ熱に感染すると、お腹の中の赤ちゃんに影響が及ぶようです。

実際に、「小頭症」と診断された赤ちゃんの羊水や血液から、ジカウイルスの遺伝子が検出されたという報告が、多数寄せられています。

「小頭症」とは、その名前の通り、頭部が異常に小さい状態のことを言います。当然、外見でそれがはっきりと分かりますし、知能の発達の遅れなど、様々な障害を抱えることになります。現在のところ、有効な治療方法はありません。

ジカ熱にかかると、小頭症の赤ちゃんが必ず生まれる、というわけではないのですが、少なくとも、妊婦さんや妊娠を希望している方は、ジカウイルス感染には十分に気を付けたほうがよいのは言うまでもないことでしょう。

では、具体的にどのように予防すればよいのでしょうか?

ジカ熱を予防するには?

日本で普通に生活している限り、それほどジカ熱について心配する必要はないと思います。問題なのは、ジカ熱が流行している海外へ渡航する場合です。

妊婦さんは、そのような地域への渡航はぜひやめてください。また、ジカ熱は、人から人への感染はないと言われていますが、ジカ熱が流行しているところへ旅行に行った人との接触にも注意した方がよいでしょう。

特に2016年夏には、ブラジルでオリンピックが開催され、ブラジル~日本間での、人の行き来が多くなることは確実です。そのブラジルでは、2016年1月からの3か月間に、ジカ熱の発症件数が、なんと9万1,000件を超えたそうです。

ジカ熱が大流行したブラジルから日本への渡航者により、日本本土にジカウイルスが持ち込まれる可能性は十分あり得ます。

蚊は、ジカ熱だけでなく、いろいろな危険な病気を媒介することがあります。蚊の多い夏場は、特に気をつけて、外出時には長袖を着る、虫除けスプレーを使用するなどして、蚊にできるだけ刺されないように注意しましょう。

また、蚊がたくさんいそうな場所に長時間出かけるようなことも避けてください。蚊の発生源となる不要な水たまり(古タイヤ、植木鉢の受け皿、ペットボトル、バケツ等に溜まった水)が、家の周りにないかも、入念にチェックしましょう。

ジカウイルスを予防するワクチンや有効な治療薬は、今のところありません。一人一人が、ジカウイルスに感染しないこと、感染を広げないことが最も大切だと言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?妊婦さんは、自分の体だけでなく、お腹の赤ちゃんへの影響も常に考える必要があります。特に、胎児の器官が形成される大事な時期である妊娠初期は、細心の注意を払いましょう。

お腹の中の大切な赤ちゃんを守れるのは、お母さんだけです。様々な危険な病気に関する正しい知識を身に着けて、きちんと予防策をとりましょう。

ジカ熱に関しても、必要以上に恐れることはありませんが、海外の症例から分かるように、ジカウイルスが赤ちゃんに与えた影響は大変大きいものでした。決して油断しないように気を付けて、妊娠期間を安全に乗り切ってください!