妊娠中、家事・育児・仕事などで腰を痛めること、ありますよね。腰以外にも肩こりや、上の子を抱っこして手首を痛めたりなど、妊娠中は普段よりも身体のあちこちで悲鳴があがってきます。

ちょっとでも痛みを和らげたい!湿布で少しでも痛みをとりのぞきたいなと思って、安易に湿布を貼りがちですが、ちょっとまってください。

妊娠中の湿布は少し注意が必要です。というのも湿布に含まれている成分が胎児に影響を及ぼすことがあるからです。

ここでは、妊娠中の腰痛・肩こりの原因、湿布の成分について、また妊娠中に貼ってはいけない湿布、貼っても大丈夫な湿布、湿布以外の緩和方法について紹介します。

今まさに痛くて辛いあなたに、この記事が少しでもお役に立てるといいなと思います。

スポンサーリンク

妊娠中の腰痛・肩こりの原因は?

妊娠中の腰痛の原因は何でしょうか?

腰痛の原因1…姿勢

妊娠中は常に身体が少しづつ変化していきます。お腹も少しづつ大きくなるに連れ10kg前後体重も増えていくと、お腹を支えようと腰に負荷がかかり、姿勢も背中を反った状態になっていきます。

腰痛の原因2…ストレス

妊娠中はちょっとした心配事がストレスとなって身体に影響を与えることがあります。夜しっかり寝ているのに朝起きると腰が痛いという時は、寝ている間に筋肉がストレスなどで硬くなってしまっていることも考えられます。

腰痛の原因3…ホルモン

女性は卵巣・子宮・胎盤などから「リラキシン」という女性ホルモンが分泌されます。

このリラキシンは生理前にも分泌量が増えますが、妊娠中にも分泌量が増えて、関節や靭帯を緩めるという作用をもたらします。骨盤の関節や靭帯が緩むことで、赤ちゃんがスムーズに産道を通れるようになるのです。

しかし、身体を支えている骨盤が緩んでくると、どうにか他のところで身体を支えようとして、骨盤近くの腰が頑張ってしまうのです。同時に骨盤周辺の筋肉も支えようと緊張してしまうので血流が悪くなり、腰痛を悪化させていきます。

では次に肩こりの原因は何でしょうか?

肩こりの原因1…血行不良

お腹が大きくなってくると身体の下部、お腹周辺に血行不良がみられます。

妊娠するとつわりや様々な身体の変化でストレッチや運動もなかなかしにくいですよね。そうなると血の巡りが悪くなり、肩周辺も血行不良となって肩こりを引き起こしていくのです。

肩こりの原因2…ストレス、緊張

妊娠中、仕事、家事、育児の中で出産に対する不安や周囲のこと、将来のことなど様々なストレスを感じやすくなります。ストレスは身体の筋肉を緊張させ、結果的に肩こりを引き起こしていきます。

肩こりの原因3…ホルモンバランスの変化

妊娠中は様々なホルモンが分泌され、ホルモンバランスが変化していきます。その変化が自律神経にも影響して肩こりを引き起こすと言われています。

湿布の成分は?妊婦の身体にどう影響する?

湿布にはどんな成分があり、どのように身体に影響してくるのでしょうか。

湿布の成分

市販薬の湿布に含まれる主成分は以下のようになります。配合されている成分から第1世代と第2世代に分かれています。

第一世代 作用が穏やか。患部を刺激し血流を改善するように促す成分が含まれている。 サリチル酸メチル
サリチル酸グリコール
I−メントール
DI−カンフル
トウガラシエキス
第二世代 NSDAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛成分)が含まれている。 ジクロフェナク
フェルビナク
ケトプロフェン
フルルビプロフェン
ロキソプロフェン
インドメタシン

フェルビナクやインドメタシンなど、広告で見たり聞いたことのある成分名ではないでしょうか。

妊娠中に使うと影響がある!副作用が報告されている湿布の成分

湿布は肌に直接湿布剤を貼り付けてその成分を経皮で血液にとりこみ、炎症部分の痛みを和らげる効果があります。

しかし、上の表の第二世代「NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛成分)」を含む湿布は妊娠中は使用しないようにとされています。血液に取り込まれた成分が体内にめぐり、胎児に様々な影響を及ぼす可能性があるからです。

インドメタシン、ジクロフェナク等に対しては厚生労働省より「使用上の注意改定情報」で以下のように記載されています。

”[妊婦,産婦,授乳婦等への投与]の項に「他の非ステロイド性消炎鎮痛剤の外皮用剤を妊娠後期の女性に使用し,胎児動脈管収縮が起きたとの報告がある。」を追記する。”

これによりますと、以下の成分に様々な副作用が起こることがあることがわかります。

ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ロキソプロフェンなど

妊娠後期にNSAIDsが含まれる湿布を使用した妊婦の胎児が、胎児動脈管収縮が起きたケースがあるそうです。

また、安全性が確立されていないため、妊婦(妊娠後期以外)や産婦、授乳婦等にはこれらの成分が含まれる湿布を使った場合のリスクより、湿布を使わない場合のリスクの方が大きいと医師が判断した場合にのみ使用することとなっています。(妊娠後期以外とありますが、妊娠後期でもこれらの成分が含まれた湿布を使う時は、事前に担当医師や薬剤師に相談したほうがよいでしょう。)

ケトプロフェン

妊娠中期にケトプロフェンの湿布を使用した妊婦に、羊水過少症がが起きたケースがあるそうです。この成分には必要最小限の使用にとどめて慎重に使用することとなっています。

妊娠中に貼ってはいけない(影響がある)湿布類

では具体的にどのような湿布は貼ってはいけないのでしょうか。第二世代のNSAIDsが含まれている湿布は以下のとおりです。

ジクロフェナクを含んでいる主な湿布剤

  • ボルタレンEXテープ
  • ジクロテクトPROテープ
  • フェイタスZジクサス
  • ボルタレンAC
  • アンメルツNEO
  • サロメチールジクロ
  • ジクリッチなど

フェルビナクを含んでいる主な湿布剤

  • アンメルツシリーズ
  • フェイタス5.0
  • フェイタス湿布
  • パテックスフェルビナスターV
  • パスタイムFX7
  • オムニードフェルビナク冷感など

また処方薬のセルタッチテープもフェルビナクを含んでいます。

ケトプロフェンを含んでいる主な湿布剤

  • オムニードケトプロフェンパップ

※他にもモーラステープという医療用の湿布薬もこのケトプロフェンを含んでいます。

フルルビプロフェンを含んでいる主な湿布剤

アドフィードとも呼ばれていて、処方薬です。フルルビプロフェン・アドフィードが含まれている湿布剤は市販にはありません。

  • アドフィードパップ40mg
  • ヤクバンテープ

ロキソプロフェンを含んでいる主な湿布剤

  • ロキソニンSパップ
  • ロキソニンSテープ
  • ロキソニンSゲルなど

インドメタシンを含んでいる主な湿布剤

  • サロンパスEX
  • バンテリンコーワパップS
  • ハリックス55IDプラスなど

妊娠中に貼っても大丈夫な(影響のない)湿布類

市販薬には以下の4つに分けられますが、そのうち第三類医薬品は基本的に妊婦でも使用してもよいとされています。

分類区分

・要指導医薬品
市販薬として初めて販売される医薬品など。取扱に十分注意が必要で薬剤師への自身の健康状態等に関する情報の提供とその医薬品に関する説明を受けることが原則。
・第一類医薬品
副作用などで特に注意が必要な医薬品。薬剤師の説明を受けてから購入できるもの。
・第二類医薬品
副作用などで注意を要するもので、より注意を要するものは指定第2類医薬品となっている。
・第三類医薬品
副作用や相互作用で判断した時に上のどれにも該当しない医薬品。

妊娠中に貼ってもよいとされている湿布剤

  • サロンパスAe
  • サロンパスローション
  • アンメルツヨコヨコ
  • アンメルツレディーナ
  • ニューアンメルツヨコヨコA
  • アンメルツ温キューパッチ
  • パテックスうすぴたシップ
  • 腰痛パテックス
  • サロンシップ
  • タイホウなど

注意

同じ商品名が含まれていても後ろに「〜インドメタシンEX」「〜フェルビナプラスター」など、似たような名前ですが、妊娠中はやめたほうがよい成分を含んでいるものもあります。自己判断ではなく、注意書きを読むか、必ず薬剤師や担当医師に確認してから使用するようにしてください。

妊娠中の腰痛・肩こりを、湿布以外で緩和する方法

湿布を貼る以外に痛みを和らげる方法を以下に紹介します。自分に合った方法で試してみてください。

マタニティマッサージ

妊婦も受けられるマタニティマッサージというものがあります。

妊娠中のホルモンバランスなど身体の変化によって起こってくるマイナートラブルを緩和することや、リフレッシュできるなどのメリットがあります。症状に合わせて部分施術をするととても有効ですので、腰痛、肩こりなど集中的にしてもらえるマタニティ専門の治療院やメニューを選んでみるといいですね。

受ける時は事前に担当医師に相談の上、サロンに問い合わせてからいきましょう。妊娠初期など身体もデリケートな時期は避け、安定期に入って体調が良い時に受けるほうがよいですね。

温める

腰や肩など患部を直接温めることにより、筋肉のコリをほぐし血行をよくします。

お勧めなのは蒸しタオルです。水で濡らして絞ったタオルを電子レンジで温め、腰や肩の辛い部分に当てます。この時、やけどには十分注意しながらタオルを持ってくださいね。

お風呂に入る

じっくりと温まることにより、体中の血行がよくなって痛みが和らいでいきます。ストレス軽減になるなど、お風呂の湯船につかる効果はかなり大きいです。

下半身だけ浸かる半身浴もおすすめです。入りながら軽く肩を回したり、肩甲骨を内側に寄せる感じで動かすと、肩周りも楽になりますよ。湯冷めなどに気をつけながら、ゆっくりと身体を温めて血行をよくしていきましょう。

ストレッチ

有名なのが猫のポーズではないでしょうか。

  1. お腹の張りに気をつけながら四つん這いになって、
  2. 背中を丸める・反らす(痛くない程度に)を繰り返してみましょう。

この筋が今伸びているなというのを意識しながらゆっくりと、痛くならない所まで伸ばしたり緩めたりを繰り返すと筋肉がほぐれていきます。


また、腰のツイストストレッチというのもあります。私も妊婦の時に通っていたマタニティヨガでこのストレッチを教えてもらい自宅でよくやりました。

  • 仰向けに寝て、ひざをつけたまま両足を曲げて左右にゆっくり倒すだけです

普段使わないような筋肉がほぐれるイメージでとても気持ちよかったのを思い出します。骨盤をねじる形になるので、無理のない範囲でおこなってくださいね。


さらには腰をまわすストレッチもおすすめです。

  • まっすぐに立って足を肩幅に広げ、腰に両手をあてて水平に腰を回すという至ってシンプルなストレッチです。

これも実際やってみると、とても腰まわりがジーンと暖かくなり、気持ちよくなるのでおすすめです。


肩こりには肩甲骨を動かすイメージでひじを背中の方に引いてみてください。ギュッと肩甲骨を中心に寄せる感じです。この肩甲骨をほぐすことにより肩周辺の筋肉のコリがほぐれていきます。

ストレッチはどれも無理のない範囲で行ってください。お腹が張ったり気持ちが悪くなったりしたら、すぐにやめて身体を休めてくださいね。

マタニティヨガ

妊婦用に構成されたヨガのことで、呼吸やポーズ、イメージを行うことで、腰痛・肩こりの軽減なり、リラックス効果も得ることができます。

実際、私もこのマタニティヨガで出産時の力の逃し方などを知ることができました。住んでいる自治体が主催しているところもありますので、担当医師に確認した上で、近くのマタニティヨガを探してみてください。

骨盤ベルト

腰痛対策に骨盤ベルトを使用するのもいいですね。

このベルトが骨盤を支える力の補助となるので腰の負担も軽くなり、腰痛軽減になります。また産後のケアにも使えるので一つあると重宝しそうですよ。

おすすめな骨盤ベルトをいくつか紹介します。

トコちゃんベルトII 紺

骨盤ベルトといえば、有名なトコちゃんベルトです。骨盤の後ろ、お尻、尾骨が痛む時に有効なベルトです。私も妊婦の時に使った商品です。骨盤の開きをきゅっと支えてくれるので、腰まわりもだいぶ楽でした。

ワコール Wacoal 産前・産後兼用 骨盤サポートベルト マタニティ

有名下着メーカーが出している骨盤ベルトです。(公社)日本助産師会との共同開発によるものなので、つけ心地はもちろんしっかりサポートしてくれるベルトです。レビューを見ても、ズレにくい・つけ心地がよいなどの点で評価されています。

コナミスポーツクラブ 産前産後骨盤ベルト パワフルギアF

こちらの商品は軽い力できゅっとしめやすくできる滑車の原理を用いているので、簡単に装着できるとレビューでも評判でした。腰痛も緩和されたという声も多くありました。また生地が薄手なので洋服を着てもわかりづらいというところもいいですね。

まとめ

妊娠中の腰痛・肩こりは本当に辛いものです。体調のよい時など、ちょっとでも軽くストレッチなどをして普段から腰痛・肩こりを予防したいものですね。

それでも辛くて薬に頼る時は、似たような商品名・成分で迷いがちですが、まずは担当医や薬剤師にしっかりと相談した上で、使用してみましょう。

辛い腰痛・肩こりが一日でも早く治まって、健やかなマタニティライフを送れますように。