妊娠中は約10か月間お腹に宿った赤ちゃんはママのお腹で過ごす事になりますが、一日も安心できる日はありません。妊娠中のトラブルは多々ありますが、その中でも妊娠中毒症や逆子などはご存知の方も多いはず。

では、前置胎盤という病気はご存知ですか?

前置胎盤とは医師が最も恐れるハイリスクな病気の一つです。この記事の執筆者であります私は前置胎盤を経験し最愛の我が子を出産しました。

今回は体験談も交えて前置胎盤のすべてをご紹介したいと思います。

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前置胎盤とはどんな病気?

前置胎盤とは、簡単に言うと「胎盤の位置が悪い」という事です。

病気と聞くと遺伝?母体が悪い?治療法は?と思うかもしれませんが、これはたまたま受精卵の着床位置が悪かったというだけでママ自身に非はありません。

前置胎盤は遺伝する事はありませんが、残念ながら治療法もありません。

ただ、ほとんどの場合、妊娠周期が経過するにつれ徐々に胎盤の位置が変化し前置胎盤が改善される可能性が非常に高いため、最終的に前置胎盤のままの妊婦さんは非常に少人数です。

前置胎盤には三種類のランク分けがある

前置胎盤にも軽度から重度まで三種類ありますが、どれもリスクは変わらないので日常生活も慎重に送る必要があります。

正常妊娠の場合、胎盤は子宮口から最も遠い部分に作られます。しかし、前置胎盤はその逆で子宮口に胎盤の一部がかかってしまう、もしくは子宮口の大部分を覆ってしまう事で軽度・中度・重度と分けられます。

①辺縁前置胎盤(軽度)


子宮口に触れるか触れないか微妙なラインに胎盤が出来てしまうのが辺縁前置胎盤です。
しかし、お腹が大きくなるにつれ胎盤が上へ上へと上がっていけば前置胎盤のリスクはほとんど減ったと言って良いでしょう。

② 部分前置胎盤(中度)


中度の部分前置胎盤は子宮口のほんの一部に胎盤がかかっている状態です。中度とは言えども危険と紙一重ですので日常生活で無理をしない、マイペースな行動を心がけるなど気を付けるひつようがあります。

③全前置胎盤(重度)


最も医療スタッフをビクビクさせるのが全前置胎盤です。子宮口のほとんどを胎盤が覆ってしまい、全前置胎盤から中度、軽度へ変わる可能性はあっても完全に子宮口から外れるという事は難しいのが現実です。

前置胎盤の出産方法は?

前置胎盤と診断された場合、自然分娩での出産方法は出来ません。胎盤が子宮口に触れているもしくは覆っていると、陣痛が起こり子宮口が開いたとしても胎盤が邪魔をしてしまい赤ちゃんの出口がないためです。

前置胎盤の妊婦さんはほぼ全員が帝王切開での出産をすることになります。ただし、例外もあり軽度の辺縁前置胎盤の場合医師の判断で自然分娩が可能な場合もあります。

産婦人科スタッフだけでなく小児科スタッフが緊急時にも素早く処置出来る体制が整った場合のみですが、帝王切開の方がより安全に出産出来る方法だと言えます。

前置胎盤のリスクとは突然の大出血!

医師がなぜ最も前置胎盤を恐れているのか?

それは突然の大量出血が起こる可能性が非常に高いためです。胎盤には赤ちゃん常に大量の血液を送り続けています。そして重要な部分であるがゆえに子宮に頑丈な根をはっていると言っても良いでしょう。

その胎盤が子宮口にかかるように作られてしまうと、小さなお腹の張りや陣痛が起こると子宮口と胎盤の間に小さなズレが生じたり剥がれてしまう可能性があります。するとその部分から大量の出血が起こってしまうのです。

この出血は誰も予想する事は出来ず、痛みも全くありません。ちょっと便をする時にお腹に力を入れただけで突然出血してしまったという人もいる為、前置胎盤は本当に怖いのです。

出血の起こり方は個人差があり、ある日突然大出血をする人、ごくわずかな出血を頻回繰り返し最終的に大量出血を起こすなど、様々です。

大量出血が起こってしまうと何リットルという量の出血になる為、赤ちゃんが何週であっても即帝王切開で出産することになります。

微量な出血を繰り返す場合は赤ちゃんの成長具合を見ながら自宅安静を要したり、管理入院をして一日でも長く赤ちゃんをお腹で成長させる場合もあります。

前置胎盤のママが出産までに心がけるポイントとは?

前置胎盤だと確定診断をされるのがだいたい30週すぎです。30週になるとお腹の張りも感じやすく、出血の危険度が一気に増える時期に差し掛かります。

これまで出血が無かった人も気を引き締める大切な時期に入ります。そんなママが無事に出産日を迎えるために心がけたいポイントがあります。

家事は手抜きをする!

毎日炊事、洗濯、掃除など忙しく動き回っていますよね。大きなトラブルがない妊婦さんでしたら日常生活を変える必要はありませんが、前置胎盤を抱えた場合、出来る事なら家事はしない方が賢明です。

旦那様の協力が得られるのであれば少しの期間だけ甘えさせてもらえましょう。難しい場合には少し早めに里帰りするなど、体を動かさない事が大切です。出産日を迎えるまではとにかく安静を心がけて動きを最小限にしましょう。

少しでもおかしいなとおもったらすぐに医師に連絡する!

かかりつけの産婦人科では、24時間平日休日問わず連絡がつく場合がほとんどですよね。前置胎盤の場合、普段とは何かが違う、おかしいなと感じた場合は様子を見ずにすぐに医師へ問い合わせをしましょう。

  • 頻繁にお腹が張っている感じがする
  • ごくわずかな出血があった

この場合、緊急です!夜中、休日問わず連絡して構いません。大量出血が起こると一分一秒が命取りになりますので迷った時は有無を言わずに連絡することが大切です。

出産準備は早めにしておく!

何度も申し上げますが前置胎盤の大量出血は本当に突然起こります。いつ緊急帝王切開になったとしても慌てない為にも出産準備は早めにしておくことをおすすめします。

そして、帝王切開のみではなく、妊婦健診の際にそのまま管理入院をしましょうと言われる場合もありますので、入院グッズも準備しておくとなお良いです。

全前置胎盤を経験した私は無事に出産出来ました!

私は前置胎盤の中でも最もリスクの高い全前置胎盤を経験しました。24週頃に前置胎盤かもしれないと医師から伝えられ、その後数回微量の出血が起こったため27週から管理入院をしました。

入院中はベッドでただただ寝たり座ったりを繰り返し、お腹の張り止め点滴を体に流しながら1日でも長く赤ちゃんを育てることが私の最大の任務でした。

突然の出血の恐怖や赤ちゃんが無事に産まれてくるのか、早産になる可能性も非常に高いと言われていたため、何かあったらどうしようと心配は尽きませんでした。

しかし、医療スタッフの素晴らしい管理体制もあり奇跡的にも一度も出血することなく出産日を迎えることが出来ました。

正期産と言って、37週を過ぎると赤ちゃんはいつ産まれてきても問題はない時期に入ります。

私は薬でお腹の張りが抑えきれなくなり、大量出血の危険が高いと判断され、36週2日、早産での出産になりました。赤ちゃんはやや小さめではありましたが、無事に産まれてきてくれたため、本当に嬉しかったです。

最後に…前置胎盤でもきっと大丈夫!!

前置胎盤は妊婦さん自身や家族、両親、そして医療スタッフも常にビクビクしてしまう病気です。しかし、医師の指示をしっかりと守り、適切な処置を受けることで出血を起こさず出産日を迎える可能性が十分にあります!

お腹の中で過ごす1日はこの世でいう1週間だと医師から言われたことがあります。

37週を目標に赤ちゃんを信じて頑張りましょう!!可愛い赤ちゃんに出会える日が楽しみですね!