2歳になっても子供が喋らないのであれば、その原因がどこにあるかを調べようと保護者は考えます。

その前に、全般的な発達を見るという視点があれば、子供の成長に合わせた対応によって、言葉育てを加速させられるかもしれません。

ここでは、2歳で喋らないという場合の家庭で行えるチェックと、専門支援の必要性を検討するメリット、日々の関わりの大切さを言語聴覚士が解説します。

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2歳で喋らない・話さない、言葉の遅れ・言葉が出ない原因は発達障害?

2歳で喋らないというのは、いくら発達がゆっくりだからといっても保護者が心配になる時期です。

「もしかしたら発達障害かもしれない」という思いが強くなる時期でもあるはずです。でも、喋らないからといって発達障害かと言われると、決してそうではありません。


子供の成長がどのような経緯で現在に至っているかを評価しながら、発達に問題が生じているか否かを判断するべきです。

まずは言葉にこだわらず、全般的な発達がどのように成長しているかを考えましょう。

身体的な発達や人との関わり方など、広い視野で子供を見なければ本質を見失ってしまいます。安易に発達障害であるという回答をするのは、適切な対応とは言えません。

全般的な発達を確認して判断するべき

2歳で言葉を喋らない場合には、その背景を探って原因となるものが見つかるかを確認しなければなりません。原因なく言葉を喋らないということはないので、何が子供の成長に影響しているかを掘り下げる必要があります。


まずは母子健康手帳を参考にしながら、全般的な発達を見つめてみましょう。

母子健康手帳で2歳の発達状態が記されているページを参考にしながら、子供がどの月例あたりまでの発達を遂げているかを見てみましょう。

あくまで一般的な発達の流れではあるものの、言葉だけでなく全般的な発達を簡単にチェックできます。さかのぼって1歳あたりからチェックをつけていくと、現時点でどれくらいまで伸びているかも明確になります。


体の発達が緩やかだったり、人とのコミュニケーションが苦手な場合にも、言葉の遅れに関係することがあります。

母子健康手帳は予防接種や身長・体重の変化を記すだけでなく、大よその発達を確認するために活用できます。日々の行動から全般的な状態をつかむには、とても参考になる資料ではないでしょうか。

コミュニケーションのスタンスを確認するべき

2歳の子供は言葉を使うだけでなく、コミュニケーションのスタンスが成長する時期でもあります。

周囲とどのように関わっているかを確認することで、発達障害の要素が色濃く感じられるか、単に言葉の遅れが原因でうまくやり取りが成立していないかを考えられます。


子供と関わるうえで、大切なのはアイコンタクトです。

表面的に成長していると感じられる話し言葉ではなく、もっと深い部分で人とのコミュニケーションを取っているかを確認することが重要です。

言葉を使わずともやり取りは成立します。でも、人との交渉を行ううえでも、目を合わせて関わりを持つことができなければ、一方的な関係しか築くことができません。

心を通わせてコミュニケーションを取っているかを分析することが、2歳になっても喋らない原因を絞り込むきっかけを作ります。


発達的な要素を考えるポイントは、

  • 視線を合わせることなく要求をアクションで伝えてくる
  • 言葉かけをそのままオウム返しで喋ることが多い
  • 音や臭い、触覚に強いこだわりを持っている
  • 生活習慣に自分独自のルールがあり、それが崩れると不安が大きくなってしまう
  • 興味を持ったものへの意識が強くなり、周りの言葉かけによる静止が難しくなる
  • 我慢をすることができず、感情の起伏が激しい

このように、いくつかのポイントを確認しながら子供の状態を掘り下げていくことが大切です。

でも、発達障害という診断をもらうことがない子供でも、言葉の成長がアンバランスであれば、発達的な要素が疑われるような状況が生まれます。

上手に他者とのコミュニケーションを取る経験が少ない子供を目の前にすると、「発達障害かもしれない」という疑いを持つことが多い時期でもあります。

でも、成長と共に要素が薄れてきて、知らぬ間に言葉を操ったコミュニケーションが日常に取り入れられる割合は多いのです。


逆に、喋らないけれど、やり取りが円滑に行える子供も存在します。

目線で要求を訴えたり、ジェスチャーを使って相手に意図を伝えるなど、話し言葉以外のツールを使って人との関係を築くことができているということもあります。

話す言葉ばかりに目を向けるのではなく、理解しているものがどれくらいあるかを考えてみると、表面には出ていない部分の成長が垣間見えるようになります。話し言葉を使わないなりの他者との関わりを分析するべきです。

2歳の子供が「喋らない・言葉が遅い・言葉が出ない」と感じた場合、言葉の発達を促す専門家の支援を使うメリット

言葉の発達が遅いという感じを保護者が抱いているのであれば、そのまま「待つ」のではなく、積極的に発達を促す働きかけを学ぶべき。

家庭で子供の成長にプラスとなるような関わりが持てるだけでも、想像以上の成長を見込むことができます。そのための支援を見つけ、育児が楽しいと思えるような日常を手に入れるべきです。


発達の専門家としてイメージするのは保育士がメジャーですが、言葉の発達の専門家としては言語聴覚士という資格が最適です。

子供から高齢者まで、言葉に関するお悩みを解決してくれるスペシャリストなので、地域で発達のフォローを行っている言語聴覚士に出会うことも、発達の加速に大きく影響します。

地域の保健センターに言葉の相談を行うと、そこから言語聴覚士が所属している施設に紹介してくれるのが一般的。耳鼻科や小児科などで、喋らない子の言葉育てを指導してくれるサービスを受けられます。

2歳になっても話し言葉がイマイチ伸びていないと感じているのであれば、そろそろ支援を受けて言葉の成長を組み立ててもらいましょう。

言語聴覚士がお手伝いすると良いこと

言葉の発達に関する知識と成長を促すための技術を持ち合わせている言語聴覚士は、子供の言葉が発達するお手伝いをしてくれます。

定型発達どおりに子供が成長することはほとんどなく、それぞれのプロセスでコミュニケーションスキルを磨きます。だからこそ、育児書のようにはいかない子供に合わせた関わりを直接指導してもらうことで、明確に家庭で何をすべきかが把握できます。

保護者が心配な子供の成長を誰かに話せるだけでも育児負担の軽減になりますが、着実に成長する経験が積み重なると、全体的な発達が底上げされる瞬間を味わうことができるでしょう。


喋らないという悩みから、意外に伸びていない部分が見つかることもあるので、全般的な発達の遅れがあるか否かを、言語聴覚士に評価してもらうのがおすすめです。

お母さんだけが子育てに奮闘しているワンオペ育児の家庭では、自分の関わりが子供にとってプラスとなっているかがわからずに、常に不安が解消されないということが少なくありません。

そんなときに言葉の専門家が加わることで、育児の努力が無駄にならない効率的な関わりのコツが学べます。日常の子育てを客観的に見られるタイミングは、冷静に現状を把握して、未来に向かって輝くスキルを磨く原動力を作ってくれるでしょう。

子供が変われば保護者の意識改革も夢ではない

全般的な発達を促すためには、丁寧な関わりが必要不可欠。

保護者がしっかり関わるためのコーディネートが行われると、わずかな期間でも子供が変わったと実感できるタイミングが訪れます。この変化は育児意欲のアップにも繋がり、ポジティブに未来を見据えるサイクルを刺激します。

いくら頑張っても成長がわからなかった我が子が、活き活きと巧みに他者と関わるように変化したのであれば、保護者にとってはこの上ない幸せに感じられるのではないでしょうか。


子供が変われば保護者の意識も変化し、やがては濃密な時間を日々の関わりから入れられるようになります。そのスタイルこそ、言葉育てを進めるエッセンスとなるのです。

前向きな育児を行うためには、子供の成長が日々のやり取りから感じられる場面が無ければいけません。

全般的な発達を促すといっても、どうやって効率的に行うかを自らが考えるのは大変です。言語聴覚士のようなパートナーが身近にいれば、保護者の意識改革は難しいものではありません。

2歳児が言葉を話すための準備も要チェック!

子供が言葉を話すためには、いくつかの準備が必要です。それが整っていない状態では、いつまでも話し言葉での表出は行えません。

言葉かけを増やすだけでなく、子供が言葉を話すためのプロセスを順当に追っておくことで、2歳になっても喋らない原因がわかるかもしれません。


一つずつ考えられる要素を消していく作業を丁寧に行っていくと、特別な知識が無くても子供の状態が把握できます。

言葉ではなく「話す」ための運動にも問題があることも少なくありません。知識ばかりに気を取られ、もっと大切なことを置き去りにしている可能性があるため、話す準備を日々の関わりから育むべきです。

子供が話し始めるためのプロセス

子供が話し始めるためには、言葉を操作して発する口や舌の動き息の使い方を学ばなければなりません。それができていないのに大人のようにペラペラ喋るということは考えられません。

そして、2歳になっても喋らないという場合には、早急に運動面の確認を行う時期に差し掛かっていると考えなければなりません。


話すという行為も運動の一種なので、体を使うスキルを磨くことも準備に繋がります。

全般的な発達の遅れがある場合には、言葉だけでなく運動面にもアプローチをかけることで、発達を加速させられる要素が膨らみます。話し始めるためには意識して発声に関わる部分を動かすことが磨かれなければならないのです。

また、言葉を操作するためには理解を伸ばさなければなりません。

「わかる言葉」が増えていないのに、コミュニケーションに話し言葉を使うことはできません。早く話してほしいと思うのであれば、「わかる言葉」を育てることに力を注ぎましょう。

日々の関わりから言葉育てを促す

保護者ができる子供の言葉育て。日々の関わりから十分伸ばせる要素があるので、コツを知って意識するだけでも違いが出ます。

全般的に言葉が遅いという場合には、言葉に特化して関わることも大切ですが、運動やルールなど、あらゆる面で経験を増やすべきです。


生活で気を付けてほしいのが手先を使った取り組みです。

2歳は道具を使って作業をこなすことができる年齢です。食事は手づかみではなくスプーンやフォークを使って食べることの喜びを毎食経験させてあげるべき。褒めて子供の意欲を高めることができると、進んで手先を使った行動をアピールしてくるようになるでしょう。


言葉に触れるという経験も必要です。

教え込むのではなく、子供の行動に寄り添って言葉に触れるような意識が重要です。

言葉の発達が遅いから教えてあげなければならないと思うでしょうが、それは大きな誤りです。いかにして日々の関わりからコミュニケーションに言葉を発することが楽しいことかを経験させてあげなければなりません。

原因を探りつつ丁寧に関わることが大切

2歳になっても喋らない子供を持つ不安は、原因を探るための行動を起こすことと併せて、丁寧な関わりから言葉の発達を促すアプローチを行うべきです。

待っていても言葉が伸びなかったという経験をしているようであれば、黙って待つのはやめましょう。

積極的に関わり、子供が表現することの喜びに触れられると、自然と言葉がこぼれてきます。周囲の大人は、それを待つための余裕を持たなければなりません。


子供の言葉を発するチャンスを先取りしているようであれば、何らかの意思表示があるまでは余計な一言を言わないように気を付けてみましょう。

発達全般の評価を受けることも大切ですが、その結果を黙って待つのではなく、その間にも子供の言葉育てを意識的に行うべきです。すると、発達全般が底上げされて、思い描いた話し言葉を使ったやり取りが始まる期待が膨らみます。