同じクラスの子からみて頭ひとつ分も違うと、紛れちゃって、運動会やお遊戯会の時は、前に出て来てくれないとさっぱりどこにいるかわからないのが、家族の悩み。
そんな、小さな小さな子ども達に「○○は、みんなみたいに大きくなれる?」なんて聞かれると、とっても胸が痛みますよね。
産まれた時から小さい子、成長の過程で何らかの問題があった子、そして病気・・・低身長と呼ばれる子でも、さまざまな原因があり、それぞれの成長の過程があります。
小さくてもみんなと同じです。何も落ち込むことはありませんよ。その子の個性を生かせるように頑張りましょう。
この記事では、我が子が低身長で病院にも通った経験も踏まえて、低身長の基準や原因、低身長の検査や治療について紹介します。
子供(乳児・幼児)の身長が伸びない・・・低身長と呼ばれる基準・目安は?まずは発育をチェックする
同年代の同姓の子に比べて格段に背が低い子は、低身長と呼ばれますが、一口に標準といっても、全員が同じ背の高さというわけではありません。背の高さには幅があるので、背が低いからといって、低身長とは限りません。
まずは、母子手帳を見てください。
市町村によって違いはあるかもしれませんが、母子手帳の中に身長と体重のグラフが載っているかと思います。
グラフの、今まで計ったことのある身長を月齢の所に書き入れてみてください。標準といわれている線と線の間に納まり、なおかつ標準の線と平行になるように成長していれば、例えそれがぎりぎり線上であっても、安心して大丈夫です。
低身長で問題なのは、2パターンあります。
- 出生時、標準身長の下の線より小さく産まれ、標準の下の線を下回っているまま、線と平行に成長している場合
- 出生時からずっと標準的な成長を辿っていたはずが、ある時から成長が止まり、標準の下の線に近づき始めている、あるいは下回っている場合
上記の場合は、低身長の疑いがあるので、要注意が必要です。
ちなみに、みなさんは「SD値」というのを知っていますか?
これは「標準偏差」のことで、平均値からどれだけ数値が離れているかを表す値です。
平均値を「0SD」として、小さければ「-」大きければ「+」で表わされます。子どもの背が低い場合、当然SD値は「-」になるはずですが「-」になったからといって、低身長とは限りません。
低身長と判断される基準は・・・
- 同年代同姓の子の平均的な身長に比べて-2SD以下
- 同年代同姓の子に比べて、1年間で身長の伸び方が、平均より80%以下しか伸びていない状態が2年以上続いている。
上記の2つの基準を満たして、初めて低身長と診断されます。
前述したような成長の状態で、お母さんが見ていて不安を感じるようであれば、計算する方法もありますが、日本小児内分泌学会の公式サイトに、SD値を調べることができるグラフが載っているので、よりわかりやすいかと思います。
SD値を計算するなら下記サイトが簡単です。
子供(乳児・幼児)の低身長は病気だけが原因じゃない!病的な場合・病気ではない場合
低身長(症)と呼ばれる子は、全体の2.3%います。100人のうち約2人が低身長だと考えると、意外と多い数字ですよね。
その原因は、病的な場合とそうでない場合に分けられます。
病的な場合
出生時から小さい
なんらかの理由で標準より小さい場合を子宮内発育不全といい、80%以上の子どもが、2~3歳くらいまでに他の子に追いつき、標準の線内に入るほど急成長します。
残りの約20%の子は、2~3歳になっても標準まで追いつかず、線に並行して成長します。このような子をSAG性低身長症といい、病気のひとつに含まれます。
うちの子の病院に通っていない2人がこのぎりぎりラインです。
標準の下の線より低くても、うちの2人のように-2SD内で線と平行して成長している限り、経過観察になるのが一般的で、-2SD以下の場合は、ホルモン治療を受けるよう勧められますが、両親の意志が優先されるようです。
SAG性低身長症の場合、治療しなくても問題はありませんが、治療をしないまま大きくなると、大人になっても背が低い、思春期が早い、肥満や糖尿病になりやすいなどの影響がある場合もあります。
ホルモン異常
「成長ホルモン分泌不全性低身長症」「甲状腺機能低下症」などが代表的な病気です。
背が伸びるためには、成長ホルモンと甲状腺ホルモンが不可欠です。この2つのホルモンのどちらかが、脳の怪我や脳腫瘍などの脳疾患など、何らかの理由によって分泌される量が減ってしまうと、身長が伸びなくなります。
ホルモンの分泌不全の場合、成長ホルモン治療が行われますが、脳疾患がみつかった場合、その治療が最優先されます。
染色体異常
「ターナー症候群」「プラダ―・ウィリー症候群」「ヌーナン症候群」などが代表的な病気です。
ターナー症候群は、女の子のXX染色体のどちらか1本に、プラダ―・ウィリー症候群は15番染色体、ヌーナン症候群は常染色体優性遺伝に異常が見られる病気で、低身長だけでなく、合併症など、他にも症状が現れることがあり、成長ホルモン治療が必須です。
ターナー症候群の場合、成長ホルモンの他に女性ホルモン治療も必要になります。
骨や軟骨の異常
「軟骨異栄養症」などが代表的な病気です。
軟骨異栄養症は「軟骨無形成症」「軟骨低形成症」の総称で、骨が伸びるために必要な軟骨に異常がある病気です。
成長ホルモン治療をすることで、部分的によくなることもありますが、骨や軟骨に何かしらの異常があると、思っている以上の効果は得にくいものです。整形外科で、人工的に骨折をさせてできる骨髄を利用した、骨を延すための手術をするという方法もあります。
臓器の異常
「小児慢性腎不全」「心臓病」「肝臓病」などが代表的ですが、臓器に何かしらの病気があると、生きるために必要な栄養が身体に運ばれず、成長が止まってしまう可能性があります。
そのため、低身長になりやすいですが、臓器の病気の治療を行って改善することで身長は伸びるはずですが、-2SDを下回っている状態が続くようであれば、成長ホルモン治療を行うこともあります。
病気ではない場合
家族に背が大きい人が少ない(遺伝)
身長は、環境や食生活、睡眠時間などによる影響がとても大きいとはいえ、遺伝も無視はできません。
小児内分泌科に行くと、両親と祖父母の身長を聞かれます。
うちの場合、どちらをみても、お世辞にも大きいとは言えず、初めての検診時には「あ~・・・みんな小さいもんね。しょうがないかな~・・・あんまり大きくてもびっくりでしょ?」と、とても軽い感じで、先生の話が始まりました。
愛情不足やストレス
赤ちゃんだからといってストレスを全く感じないかというと、そうではありません。
環境が変わったり、さまざまな要因からストレスを感じることがあります。そういったストレスが成長にストップをかけることがあります。
「愛情遮断性低身長症」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
虐待やネグレクトなどを始め、両親や周囲の愛情に恵まれていない子どもが低身長になることを、愛情遮断性低身長症といい、代りに愛情を注いでくれる人を早急にみつける必要があります。
しかし、虐待やネグレクトだけが原因ではなく、両親の不仲、兄弟(姉妹)や友達と関係を上手に築けない場合にも、愛情遮断性低身長になる場合があります。
うちの病院に通っている低身長の子は、今思うと、これに近い状態だったのではないかと思う、今日この頃です。
栄養不足
身長が伸びるためには、たんぱく質やカルシウムなどさまざまな栄養素が必要です。
しかし、小食、ネグレクトなど、なんらかの理由によって、必要なだけの栄養を摂ることができていなければ、身長は伸びません。
栄養不足で低身長症になることは、とても稀なことのようですが、うちの病院に通っている低身長の子は、栄養不足からのものといっていいでしょう。
子供(乳児・幼児)の低身長の検査方法!病院は何科?検査結果や治療のこと
子供の低身長を検査するには、「小児内分泌科」「内分泌内科」でおこないます。小児科でも成長障害に詳しい病院もあるので、まずはかかりつけ医に相談してみることおすすめします。
病院には、母子手帳や健康手帳など、成長の過程がわかるものを持参するのが基本です。
低身長の検査は、身長・体重を測るところから始まります。お母さんが持参した母子手帳などを確認しながら成長曲線を作り、SD値を出します。
最初の検査は、尿検査、血液検査、手のレントゲンを撮ることです。
尿検査や血液検査で、一般的な検査をして健康状態を調べます。同時に、血液検査では、成長に必要なホルモンが不足していないのかの確認もします。
そして、よく肌年齢といいますが、骨も同じように骨年齢があります。骨年齢は、骨と骨の間がどれだけ隙間があるのかを調べます。手の骨は、成長によって骨の数や大きさが違うため、手の骨が骨年齢を調べるのには、1番わかりやすいそうです。
たいてい2週間~1か月ほどで検査結果が出ます。
最初の検査の結果から、疑いのある病気などを推測し、それに応じたさまざまな検査を行います。うちの子の場合は、この時点で心電図をとりましたが、問題ありませんでした。成長ホルモン・甲状腺ホルモンの詳しい検査や、染色体などの検査を行うのも、この時点です。
一口に低身長といっても、治療を必要とする病気の場合はごくまれで、検査に検査を重ねた結果、治療しないで経過観察になるケースも少なくありません。
そして、日本では3歳から治療が始まります。それより小さい場合には、3歳になるまで待って、詳しく検査してから治療を始めるのが一般的です。
成長ホルモン治療できなくて心配!お母さんが低身長の子供にできること
低身長なのに治療をしてもらえず、ただ検診に通うのってもどかしいですよね。
治療しなくてもいいということは、病気の中でも軽度であり、喜ばしいことです。いつか、大きくなる可能性もあるということです。
それでも、「明らかに小さいのに、どうして治療してもらえないの?」「治療して大きくなってる子よりもうちの子小さいのに、どうして?」治療をしながら頑張っている子ども達に申し訳ないと思いながらも、そんな思いが・・・
とっても気持ちわかります。うちの子もそうですから・・・
そんなお母さんにもできることがあります。
身長が伸びるための生活をすることです。もちろん、できる範囲で構いません。
無理をすれば、それが却って、子どもに負担をかけてしまい、悪影響になることもあるので、無理しない程度に心掛けてみましょう。
バランスの摂れた食事
バランスの摂れた食事の中で、カルシウム、たんぱく質、マグネシウム、亜鉛、ビタミンは、気をつけて摂りたい成分です。
骨の成長と聞けばカルシウムですが、その手助けをするのがマグネシウムやビタミンです。
たんぱく質は、筋肉や骨を作り、成長ホルモンの分泌を促してくれます。動物性と植物性があり、どちらも必要ですが、より植物性を多くとりたいところです。
また、亜鉛は、新しい細胞を作り出すために欠かせない成分で、骨と骨のつなぎ目にある成長に大切な骨端線の細胞分裂に必要な成分です。
- カルシウム
- 小魚、大豆製品、ほうれん草、牛乳、チーズなど
- マグネシウム
- 大豆製品や海藻類、魚介類、ナッツなど
- ビタミン
- 緑黄色野菜を始めとする多くの野菜、しいたけなど
- たんぱく質
- 豆腐や納豆、おから、豆乳などの豆製品、肉・魚類
- 亜鉛
- 牡蠣、豚肉レバー、牛肉、卵黄、チーズ、ココア、ごまなど
緑黄色野菜としいたけの組み合わせも、成長を促してくれる成分と手助けをする成分が豊富で、効果抜群なので、私は、毎日の食事に欠かさないようにしています。
睡眠時間の確保
成長ホルモンは、熟睡している時間により多く分泌されるので、少しでも多く熟睡できる時間を作る必要があります。
- 就寝時間の2時間前までに食事とお風呂を済ませる。
- 夜は、できる限りTVやゲームなどの画面を見ないようにする
寝る前の脳の刺激と眠りについてからの消化活動は、脳がしっかりと熟睡することを妨害し、結果、成長ホルモンの分泌に影響が出る場合があります。
子どもは約10時間の睡眠時間を必要とします。寝るのが遅くなればなるほど、睡眠時間の確保が難しくなり、成長ホルモンが分泌される熟睡している時間も取れなくなってしまうので、気をつけたいところです。
ストレスの排除
共働きが多い中、両親も子どももストレスは付き物かと思います。
なかなか全てを排除するのは難しいものですが、その分、目いっぱいの愛情を注いであげましょう。そして、お母さんはもちろんのこと、家族全員が笑顔であること、それが1番の薬です。
現在5歳で身長は100cm弱-2SD前後、わが家の低身長っ子は、極度の甘えっこ
私事ですが、うちの子が低身長になってしまったのは、完全に私たち両親の責任です。
身長46,6cm、体重2,670gと、ごく一般的な身長・体重で産まれましたが、人生の中で1番成長しなければいけない1歳までの間に、母乳不足、ミルクを飲まない状態が5か月頃から始まり、早めに離乳食を始めたものの食べてくれず、足りてもいない母乳にしがみつく毎日でした。
いろいろあって「離れたらどっか行っちゃう!」そんな不安があったのかもしれません。
病院に行っていれば、上記の愛情遮断性症候群のグレーゾーンだったでしょう。
なんとか離乳食が進み、1歳の頃にはなんとか食べられるようになり、とにかく少しでも多く食べてもらうために、好きなおかず中心でバランスなんて考える余裕はありませんでした。
1歳からは、なんとか標準の線と平行した成長を取り戻しましたが、時すでに遅しで-2.5SD~-3.0SDをさまよい、1歳7か月の時に初めて小児内分泌科に行き、3歳11か月の時に初めてのスクリーニング検査をしました。5か月~1歳まで以外は、標準並みには成長していて、ホルモン異常も見られないので、治療は一切していません。
その後、いろいろな食材を食べることができるようになり、現在5歳で身長は100cm弱。-2SD前後のところまできています。
保育園に入園してから、同じクラスの子から「小さくてかわいい」と、小さい子が同じクラスにいるかのように、抱っこしてくれるお友達さえいて、もともと甘えん坊の我が子は、これ幸いと、お友達に甘える毎日です。
さらに、小さくて軽いうえに抱っこされるのが上手なので、抱っこしていても、それほど重さを感じずに、いつまでも抱っこできる子です。
人見知りと緊張症っ気があるので、仲良くなることのできた一部の担任が常に抱っこしてくれていて、先生方の中でも「話をしたり、抱っこをしたりできた先生はすごい」という状態で、先生方からも特別扱いされていました。
「こんなに特別扱いされていて、これから先、この子はどうなるんだろう・・・」と、とても不安を覚えました。
低身長のメリットを生かしながらたくましく生きる
低身長の子は、同じクラスの子から比べて小さいので、他の子と同じように出来ることでも、小さい子扱いをされることが多くなります。
そんな周囲からの小さい子扱いを「自分で出来るもん!」と、はねのけることができる性格の子であれば問題は全くありませんが、うちの低身長っ子のように、甘えが先に来てしまう子の場合、周囲からの小さい子扱いをはねのけることはなく、甘えられるだけ甘えようとします。
ある意味、低身長っ子の最大のメリットを生かしているのかもしれません。
もちろん、個性を生かすのも大切ですが、そのままでは、いつまでたっても子どもは成長しません。その子その子の成長に合わせながら、少しずつでいいです。
「甘えてばかりではだめだ」ということを、教えていくことが大切です。
低身長の子は、遅かれ早かれ、必ず1度は「みんなみたいに大きくなれる?」と聞く時がきます。それは、甘えん坊の低身長っ子が成長したいという証です。
「なれるよ!○○が頑張れば大丈夫、いつまでも赤ちゃんの子はいないんだから。」と、応援してあげてください。お母さんの応援は、低身長の子にとって、何よりも励みになりますから。
年長になった今、やっと少しずつ成長の兆しが見え始め、お友達にも「自分でできるもん!」と言えるようになったのと同時に、先生に抱っこされている時間も短くなりました。
家でもひとり遊びができるようになったのと同時に、妹の面倒をしっかりと見てくれるやさしいお姉ちゃんです。
まとめ
低身長には、さまざまな原因があり、病院に通っていても、成長ホルモン治療が必要な場合とそうでない場合があります。
子どもが小さいことを、お母さんが気にし過ぎると、却って子どもに負担がかかってしまうので、無理のない程度に今できることを1番に考えましょう。
小さくても子どもはたくましく育ちます。大きく成長してくれることを願いながら、精一杯の愛情で、小さな小さな子供たちを応援していきましょうね。