子育て中にはいろいろな壁にぶつかることがありますが、中でも親が一番ショックを受けるのが「子供が嘘をついた時」ではないでしょうか。

育て方が悪かったのかな、平気で嘘をつく子になってしまったのかな・・・と落ち込んでしまいます。

また、叱ったら良いのか、受け止めるべきなのか、と対応に頭を悩ませます。子供が嘘をつく原因や心理、そして対処法を考えていきましょう。

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嘘をついてしまう子供の心理

赤ちゃん時代は「おなかすいた」「わんわんがいる」など目の前で起きていることしか理解できなかったのが、3歳くらいになると頭の中で想像したり、「○○したいのにな」などと考えられるようになります。

子供がつく嘘にはさまざまな要因があり、成長段階によっても変化します。それほど心配しなくてもいい場合もあれば注意が必要なものもあります。

子供はどんな時に嘘をついてしまうのでしょうか?

こうだったらいいのにな~空想と願望の嘘~

幼いうちは脳が未発達のため、空想と現実の境界線があいまいになってしまうことがあります。

たとえば「サンタクロースが見えたよ!」とか「お人形がしゃべったよ!」などですね。

このような嘘をつく子供の多くは、絵本や空想の中での出来事が現実に起こったと心から思い込んでいます。ですから、むやみに「そんなはずないでしょ」などと否定しない方が良いですね。

また、「こうだったらいいな」という願望がいつの間にか現実のことのように感じてしまうこともあります。

お友達に「今度動物園に行くんだ」と言われ、自分も行きたいという思いから「私も行くんだよ」と答えてしまうといったケースです。この場合も本人に嘘をついている自覚はありません。

このような空想、願望を現実と混同させてしまうような嘘は4歳くらいまでの間に多く見られます。

成長の一環であり、想像力を育てる大切な過程なので叱ったり疑ったりせずに「そうなの?」「楽しそうね」など付き合ってあげるといいですね。

怒られたくない!~身を守るための嘘~

5、6歳を過ぎると空想と現実を混同するという事はなくなり、自覚を持って嘘をつくようになります。中でも多いのが身を守るためについてしまう嘘です。

本当のことを言ってしまうと親や先生から怒られてしまうと恐れ、とっさについてしまう嘘ですね。

大人から見ればすぐにばれてしまうような、「ぼくはやっていない」「○○君が先に叩いてきたから」といったものです。「どうして嘘をついたの?」と問い詰められ、それを取り繕うために嘘の上塗りをしてしまうこともあります。

「怒られたくない」「がっかりさせたくない」といった気持ちが芽生えた証拠でもあり、これもまた成長の証です。しかし放っておくと常習的に嘘をつくようになってしまうので要注意です。

こっちを向いて!~注意をひきつけるための嘘~

人からほめられたい、注目を集めたい、という時についてしまうのが「僕の家にはゲームがたくさんあるよ」「今日は先生にほめられたよ」といった嘘です。

「自分を認めてほしい」「周りの関心を引きたい」という思いから事実と異なる話をしてしまいます。悪気はなく、さみしさや疎外感を伝えるサインである場合も多いので見逃さないように注意が必要です。

子供の嘘に気が付いたら?

子供が嘘をついたことに気づいたら

小学生くらいまではこのように行き当たりばったりの嘘が多いので、たいていはバレてしまいます。

子供が嘘をつくと親もショックを受けるのでつい責めたり怒鳴ったりしたくなってしまいますが、それでは逆効果です。

心理的な背景をきちんと理解し、今後子供が嘘をつかずに済むような対応をしなければなりません。

まずは話を聞こう

嘘に気が付いたら、まずは子供が正直に話せる環境を作ってあげましょう。他の友達や兄弟が見ている前では話しづらいでしょうからゆっくり穏やかに話せる静かな場所がいいですね。

嘘を責めたり「正直に言わないと怒るよ」などと言ってしまうと「嘘ついてないよ!」と余計に心を閉ざしてしまうかもしれません。

子供の目を見つめ、「何があったかちゃんと教えてほしいな」「ちゃんと聞いてるから話してくれると嬉しいな」と心に寄り添った言葉をかけてあげると安心します。

子供が嘘の経緯や理由などを話し始めたら途中で言葉を挟んだりせず、最後まで聞いてあげてください。

子供を受け止めよう

子供が正直に話したら、まずはそのことをほめてあげましょう。

子供も嘘をつくのが悪いことだと分かっています。ましてや、それがバレてしまったのですから心理的にとても辛い状況です。

「嘘をつかずに正直に言った方が良い」という意識を持てるように、「正直に話してくれて嬉しい」ときちんと伝えましょう。そこでヒステリックに怒ってしまうと、「やっぱり言わなければよかった」となり、常習的に嘘を重ねることになってしまいます。

なぜ嘘はいけないのか?その理由を伝えよう

子供の気持ちを受け止めた上で大切なこと。それは嘘がいけないことだときちんと教えることです。

嘘をつかれると悲しい気持ちになることや嘘をつくと次も疑われてしまうこと。そして信頼を失うことがどれほど辛いか、など具体的に話してあげましょう。親の経験談を交えても効果があります。

どうすればよかったのか一緒に考えよう

最後に、次に同じ状況になった時にどうしたらよいか親子で考えてみましょう。

子供にとって嘘は身を守る手段であり、「そうする以外なかった」と思ってしまうこともあります。一緒に考え、「次はちゃんとごめんなさいって言おうね」など次につながる解決策を見つけられるといいですね。

どうしたら嘘をつかなくなるの?

嘘をつかない子供になってほしい、というのは親の願いですね。そのために日ごろ気を付けなければならないことを2点ご紹介します。

子供としっかり向き合おう!

子供が嘘をついてしまう大きな原因として「承認欲求が満たされていない」という場合があります。

つい厳しく叱ってしまったり、忙しいからと我慢させてしまっていたり、「これくらいできて当たり前」と思って声掛けを忘れてはいませんか?

愛情がきちんと伝わらないと自己肯定感が下がり、褒めてもらいたい、うらやましがられたいという思いから嘘をつくことがあります。結果だけでなく過程を見つめ、子供の心と向き合うように心がけましょう。

親の背中を見せよう!

親は子供の鑑です。親が嘘をつけば子供は「嘘をついてもいいんだ」と誤解してしまいます。

冗談のつもりで「あの池にはワニがいるよ」「お母さんは昔アイドルだったんだよ」などとからったり子供との約束を簡単にないがしろにしてしまったことはありませんか?

それでは子供も罪の意識が薄らぎ平気で嘘をつけるようになってしまいます。まずは親が正しい背中を見せるよう努めましょう。

おわりに~一番大切な事~

いかがでしたか?大人でも子供でも、好んで嘘をつく人はいません。

自分の身を守るために仕方なくついてしまうことが大半で、大きな精神的負担を伴います。そんな時大切なのは「親には本当のことを話せる」という信頼関係なのではないでしょうか。

困った時手を差し伸べてくれる、ありのままの自分を受け入れてくれる、と信じているからこそ子供は親に本当の気持ちを伝えられます。

子供が嘘をついたときこそ、信頼関係を築く大切な機会なのかもしれません。子供と向き合い、受け止め、まっすぐ成長できるように手を差し伸べていきましょう。