母乳で育てたいと思うママは多いですよね。一昔前まではミルクが推奨されていた時代もありました。今のママ世代は、ミルクで育てられた人も多いと思います。

では、なぜ今、母乳が勧められるか知っていますか?それは、母乳は赤ちゃんにとって一番理想的な栄養が含まれているとわかってきたからです。

母乳にはどんな成分が含まれていて、どんな効果があるのか調べました。

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母乳はどんな成分でできてるの?

母乳はママの血液からできている

色は白い母乳ですが、その中身は血液に近い成分でできています。乳房の周囲だけではなく、全身の血液が血流にのって乳腺細胞まで届けられて、母乳を作っています。

妊娠中から胸がはってきたなと感じたママも多いですよね。それは、出産、授乳に向けて乳腺が発達しているのです。

ただ、出産後すぐに母乳が分泌されるのではなく、母乳の分泌は出産から2,3日かかることが分かっています。それまでの期間は、初乳がでます。少量ですが、免疫物質がたくさん入っています。

母乳はどんな栄養素からできている?

栄養がたっぷり入った母乳、ではどんな栄養素が入っているのでしょうか。

まずは3大要素といわれる、身体の組織を作るタンパク質、エネルギー源となる脂肪、脳や中枢神経の発達に欠かせない乳糖

ビタミン類、ミネラル、塩分、ホルモン、酵素など、赤ちゃんが元気に成長するためには欠かせない栄養素がバランス良く入っています。

また、生まれたての赤ちゃんへの負担が少ないのも母乳のメリットですよね。例えば、母乳中の乳脂肪は赤ちゃんのエネルギー源であり、脳と神経系の発達に必要不可欠な物質です。

ただ、脂肪は一般的に消化しにくいといわれて、消化に長時間かかっていては赤ちゃんへの負担もかかります。

ですが、母乳はリパーゼという脂肪を消化する酵素が含まれており、脂肪の消化を助けてくれるのです。

いつまで母乳を飲ませるのが正解?

順調に母乳育児が軌道に乗ってくると、ふと悩むのがいつ母乳を終わらせるかですよね。

離乳食が始まる生後6ヶ月、1歳で切り上げるママが多いようです。子どもの情緒のためにも好きなだけ飲ませるという考え方もあります。

1歳、2歳と飲ませ続けても、母乳自体の栄養は変わらないようです。

特に飲ませたい母乳=初乳、免疫物質がたくさん

初乳の免疫物質

赤ちゃんを守る、分泌型免疫グロブリン

母乳の中でも特に飲ませたいのが初乳です。

初乳は産後から2,3日の間に出る黄色い母乳のことで、少量で少し粘り気があります。

この初乳の中には、分泌型免疫グロブリンと呼ばれる免疫体がたくさん含まれていることが分かっています。ママのお腹のなかで胎盤を通してもらっていた抗体とは別の働きをしてくれます。

この分泌型免疫グロブリンは、初乳を通して赤ちゃんの胃や腸の粘膜に広がります。

すると、細菌やウィルス、アレルギーの原因になるタンパク質が入ってきても中に進入できないように、粘膜が守ってくれます。

つまり、初乳を飲ませることで、腸が守られるのです。

他にも、口の中の粘膜、中耳の粘膜、気管支の粘膜の表面に広がり、感染の防止をしてくれています。

この観点から、初乳は免疫がつく、赤ちゃんにとって大切と考えられているのです。初乳が終わっても、濃度は薄くなりますが免疫グロブリンは母乳に入っています。

大腸菌を押さえる役割も

ママのお腹の中で無菌状態で過ごしていた赤ちゃんですが、外の世界に出たとたんに雑菌にさらされます。

まず、腸管の中に大腸菌が定着しますが、

初乳を飲んでいると乳酸菌であるビフィズス菌が大腸菌の勢力を押さえてくれます。

その他、母乳には大腸菌に対して強い抗菌力を持っているラクトフェリンというタンパク質も含まれています。

発展途上国では、母乳を飲めなかったために下痢を起こして死んでしまう子どもたちが大勢います。赤ちゃんを健康に育てるには、初乳が大事な役割を果たしているのです。

他にもある母乳のメリット

乳幼児突然死症候群の予防になる

生後6ヶ月までの赤ちゃんに発症することが多い、乳幼児突然死症候群。それまで元気にしていた赤ちゃんがいつの間にか呼吸をしていない、死んでしまう悲しい出来事です。

直接の原因はまだ解明されていませんが、

母乳育児をしている赤ちゃんは、この病気が比較的少ないことが分かっています。

オーストラリアでは、母乳育児をしよう、うつぶせ寝をやめよう、たばこを赤ちゃんの近くで吸わないとういキャンペーンを開催したところ、突然死する赤ちゃんが減ったという事例もあります。

太りすぎを予防する

母乳は、飲み始めと飲み終わりでは味が違うことが分かっています。赤ちゃんが飲んでいるうちに、母乳に含まれている脂肪の量が2~3倍にまでなるのです。

カロリーが高くお腹がいっぱいになるので、赤ちゃんは満足し自然とおっぱいを離します。成分が変わるので、味も少し変わります。

母乳の成分を変えることで赤ちゃんが飲む量を調節して、太りすぎを予防してくれます。

また母乳は吸うのにもエネルギーがいるので、吸い続けることは難しく自然と飲み過ぎを減らしてくれます。

太りすぎると脂肪細胞を作り出し、それは生涯なくなることはありません。将来、食べる量を減らしても中々やせることができなくなります。

脳の機能を高めてくれる

有名なイギリスの医学雑誌『ランセット』によると母乳で育った子どもは知能が高くなるという報告が掲載されました。

母乳中には、脳の発達させるアミノ酸の一種タウリンが含まれていますし、長鎖不飽和脂肪酸といわれる脂肪が含まれています。

この長鎖不飽和脂肪酸のうち、

ドコサヘキサエン酸は人間の脳には欠かせない脂肪といわれています。

母乳には、人間の高度な脳の機能を維持する成分が含まれているのです。

まとめ

母乳のうち、特に初乳には免疫物質がたくさん含まれていることが分かりました。

その後の母乳内にも、免疫物質は分泌し続けています。その他、たくさんのメリットが母乳にはあることがわかりました。

赤ちゃんの健やかな成長のためにも飲ませたいものです。ただ、ママの心身の健康があってこその母乳育児です。辛いときは、ミルクに頼って上手に乗り切ってくださいね。