「尿漏れ(尿失禁)って出産したら治るんじゃないの?!」なんて、産後の尿漏れに困惑しているお母さん、けっこういるのではないでしょうか。
産後やっと落ち着くと思っていたのに尿漏れしてしまうと、けっこうショックですよね。
産後の尿漏れは、妊娠中とは違った原因があり、時期がくると治るので安心してください。しかし、さまざまな原因から治らなくて困っているお母さんもたくさんいるのも事実です。まずは、お母さん自身が治したいと思う気持ちが大切ですよ。
出産後すぐに尿意を感じなかったお母さん、尿漏れに気をつけて!
今、この記事を読んでくださっているみなさんの中には、出産してすぐの時に、尿意を感じなかった人も多いのではないでしょうか。
たいていの場合、2~3日程度で尿意を感じるようになり、それほど気にならなかったお母さんもいるかもしれませんが、導尿しなければ尿が出なくて大変な思いをしているお母さんや、なかなか尿意を感じない、鈍いなど、不安な時間を過ごしているお母さんもいます。
私も、下の子を出産後、尿意を感じなかった1人ですが、私の場合、退院するくらいの頃には、尿意を感じることができるようになり、上の子達の時には、尿漏れは妊娠中だけで終わっていたので、まったく気にも止めていませんでした。
・・・が、これが頻尿になり、さらに尿漏れ!
「子供をたくさん産んでいるんだからしょうがない」と思いつつ、いろいろと試し、頻尿が回復し、完全に尿漏れしなくなるまでには、2年かかりました。
妊娠中に尿漏れがあったお母さんや、出産してすぐに尿意を感じなかったお母さんは、その時すぐに現れなくても、後に尿漏れの症状が現れる可能性が高いそうです。
私のように産褥期にすでに現れている場合もあれば、40代、50代と、年齢を重ねてから症状が現れることもあるので、対策が必要です。
産後の尿漏れはいつまで続くの?治るまでは尿漏れパットのお世話になろう!
「そのうち治るんでしょ?」と思っているお母さん、まずは、確認してください。
後述しますが、骨盤底筋や神経の傷などが回復してくるのは1~2か月といわれていて、たいてい3か月頃までには、傷やゆるんでいた筋肉は、元に近い状態にまで戻ります。そのため、4か月くらいまでに、尿漏れも落ち着いてくるのが一般的です。
しかし、傷が治るまでには個人差があり、さまざまな要因から尿漏れしやすい状態になってしまっているお母さんもいます。
- もともと骨盤底筋や、膀胱の働きが弱い
- 高齢出産
- 出産回数が3回以上の経産婦
- 妊娠中に尿漏れがあった
- 子宮口が開いてから5時間以上かかった
- 赤ちゃんが3,500g以上あった
- 出産直後に尿意を感じなかった、あるいは鈍かった
- 産後、子宮の収縮が遅かった
- 産後1週間以上、子宮が下がったままで、戻るのに時間がかかった
などのようなお母さん方は、治るまでにもっと時間がかかることも少なくなく、当てはまらない人でも、長引いてしまう場合もあります。
多量に尿が漏れてしまうなど症状がひどい場合、膣辺りに違和感がある場合、産後6か月以上たっても治らない場合は、出産した産婦人科、あるいは泌尿器科に行って相談してみましょう。
そして、治るまでは、尿漏れパットのお世話になることで、下着を何度も取替えなくて済みますし、安心して外出することもできます。
産褥期を過ぎて悪露が落ち着いても、尿漏れ対策にナプキンを使っているお母さんも多いかと思います。ダメではないんですが、生理用、おりもの用、尿漏れ用と、それぞれ違った商品があるのは、それぞれ違った成分による臭いを消臭するためで、生理用ナプキンで尿の臭いは消臭されません。
私もなんとなく尿漏れパットを買うのが恥ずかしくて、生理用ナプキンを代用していたひとりですが、けっこう臭いが気になるんですよね。外出先で臭いが気になると楽しさも半減してしまいます。
症状に合わせて、大小それぞれのサイズの商品が販売されているので、尿漏れには尿漏れ対策用のパットを使うことをおすすめします。
産後の尿漏れにはどんな症状があるの?
一口に尿漏れといっても、いろいろな症状があるのを知っていますか?尿漏れは「排尿障害」という障害に含まれます。
- お腹に力を入れると漏れてしまう(腹圧性尿失禁)
- 急に我慢できないほどの尿意を感じ、間に合わずに漏れてしまう(切迫性尿失禁)
- 尿意を感じないまま、膀胱が収縮して漏れてしまう(知覚障害)
- 残尿感があって、トイレに行ったばかりでも、また行きたくなる(膀胱炎・排尿困難)
- 尿意はあるけど尿が出づらく、時間がかかる(排尿困難)
などのような症状です。
産後の症状として多いのは、お腹に力を入れると漏れてしまう腹圧性尿失禁で、誰でもなる可能性がありますが、他4つの症状も、全くないとは限らないものです。
また、排尿障害とは別に・・・
- 子宮が下がる(子宮下垂)
- 子宮が膣から出てしまう(子宮脱)
- 膀胱が下がる(膀胱下垂)
- 膀胱が膣から出てしまう(膀胱脱)
- 直腸が膣から出てしまう(直腸脱)
他にも、直腸脱、尿道脱など、骨盤内にある臓器が膣から出てしまう「骨盤臓器脱」を始め、「便秘」なども、産後になりやすい症状のひとつで、尿漏れとも深く関係しています。
また、お母さん本人が今まで気づいていなかっただけで、もともと、膀胱機能に問題がある、脊髄に問題があるなどの場合、出産が引き金となって尿漏れが起こる場合もあります。
尿漏れの他に気になる症状がある場合は、出産した産婦人科、または泌尿器科に相談してみることも大切です。
「恥ずかしくて、なかなか病院に行くのは・・・」と思っているお母さんも多いと思いますが、たくさんの人が経験していて、病院に通っている人もたくさんいます。何も恥ずかしがる必要はないので、安心してくださいね。
産後の尿漏れは骨盤底筋の「筋力低下」「損傷」「伸びきる」が原因
産後に尿が漏れてしまう症状はよくある話で、一過性のものが多いので、まずは安心してください。
「安心してくださいって言われても、治らない場合もあるってことでしょ?」と、思ってしまいますよね。このような症状がどうして起こるのか、そこに一過性であるというヒントがあります。
産後の尿漏れは、妊娠中とはまったく原因が違い、出産時の骨盤底の神経や筋肉にかかる負担が大きな原因です。
骨盤の内部には、子宮、膀胱、直腸などの臓器があり、その骨盤の底にあたるのが骨盤底です。骨盤底には、臓器が下に下がらないように抑えるための筋肉があり、その総称が「骨盤底筋」です。
- 膣をしめる働きをする膣括約筋(球海綿体筋)
- 尿道をゆるめたり、しめたりする働きをする外尿道括約筋
- 肛門をゆるめたり、しめたりする働きをする外肛門括約筋
- 肛門を上に吊り上げる働きをする肛門拳筋
などの筋肉があり、ハンモックのように臓器を支えています。この骨盤底筋筋に「筋力低下」「損傷」「伸びきる」などが起き、尿漏れの原因になります。
「骨盤底筋の筋力の低下」
妊娠中の尿漏れの中のひとつにも挙げられていますが、赤ちゃんが大きくなるにつれ、子宮を大きくするために分泌される女性ホルモンが、骨盤底筋を緩ませる働きをします。そのため、骨盤底筋の力が弱まって尿道のしまりが悪くなり、尿が漏れます。
筋力を弱めていた女性ホルモンは、産後、急激に減少するため、ゆるみも改善されるように思いますが、1度ゆるんだ筋肉は、女性ホルモンが減少しただけで全てが戻るわけではありません。
妊娠中にお腹に力を入れないように生活をしていた筋力低下の分があるので、尿道のしまりも、すべて改善されるわけではなく、腹圧性尿失禁に繋がります。産後の尿漏れで、1番多い原因がこれです。
「骨盤底筋や神経の損傷」
特に、5時間以上時間がかかったなどの難産だったお母さんに多く、出産の時のいきみ方や、何時間もの間いきみ続けているうちに、神経や筋肉が切れたりするなどによって、傷がつくことがあります。
その傷の影響によって、神経や筋肉が麻痺してしまい、知覚障害になります。そのため、尿意を感じることができなくなり、膀胱に尿がたまると、自動的に収縮して尿が漏れます。
また、神経や筋肉が麻痺すると、尿道を締めたり、緩めたりという動作が上手にできなくなり、尿意を感じても排尿することができない排尿困難になることもあります。
「骨盤底筋の伸び」
特に、吸引をして赤ちゃんを出すなどの難産だったお母さんに多く、出産の時に無理に引っ張られるなどによって、骨盤底筋が引っ張られ、伸びきってしまうことがあります。
神経や筋肉が伸びきってしまうと、麻痺して知覚障害になります。そのため、神経や筋肉が尿道をしめることができずに、尿漏れが起きます。
骨盤底筋の損傷は、他の傷と同じように時が経てば治ります。また、ゆるんでいた筋肉も、出産したことによって元に戻そうとする力が働き、徐々に改善されます。そのため、自然に改善されることも多いというわけです。
しかし、前述したように、さまざまな要因が重なり、改善までに時間がかかってしまう場合もあるので、まずは、改善するための対策をとることが大切なんです。
産後の尿漏れ対策!骨盤底筋を鍛え、排尿訓練をして改善、尿漏れパットを卒業しよう!
尿漏れは、病院に行くのが恥ずかしい、時が経てば戻る一過性のもののことが多い、尿漏れパットを使えば、それほど問題なく生活ができてしまうなどの要因から、赤ちゃんの育児に追われ、放置してしまいがちですよね。
でも、ちゃんとケアしなければ、そのまま一生治らないなんてことにもなりかねないので、2か月頃から改善するための対策をしてみましょう。
頻尿対策としてよく言われるケーゲル体操というものがあり、これは頻尿だけでなく、尿失禁にも効果があり、骨盤底筋を鍛えることができます。
- お腹に力が入らないように意識する
- 膣と肛門辺りを意識して、おならを我慢する時のように力を入れたまま5秒
- 力を抜く
ケーゲル体操は、上記を4~5回繰り返すだけのものです。仰向けに寝て、四つん這い、立ちながら、座りながらなど、自由な体勢で行っていいというのが、とってもありがたい体操です。
育児に家事に追われ、忙しい生活の中で、せっかく自由な体勢で出来るのですから、
- 食器を洗いながら
- 子供を寝かせながら
- 洗濯物を干しながら
など「ながら運動」にうまく取り入れると、そのために時間をとられなくて効率がいいと思います。
正直にいうと、「ケーゲル体操」という体操名があるのを知ったのは、つい最近の話で、尿漏れをしていた時には、まったく知りませんでした。
私の場合、坐骨神経痛を治すためにしていた、茶碗洗いをしている時の「ながら運動」の中に、つま先立ちをしながらお尻に力を入れるストレッチがあります。これが、ケーゲル体操の「おならを我慢する時のようにお尻に力を入れる」に当てはまっていたのもあって、尿漏れが改善されたのが大きく、今でも続けています。
また、トイレで出来るものもあります。
- おしっこをしている最中に、我慢する時のように膣に力を入れておしっこを止める
- 2~3回繰り返しながら、すべて出し切る
というものがあります。
これは、子どもがおしっこを漏らすようになって調べていた時に知った方法で、せっかく治った尿漏れが、年齢を重ねてまたなると嫌なので、最近やり始めました。1日1回ですが、するように心がけています。
もう一つ忘れてはいけないのは、どんなに改善されたと思っていても、1度尿漏れを経験した人は、便秘やストレスなどの要因から尿漏れしやすくなります。便秘やストレスなどに気をつけながら、生活することも忘れないでくださいね。
まとめ
産後の尿漏れは、出産した女性であれば誰にでも起こり得る症状のひとつです。
一過性のものが多く、「骨盤底筋の筋力の低下」「骨盤底筋や神経の損傷」「骨盤底筋の伸び」が主な原因です。子宮、傷、伸びなどが落ち着いてくる産後2か月頃から、体操を始めてみましょう。
症状がひどい場合、産後6か月以上になっても治る気配がない場合は、恥ずかしがらずに出産した産婦人科、あるいは泌尿器科に行って相談することも大切ですよ。