「こんなに目、悪かったっけ?」「時々、目がチカチカするんだよね」なんて、産後に視力の低下や何かしらの違和感を感じているお母さん、多いのではないでしょうか。
毎日の生活の中で、少しずつ視力が落ちていくのとは違い、産後、いきなり目が悪くなると、不安を感じますよね。産後の視力低下などの症状は、よくある症状のひとつなので、まずは安心してください。
自然に視力が戻る場合もあるとはいえ、そのまま戻らない場合もあり、眼鏡が必要になってしまうなんてことも、よくある話です。まずは、対策をとりながら、少しでも目を休ませることが大切ですよ。
産後に視力低下した体験談
「産後に目を使い過ぎるとよくないんだから、○○やめなさい!」と、誰かに怒られた経験をしたことがあるお母さん、けっこういるのではないでしょうか。
「視力が落ちるのと出産、何が関係あるの?」って思いますよね。私も、そう思っていたひとりで、初めての出産で里帰りした時、ここぞとばかりに小説を読もうと楽しみにしていました。
・・・が、1時間も経つと、目がチカチカしてかすんでくるわ、お腹にも違和感があって、痛いというか、モヤモヤするというか・・・長時間、目を使って何かをしようと思うと、全然だめで「だから言ってるしょ!」と、母親に怒られた経験があります。
2人目の時は、生後3か月になった頃、母親が眼鏡を作る時に、友達が働いている眼鏡屋さんまで一緒に行き、ついでに視力を計ってもらったことがあります。
なんと、1.5あった視力が0.7まで落ちていました。その時、言われたのが「産後は疲れとかで視力落ちることあるから、少し休みな。」でした。
産後に限らず、疲れている時や睡眠不足の時などに、目がかすんだりチカチカしたりすることってありますよね。同じく「視力が低下することもあるんだ」程度に、その時は思いましたが、後から、友達の言った「産後は」の意味がわかったのは、それから2か月たった頃のことでした。
「あれ?小さい字が読める!」
「目が見えにくい・ぼやける・かすむ・チカチカ・疲れる」産後に感じる目の症状は?
いきなりですが、みなさんは、出産にどのくらい時間がかかりましたか?
それぞれ個人差があって、難産で何度も何度もいきんで、半日以上もかかったという人もいれば、私のように、破水して陣痛がしっかりとついてから1~3時間という安産の人もいるかと思います。
どちらのお母さんでも、産後にさまざまな体調不良が起こる可能性はありますが、難産だったお母さんの方が、より産後による体力消耗が著しいことが考えられ、さまざまな影響が出る可能性が高くなります。
産後に起こるさまざまな体調不良の症状のひとつが、視力の低下などの目の症状です。
そんな視力の低下などの目の症状には・・・
- 視力低下
- 目がぼやける
- 細かい作業をした時に、すぐ目が疲れる
- 「老眼?」と思ってしまうほど、小さい字などが見えにくい
- 目がかすむ
- 目がチカチカする
などのような症状がありますが、それに伴い、頭痛やめまい、腹痛、吐き気などの重い症状が現れることもあります。
常にあるお母さんもいれば、そうでないお母さんもいると思いますが、程度の違いであって、どちらも目と身体を休ませた方がいいという危険信号なんです。
産後の視力低下の原因は「いきむ影響・疲労・睡眠不足」
産後の視力低下の原因は、まだまだ研究段階で解明されていないのが現状です。ただ、考えられる原因は3つあります。
・出産時のいきみによる影響
出産の痛みを言葉では表現できないですよね。
そんな痛みとの闘いの中で、いきんでいる時は、知らず知らずに目にも力が入っているものです。そのため、眼球の毛細血管が切れて内出血したり、眼圧がかかり過ぎて視神経に影響が受けます。
・自律神経の影響
目元には自律神経の切り替えスイッチがあり、心と身体を活発にして緊急時やストレスに対応する働きをする交感神経と、心と体をリラックスさせる働きをする副交感神経を、交互に働かせることで、疲れないような工夫をして物を見ています。
スマホやパソコン、TVなど、集中して何かを見る時には、交感神経と副交感神経は、同時に働き、休むことを忘れてしまいます。
産後すぐに、スマホやパソコン、TVなどを見ていると、お腹に違和感を覚えたことがありませんか?
実は、卵巣は交感神経が、子宮は副交感神経が調整しています。そのため、まだ子宮が戻っていない産褥期には、子宮が元に戻そうとするホルモンの刺激を交感神経と副交感神経が受け、目にも影響が出ます。
・肝臓・腎臓機能の低下による影響
東洋医学の中で、目と肝臓・腎臓は深い繋がりがあると考えられています。
悪露や母乳育児の影響に伴い、血液量が減ります。それにプラスして睡眠不足や疲労が重なり、肝臓機能が低下してしまい、目まで栄養が行き届かずに影響が出ます。
また、母乳を作る栄養と、お母さん自身に必要な栄養を分ける働きをしているのが、腎臓です。さらに、腎臓は、私達が口にした水分を無毒化して体内に送る役割と、体外に不要物を出すために尿をつくる働きをしています。
しかし、水分が母乳のためにとられてしまうため、水分不足になり、腎臓機能が低下してしまいます。目にある上部僧帽筋という筋肉は、腎経系の神経で、腎臓と繋がっているため、腎臓機能が低下することによって、目にも影響が出ます。
目がチカチカする・ぼやけるなどの症状には気をつけて!
視力低下の他にも、よく聞く産後の目の症状に「目がチカチカする」などの症状がありますが、こういった症状は、出産時に出血量が多かった、悪露が多い、母乳育児のお母さんなど、血液量が不足して貧血になっている可能性があります。
ひどくなると、倒れてしまうことにもなりかねないので、そうなる前に、対策をとったり、1度、専門医に相談してみるのもひとつかと思います。
原因 | 症状 | |
---|---|---|
眼精疲労 | ストレスや疲労、長時間目を使う影響で目が疲れる | 頭痛、吐き気、肩こり、充血 |
起立性低血圧(脳貧血) | 急に動くことで、脳への血流や血圧が不足する | めまい、立ちくらみ |
閃輝性暗点 | 何らかの理由で脳血管が収縮して血流が悪くなる | 偏頭痛、吐き気、キラキラ・光が見える |
光視症 | 目を閉じても暗い所でも、目の前に光が見える | 加齢、疲れ、睡眠不足 |
高血圧 | 妊娠中毒症だったお母さんに多く、血圧が高い | 頭痛、吐き気、めまい |
産後の視力低下はいつまで続くの?視力は戻る?戻らない?
産後の視力低下の原因は、いきむことによる影響、疲労、睡眠不足です。
いきむことによる影響であれば、出血した傷が治ったり、眼圧が落ち着き、3か月くらいでもとの視力まで戻る、あるいはもとの視力までは戻らなくても、もとに近いところまでは戻ると言われています。
疲労や睡眠不足の場合、子宮の戻りや、腎臓や肝臓の機能による影響がどのくらいのものなのかなどによって違いがありますが、まとまった睡眠がとれるようになってくる3~6か月くらいで、視力が戻ることもよくある話です。
ただ、あくまでも程度にもよるので、私のように半年以内には元に近いところまで回復する人もいれば、1年以上戻らないままという人、まったく戻らないまま、眼鏡やコンタクトが必要になってしまうお母さんも、たくさんいらっしゃいます。
子宮の状態が落ち着き、まとまった睡眠を取ることができるようになる出産後6か月くらいまでは、様子をみても大丈夫かと思います。
それ以上、状態が続いているお母さんや、視力低下の他に、頭痛、腹痛、吐き気、目がチカチカする、目がぼやけるなどの違う症状がある場合、日常に影響があるほどの視力低下がある場合は、眼科、あるいは内科に相談してみることをおすすめします。
眼鏡やコンタクトが必要になるほど悪化する前に、産後の視力低下の対策をとってみよう
「もとに近い状態まで戻すために、何か対策はないの?」と、思うお母さん。実は、全くないわけではないんです。
まずは、心も身体もゆっくり休める時間を作ること、これが1番です。その心と体を休ませることのできる時間を使って、次のことをしてみてください。
・目を温める
目元には、自律神経の切り替えスイッチがあります。目を温めることで、目の血行が良くなるとともに、副交感神経が優位にたち、リラックスした気分になり、疲れが癒えていきます。
- 蒸しタオルで目を温める
- ホットアイマスクを使用して、目を温める
私は、ホットアイマスクは、今、すご~く欲しい一品ですが、残念ながら、まだ使ったことがありません。
でも「蒸しタオルで目を温める」のは、本当に気持ちいいです。目を温めるだけで手足まで温まり、全身がポッカポッカになって、疲れがとれますよ。
・目のストレッチ
私達の生活には、無くてはならないものになっている、TV、パソコン、スマホなどを始め、「一点を集中して見る」ということって、すごく多いですよね。目にも筋肉があり、肩こりなどと同じように、筋肉が固まってしまう原因になり、視力にも影響を及ぼします。
- 遠くの景色を見て、近くの景色を見るを、数回、繰り返す
- 顔を動かさずに目だけを動かして、上下左右を順に見るを10セット
- 同様に、目をゆっくり左回り2~3周、右回り2~3周
・肩と首のストレッチ
これは、私がとても効果があった方法なんですが、赤ちゃんの育児をしていると、抱っこをしたり、あやしたりしているうちに、筋肉が硬直して、肩がこったり、首、背中などの筋肉が固まってしまいます。
そのため、血行が悪くなり、目にも影響が出てしまうので、肩や首のストレッチも、けっこう効果があります。
- 両腕を耳につけて、まっすぐ上に伸ばして10秒数える
- 肩を前後5回ずつまわすのを2セット
- 腕をまっすぐ横に伸ばして肘を曲げ、頭の後ろで両手を組む
- 首を前後左右に順に傾ける動作を10回繰り返す
- 首を左回り10回、右回り10回
・栄養バランス
栄養バランスを考えた食事をする中で、体力UPにつながる食材選びも大切です。
エネルギーになる穀物類はもちろんですが、しじみやレバーなどの貝類やほうれん草などに多く含まれる鉄分と、果物やピーマン、ブロッコリーなどに多く含まれるビタミンCは、疲労を回復してくれる成分のひとつで、これを一緒に摂ることで、より効果がUPしますよ。
ただ、鉄分の摂り過ぎは、肝臓に悪影響をもたらし、まったく違う問題が発生することもあるので、何事にもやり過ぎには気をつけてくださいね。
ちなみに、先日、TVでたまたま見たんですが、バイオレットライトという太陽の紫色の光が、近視を予防したり、悪化するのを防ぐ効果があるという研究結果があるそうです。
このバイオレットライトは、ガラスやUVカットと呼ばれるものによって遮断されてしまっているので、私達の生活の中で、なかなか浴びることができていない光のひとつなのだとか。
バイオレットライトの光を目に届かせるためには、眼鏡やコンタクトをしない状態で、午前中の太陽の光が優しい時に、日光浴をするのが1番いいかもしれませんね。
まとめ
産後の視力低下などの症状は、出産時にがんばった証拠です。産後6か月くらいまで様子をみながら、できることをやってみましょう。
絶対に元に戻るとは限りませんが、目を温めたり、目、肩や首のストレッチをしたりすることで、視力回復も夢じゃないかもしれません。
また、視力低下だけでなく、目がチカチカしたり、かすんだりする場合は、疲労だけでなく、貧血など血液に関係している場合もあるので、気になるようであれば、専門医に相談してみることも大切ですよ。