いまや5人に1人の割合で帝王切開術が行われている日本。出産をするうち、実に2割の女性が帝王切開で赤ちゃんを産んでいます。

つまり、その数だけ産後お腹の傷のケアに悩む女性も増えていることに…。

しかし、赤ちゃんを無事に生むことについては大変努力してくれるお医者様が多い一方、ママのお腹の傷のケアについて詳しく教えてくれるお医者様は少ないのが現状です。

母子ともに無事に出産できるのは大切だけれど、お腹に大きな傷跡が残るのは女性としてショックという人も多いはず。温泉や水着のことを考えると、憂鬱な気分になりますよね…。

しかし、傷口がケロイド化してしまうメカニズムを知ることで対策を練ることも十分可能です。そこで今回は、傷をできるだけきれいに治すためのケア方法をまとめてご紹介。

産後で大変な時期ですが、数年後に後悔しないためにも今できる最大限のケアを続けてみましょう。

スポンサーリンク

いつまでやればいいの?帝王切開の傷口ケアの流れ

傷口ケアといっても、目指す状態によってケアの終着点は異なります。「痒みや痛みを抑えられればオッケー」という場合は最短・最低限のケアでも十分でしょう。

しかし、傷口をケロイド化させずぱっと見であまり目立たない状態まで持っていくには、相応の努力が必要です。それでも「いつまで」という期間さえ分かっていれば頑張りやすいものですよね。

ここでは、術後から退院までの病院での傷口の経過と、自宅での基本的なケア方法、ケロイド化を防ぐために必ず押さえておくべきポイントをご紹介します。

術後から退院までの病院での経過

病院の方針により、切開方法や縫合の際にどのような方式を取るのかは異なりますが、ほとんどの場合術後から退院(または抜糸)までは傷口を大きなバンソウコウで保護しています。

ですので、このバンソウコウが剥がれるまではお手入れとして傷を触る必要はありません。退院時、または抜糸の時までは傷口のケアのことは考えず、体力の回復に努めましょう。


最近は、縫合の際に「溶ける糸(吸収性)」と呼ばれる抜糸不要の糸を使う産院も増えています。抜糸には痛みが伴うことが多いですが、そうしたストレスが軽減されるためホッとされる方も多いでしょう。

ただし、傷跡の美容面においては抜糸が必要な非吸収性の糸の方がより傷跡が残りづらいとも言われているのです。抜糸を行うには技術が必要ですので、病院の規模などによりどの糸を使って縫合するかは基本的に選択できないようになっています。

しかし、一度ついてしまった傷は消えることはありません。

術後の後悔を残さないためにも「傷跡はなるべく綺麗に縫ってほしい」と担当のお医者様に相談しておくと良いでしょう。

正常瘢痕(せいじょうはんこん)とケロイド

傷口ケアが成功すると、傷跡は白く変化し幅の狭い目立たない状態になります。傷跡が横切開の場合では、ここまできれいにできれば余程じっくり見ない限り気づかないレベルになります。

この状態を正常な傷跡(正常瘢痕)とした場合異常な状態と言えるのが、傷跡が赤く腫れあがり非常に目立ってしまう「ケロイド状態」です。

では、ケロイドとはどのようなメカニズムで発生するのでしょうか。簡潔にまとめると、以下のような経過でケロイド化が進んでいきます。

  1. 傷跡が回復する際、組織を修復するために繊維組織が蓄積される。この繊維組織は傷口をくっ付けるボンドのような役割。
  2. この繊維組織が何らかの理由で過剰に生産された結果、傷跡からあふれ出し赤いミミズ腫れのような状態になる。傷口をくっ付けるより多い量のボンドが溢れて固まってしまった状態がケロイド。


つまり、傷が治っていく過程で過剰生産された余分な組織が傷跡の見た目を汚くしてしまうのです。

こんなことに気をつけて~ケロイド化を防ぐには~

では、どのような原因で修復組織の過剰生産が起こるのでしょうか。リスクを高める要因として以下のことが分かっています。

  1. 外的な皮膚張力などの物理的な刺激(皮膚が引っぱられやすい部分の傷はケロイドになりやすい)
  2. 傷口の不適切な湿潤環境
  3. 異物反応やアレルギー反応
  4. 感染

また、ケロイドのできやすさには体質も関わっていると考えられており、ケロイドは白人に少なく、黒人に多い傾向にあります。また、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、喘息などのアレルギー性の病気がある家系では、ケロイドの発生率が高いといわれています。

以上のことから傷をケロイド化させずきれいに治すためのポイントは、傷口を刺激から守り保湿をするという2点に絞ることができます。体質などの問題もありますが、セルフケアをするときにはこの2点を押さえるようにしましょう。

傷口の保護は、方法に関わらず半年から一年は続ける必要があります。

傷口自体は1~3ヶ月で落ち着く場合が多いため、痒みや痛みを感じなくなったタイミングでやめてしまう人が多くいます。しかし、早い段階で保護をやめてしまった場合、服や下着などで傷口がこすれてしまいケロイド化が進んでしまう場合もあるのです。

帝王切開の傷口ケア!おうちできるオススメグッズ3選

「ケロイド化する仕組みはわかったけど、傷口を守るってどうすればいいの?」と思った方!実はいま、ドラッグストアで手に入るものからネットで購入するものまで、術後の傷口をきれいな状態で治すための製品はいろいろあるのです。

その中でも特に先輩ママたちの間で選ばれているものを3つご紹介します。自分のライフスタイルやお財布事情に適したものを選んで、無理なくラクにケアを続けましょう。

注意

※アンダーヘアの処理を忘れずに
いずれのケアの場合にも、傷口を覆う広範囲にテープを貼ります。傷口への不要な刺激を抑えるためにも、テープの貼替は頻繁に行うべきではありません。一度貼ったテープをより長く持続させるためにも、アンダーヘアの処理を忘れずに行うようにしてください。

手軽さNO.1!マイクロポアテープ

近場で買えて安く済ませたい!とにかく手軽さ重視のママにオススメなのが、マイクロポアテープによる傷口ケアです。

ドラッグストアや総合病院の売店などでも購入することができ、値段も500円前後で入手可能なのが大きな魅力です。粘着力の強いタイプを選べば貼替の手間も少なく済むため、多くのママがこの方法での傷口ケアを行っています。

≪手順≫

  1. テープを5センチほどにカットする
  2. 端から順に、傷あとに対して垂直方向に貼る(横切開はテープを縦に、縦切開はテープを横に)
  3. 次のテープも先に貼ったテープに少し重ねながら貼る
  4. 傷口をすべて覆うまで繰り返し

帝王切開の傷口テープ貼り方

※貼替は不要、自然と剥がれた時に新しいテープへ交換する
※無理に剥がすと肌への刺激となりケロイド化の原因になるので注意

帝王切開を経験したママのために…アトファイン

手術の傷跡を目立たずきれいな状態で治すことを目的に開発された保護テープ。公式サイトには帝王切開の傷跡についての特設ページが設けられており、手術を控えたママや経験済みのママにとっても大変心強い商品です。



通販での販売がメインの商品で、ドラッグストアでは取り扱われていないことがほとんどですので、人によっては手軽とはいいづらいのが難点。①のテープと比べるとお値段も少々張りますが、5~7日を目安に貼替なので長く使えるのがメリットです。

剥がれてきたら交換が必要ですが、基本的には張ったまま入浴もでき肌にも優しい素材のためコスパの良い商品と言えるでしょう。

高品質でコスパ良し!エフシート(シリコンジェルシート)

シリコンでできたシート状の保護材です。強い粘着力で貼り付くために、ケロイドの原因となる傷にかかる皮膚の負担を抑えることができます。

他の製品ともっとも異なるのは、シリコン製のため洗って繰り返し使えるので経済的であるという点です。粘着力が下がった場合には買い替えも必要ですが、一つの製品を繰り返し使うことができるうえ①のテープよりも保護力が高いので人気のある商品です。

様々な種類のシリコンジェルシートが販売されていますが、今回は日本製の商品をご紹介します。

まとめ

母子ともに無事に出産を終えるための手段の一つである帝王切開ですが、術後のリハビリや傷跡との付き合いなどを含めるとママの負担は大きいもの。

慣れない育児が待ったなしで続く毎日では、自分のことなんて後回しになりがちです。しかし、数日に一度のケアで半年後、一年後の傷跡には大きな差が生じてしまいます。

希望により傷跡を目立たなくするための手術を受けることも可能ですが、その術後にも今回ご紹介したような地道なケアは必ず行わなければなりません。

毎日少しでも自分の身体をいたわる時間を作ることで、不思議とママの心にもゆとりが生まれますよ。傷跡が気になる方は、ぜひ試してみてくださいね。