赤ちゃんがぐずっているときや、入眠アイテムとして使われることの多い「おしゃぶり」。
とても便利なアイテムではあるのですが、おしゃぶりを使っていると、必ずぶち当たる壁があります。それは「いつどうやって卒業させるか」という問題です。
私も第1子にはおしゃぶりを使わせていたので、卒業のタイミングには頭を悩ませました。卒業させるときに悩みたくないことが理由で、第2子はおしゃぶりを使わずに育てたほどです。
おしゃぶりを日常的に使っている赤ちゃんに、おしゃぶりを卒業させるのに適した時期はどんなタイミングでしょうか。また、どうやってやめさせたらよいのでしょうか。おしゃぶりを使った子育てと、おしゃぶりを使わなかった子育てを両方経験した私の観点からお伝えしていきます。
赤ちゃんにおしゃぶりは必要?
おしゃぶりはすべての赤ちゃんが使っているわけではありません。私も第1子のときは、おしゃぶりを使用し、第2子のときには使用しませんでした。赤ちゃんを育てていくうえで、おしゃぶりは必要なものなのでしょうか。
おしゃぶりのメリットとデメリットを押さえておきましょう。
おしゃぶりの役割
おしゃぶりは、赤ちゃんが口に咥えて使う乳首の形に似た育児グッズです。赤ちゃんは生まれつき、「吸啜(きゅうてつ)反射」という口に触れたものに強く吸い付く原始反射が備わっています。まだ目がはっきりとみえていない状態のときから、おっぱいや哺乳瓶に吸い付くのは、この吸啜反射によるものです。
赤ちゃんは、おっぱいや哺乳瓶の乳首など、何かを咥えた状態でいると、安心感を得ます。乳首の形に似せて作られているおしゃぶりは、赤ちゃんが吸い付きやすい形をしているため、口に咥えやすく、赤ちゃんの気持ちを落ち着かせる効果があります。
泣いている赤ちゃんが授乳をすることで泣き止んだり、おっぱいを飲みながら寝てしまう赤ちゃんがいるように、口に何かを含んでいると、リラックスできることから、赤ちゃんをあやすアイテムとして広く使われています。
おしゃぶりを使うメリット
赤ちゃんがおしゃぶりを使うメリットには次のようなものがあります。
- 泣き止んでくれる
- 大声で騒がない(特に外出時)
- 入眠がスムーズ(寝つきがよい)
- ママのストレスが軽減される
口におしゃぶりを咥えることで、気持ちが落ち着き、泣き止みやすくなります。また口にものを咥えているので、大きな声で騒ぐことがないので、外出時に使用している人も多くいます。
私が第1子のときにおしゃぶりを使うようになったきっかけは、夜なかなか寝てくれなかったことでした。まだ生後1週間程度のときで、昼夜の区別がついていない時期だったので、寝てくれなくても仕方のないタイミングでしたが、「おしゃぶり使ったら落ち着くんじゃない?」という母の一言で、おしゃぶりを試してみたのです。
すると、夜になるとなかなか寝付かなかった娘がおしゃぶりを咥えるとぐっすり眠ってくれるようになり、昼夜逆転の生活も無事終えることができました。
それ以降、第1子の娘は昼寝と夜の睡眠時のみ、おしゃぶりを活用する生活を送っていました。入眠をスムーズにするアイテムとしては大活躍でした。
このように、おしゃぶりを使うと、赤ちゃんが泣き止まない、大きな声で騒ぐ、なかなか寝ない、眠りが浅いなどの悩みを一部でも解消してくれるので、それがママの育児ストレスを軽減することにつながります。
おしゃぶりを使うデメリット
ママの育児ストレスを軽減する強い味方のように思えるおしゃぶりですが、メリットだけではなく、デメリットもあります。おしゃぶりを使うデメリットには次のようなものがあります。
- 長時間使用し続けると歯並びに悪影響がある
- 言葉を発する練習ができず、言語発達が遅れる可能性がある
- おしゃぶりに頼り過ぎて、家族とのコミュニケーションが減る
- 習慣性が強いため、おしゃぶりがないと落ち着かなくなる
おしゃぶりは、口にずっと咥えた状態が続くので、長時間使用し続けると、歯並びや歯のかみ合わせに悪影響があるとされています。
また、おしゃぶりを咥えると口を閉ざした状態になります。言葉を発する時期になってもその練習ができないため、言語発達が遅れる可能性が指摘されています。咥えさせる必要のない時間まで咥えさせないよう心がけましょう。
見た目や言語への影響も重要ですが、おしゃぶりには精神的にも大きな影響を与えます。おしゃぶりを与えると、赤ちゃんが泣き止んだり、ぐずるのをやめたりしてくれるので、泣いている理由も考えなくなり、泣いている赤ちゃんに言葉がけしたり、あやしたりする機会が減ってしまう傾向にあります。おしゃぶりを咥えさせればすべてが解決するとは考えないようにしましょう。
私が第1子のときに一番頭を悩ませたのが、おしゃぶりの習慣性でした。おしゃぶりがあると、スムーズに入眠してくれる一方で、おしゃぶりがないと、うまく寝付けない赤ちゃんになってしまいます。
我が家では、入眠時にしか使用していなかったので、外出などの際には持ち歩いていませんでしたが、移動中の車のなかでうまく眠れず泣き続けたりすることが幾度となくありました。おしゃぶりにはこういった習慣性があるため、日常的に使い始めると、なかなかやめさせることができず、卒業のさせ方に頭を悩ませてしまうのです。
おしゃぶりをやめる時期
赤ちゃんが日常的におしゃぶりを使用していると、ママも赤ちゃんもおしゃぶりを使うことが習慣化しているので、なかなかやめづらくなります。それでも、大人になってもおしゃぶりを使っている人はいません。どこかのタイミングでおしゃぶりを卒業する必要があります。
おしゃぶりはいつごろまでにやめればいいのでしょうか。おしゃぶりをやめるにはおすすめの時期と避けた方がいい時期があります。それぞれ確認していきましょう。
子どもに説明できるようになってから
いつも使っていたものを急に取り上げられると、赤ちゃんは心的ストレスを感じて、精神状態が不安定になってしまう可能性があります。パパやママの言葉に耳を傾けることができるようになり、もうやめる時期がきていることを、赤ちゃん自身に説明できるようになったタイミングで卒業を考えることをおすすめします。
言葉がきちんと理解できなくても、赤ちゃんはなんとなく親が意図していることをくみ取るようになります。もうやめなければいけないんだな、という空気を察することができる月齢になったら、少しずつおしゃぶりとの距離をとる練習をしていきましょう。
「赤ちゃんがなかなかおしゃぶりをやめてくれない」と、おしゃぶりがやめられない赤ちゃんを責めてしまいがちですが、赤ちゃんは、自分でおしゃぶりを使い始めたわけではありません。
赤ちゃんにおしゃぶりを与えたのは大人です。おしゃぶりが習慣化してしまい、なかなかやめられないことの責任は、赤ちゃんではなく、大人側にあることを忘れないでください。赤ちゃんとママの双方が納得いく段階での卒業を目指しましょう。
保育園や幼稚園に入園する前
赤ちゃんに説明できる段階まで待ちたいところですが、物理的に赤ちゃんがおしゃぶりをやめなければいけない場合があります。それは、保育園や幼稚園に入園するときです。
園の方針によっては、おしゃぶりを使用することを認めているところもありますが、大半はおしゃぶりが使用できません。そのため、入園するまでに卒業させておかないと、子どもが園に滞在する時間、おしゃぶりを使うことができず、情緒不安定になってしまう可能性があります。
直前になって卒業させようと思っても、うまくいかないことがあります。おしゃぶりが卒業できないまま、通園が始まってしまうと、環境の変化に耐えられず、通園を嫌がる可能性があります。少なくとも1~2ヵ月は余裕をみた方がいいでしょう。
避けた方がいい時期
習慣化してしまっているおしゃぶりをやめるのは、赤ちゃんにとってもママにとっても、精神的な負荷がかかります。卒業に向けて取り組むタイミングとしては、赤ちゃんもママも体調が万全で、精神的にゆとりがあるときがベストです。
次にあげるような時期には、おしゃぶりの卒業に向けた取り組みを始めるのを避けた方がいいでしょう。
- 引っ越しの前後
- 保育園や幼稚園の通園が始まる直前
- 季節の変わり目(体調を崩しやすい)
- 赤ちゃんの体調が悪いとき
- ママの体調が悪いとき
専門家の見解
日本小児歯科学会の見解としては、2歳までにおしゃぶりの使用をやめることで、歯並びへの影響は改善されるとしています。乳臼歯が生え揃う2歳半~3歳になっても、おしゃぶりの使用を続けていると、かみ合わせに異常が残ることがあるので、注意するよう促しています。
また4歳を過ぎても、おしゃぶりの使用がやめられない場合には、情緒的な面を考慮して、小児科に相談することが推奨されています。
おしゃぶりの卒業方法・やめさせ方
習慣化してしまったおしゃぶりを卒業させるのにはどのような方法があるのでしょうか。
やめさせ方には様々な方法があります。実際におしゃぶりを使っている赤ちゃんの性格を考慮し、どの方法ならやめさせることができそうかを考えてみましょう。
おしゃぶりを使っている時間が長ければ長いほど、卒業するまでは時間を要します。試してみた方法でうまく卒業できなかった場合には、次の手段も考えておくことが重要です。
やめる日を決める
まずは、卒業の目標となる日を決めましょう。赤ちゃんにおしゃぶりを渡すときには、必ず「○日になったら、おしまいにしようね」と声をかけ続けます。その声かけによって、赤ちゃんにおしゃぶりとのお別れが近づいていることを事前に伝えておきましょう。
日にちの概念はまだないと思うので、好きなテレビ番組が放送される日や、どこかにお出かけする日など、赤ちゃんが楽しみにしている日を設定することで、不安な気持ちより楽しみな気持ちが上回るようにすると、卒業へ誘導しやすくなります。
また、やめる日にちを決めるのは、赤ちゃんのためというより、ママ自身に言い聞かせるという目的があります。赤ちゃんに言い聞かせながら、自分もその日が迫っていることを意識できるので、ママの覚悟をより一層強いものにします。
使ったときに不快感を与える
赤ちゃん自身に、「おしゃぶりを使いたくない」と思わせるためには、使ったときに不快感を味わうようにすることが有効です。
具体的には、次のような方法があります。
おしゃぶりの味を変える
少量のわさびやからしなどをおしゃぶりに塗り、咥えるとまずい状態にします。わさびやからしは刺激物なので、おしゃぶりに塗るのはごく少量にするよう注意してください。
また、塗ったまま放置するのは衛生的ではありません。おしゃぶりを与える都度、洗って、新しく塗り直すようにしましょう。
穴を開ける
おしゃぶりに針などで穴をあけると、おしゃぶりに吸い付いたときに、空気が入るようになります。いつもの吸い心地と違うので、不快感を感じ、おしゃぶりを受け付けなくなることがあります。
開けた穴から、空気とともに赤ちゃんのヨダレがおしゃぶりの中に入り込むので、使用後は中までキレイに洗うようにしてください。
物理的に使えなくする
おしゃぶりを卒業しようと、事前に言い聞かせてある場合には、赤ちゃんが見ている目の前で、おしゃぶりを物理的に使えない状況にしてしまうことが効果的です。
次のような方法で、赤ちゃんにもうおしゃぶりが使えないことを伝えましょう。
はさみで切る
おしゃぶりの咥える部分をはさみで切り取ってしまうことで、もう使えないことを理解してもらう方法です。
この場合、実際におしゃぶりをもう使うことができません。赤ちゃんがその日、精神的不安定になり、夜眠ってくれない可能性もあります。リスクを感じる場合には、予備のおしゃぶりを準備しておくことをおすすめします。
誰かにあげる
実際に誰かにあげる必要はありませんが、下の兄弟や年下のお友達など、できれば身近な存在の誰かにあげることで、自分はもう使うことができないと理解してもらいます。
あげる相手を月齢が下の子にすることで、大きくなったから、もうおしゃぶりを卒業するんだという感覚が強くなります。実際にあげてしまうわけではないので、耐えられそうにない場合は、一度返してもらい、またあげる気持ちになるのを待ちましょう。
見ている前で捨てる
卒業日を事前に伝え、もうやめることを言い聞かせてから、その日になったら、赤ちゃんが見ている前で捨てます。親が捨ててもいいですが、自分の手でゴミ箱に捨てさせることができれば、さらに効果的です。
これは、もうおしゃぶりはいらなくなったということを、自分で理解できる月齢に達していることが前提のやめさせ方です。捨てるということをまだ理解できない赤ちゃんには通用しませんので注意しましょう。
別の入眠アイテムをみつける
入眠アイテムとしておしゃぶりを使用している場合には、おしゃぶりに代わる入眠アイテムをみつけておくことが重要です。入眠アイテムとして代表的なのものには、ぬいぐるみがありますが、おしゃぶりの代わりに口に咥えることができるタオルやハンカチもおすすめです。
入眠時にだけおしゃぶりを使用していた私の第1子が、次なる入眠アイテムとして愛用し始めたのは、大人用の薄手の毛布でした。薄手とはいえ大人用なので、夏に着て寝るには暑苦しく、外出時に持ち歩くようなサイズでもなかったため、結果的におしゃぶりより苦労するはめになりました。
おしゃぶりの代用品は、なるべくコンパクトで、すぐに洗えて清潔な状態をキープしやすいものに誘導することをおすすめします。
おしゃぶりをやめさせるときのコツと注意点
やめさせるのが大変であると分かっていても、少しでもその負荷を減らして、ママのためにも赤ちゃんのためにも、できる限り穏便に卒業のときを迎えたいものです。
スムーズに卒業のときを迎えるためのコツや注意点をまとめました。
無理強いしない
習慣化している行為をやめるのは、大人でもつらいものです。たばこやお酒、コーヒーなどをやめようと思ってもなかなかやめられないのと同じことです。強制的におしゃぶりを取り上げ、やめることを無理強いしても、赤ちゃんの気持ちを逆なでする結果にしかなりません。
まだ言葉が通じないと決めつけず、ママと一緒に頑張って卒業しよう、という思いを赤ちゃんに伝える努力をしてください。ママの思いが強ければ強いほど、赤ちゃんは、ママが伝えようとする気持ちを汲み取ろうと頑張ってくれます。双方が納得して卒業できるよう心がけましょう。
生活に変化のないタイミングで
前述したとおり、引っ越しや通園など、生活に変化のあるタイミングは、その変化に対応するだけで精一杯です。ただでさえ、精神的に不安定になりやすい時期なので、そのタイミングで愛用品を取り上げるのは避けましょう。
赤ちゃんもつらいですし、赤ちゃんが泣き続けることで、ママも精神的に追い詰められます。赤ちゃんもママも、いつもと変わらない生活を送れるタイミングを見計らって、卒業への取り組みを始めましょう。
睡眠不足に注意
おしゃぶりを入眠アイテムとして活用している場合は特に、赤ちゃんもママも睡眠不足になることが懸念されます。
私の第1子も入眠アイテムとして使用していたので、おしゃぶり無しで寝かしつけをしようとしてから2~3日はうまく寝付けず、結局おしゃぶりを使用しました。
また、その後もおしゃぶりがないことで眠りが浅くなり、夜も何度か目覚めて泣きました。そのため、泣いて眠れなそうな夜は、おしゃぶりをあげて、その回数を少しずつ減らしていくことで無事卒業することができました。
うまく眠れない責任は赤ちゃんにはありません。泣いてもおしゃぶりを与えないで卒業させる方法もないわけではありませんが、泣いて眠れず、睡眠不足が続いては、赤ちゃんの体調にもママの体調にもよくありません。一日での卒業が難しい場合には、使用頻度を減らしていく方法をとり、睡眠時間は確保するようにしましょう。
とにかく根気よく
一日でやめることができる赤ちゃんもいますが、それは非常にまれなケースです。何日、何週間、場合によっては1ヵ月単位の日数をかけて、ようやく卒業できる子もいます。
一度のチャレンジで諦めることなく、様々な方法を試してみましょう。卒業させることがストレスに感じ始めたら、一時休戦して、リセットすることも重要です。とにかく根気強く、ママと赤ちゃんが一体となって、卒業を目指しましょう。
まとめ
おしゃぶりは、育児をスムーズにする快適なアイテムであると一方で、習慣化すると、やめさせることの難しいものでもあります。
ただ、大人になってもおしゃぶりを咥えている人がいないことからも分かるとおり、遅かれ早かれ、みんなどこかの段階で卒業のときを迎えています。おしゃぶりを卒業できない子どもはいません。その事実を心の支えとして、赤ちゃんと向き合いながら、様々な方法を試してみましょう。
いつか、その子に合った卒業方法をみつけられるときがきます。その時を迎えるまでは、ママにも赤ちゃんにも試練のときが続くかもしれませんが、コミュニケーションを密にとりながら、一緒に取り組みましょう。