赤ちゃんは個人差はあっても産まれて1歳前後に意味のある言葉が出ます。

でも、言葉を話すための環境が整っていてこその変化であり、保護者の関わりによっては時期が遅くなることは珍しくありません。

ここでは、言葉が出ないという悩みを抱えた保護者が、日々の関わりの中で実践することで言葉を育む方法を言語聴覚士が紹介します。

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1歳で言葉が出ない・遅い・少ない…原因は関わり方かも!言葉を教えるには子供との関わり方から分析!

子供が1歳を迎えても一向に言葉が出ないと悩むなら、日々の関わりから成長を分析してみましょう。子供に問題があるのではなく、保護者を中心とした周囲の関わり方が原因で、言葉が出ない状況があるかもしれません。

保護者の接し方ひとつで、子供が言葉を学習する機会が変化します。質の高い言葉の触れ方が実践できると、言語聴覚士などの特別な療育を受けることなく、いつしか言葉が遅いという悩みを小さくできます。

言葉の習得には聞いて学ぶ・見て学ぶという経験が必要です。

その場数が少なければ、どうやって言葉を道具として使うかの理解が進みません。それを周囲が経験させてあげることが、乳幼児期には重要です。

言葉の育ちは周囲の関わりがポイント

言葉の育ちを促すためには、周囲の関わりを変えるのが近道です。

1歳になって言葉が出ないという相談から保健センターや言語聴覚士のいる病院・療育施設へと相談されるケースもありますが、特別な支援をすることなく、保護者の関わり調整を行うことで言葉がグンと伸びることもあります。

現状の発達に合わせて、どうやって言葉かけを行うかがわかるだけでも、保護者が意識して関わり、そこから言葉を育むことができます。お母さんだけでなく、子供に関わる人が意識を変えて関わるだけでも、言葉が出ないという悩みを早期に改善できるはずです。

誰もが言葉を話すために、特別な教育を受けたわけではありません。それでも、それなりの日本語を操ってコミュニケーションを行っています。この成長は、日々の生活で聞いて学ぶ・見て学ぶという経験をしているからなのです。いかにして「聞かせる」「見せる」ことを行うかが、言葉を育てる鍵を握っています。

言葉を話す前段階は「言葉を理解する」プロセス!日々の声かけが言葉を育てる

子供が日本語を習得し、それを自由に使いこなすのは、誰かが勉強させたわけではありません。自然と学び、言葉を使うことにメリットを感じているからこそ、話し言葉を使ってやり取りを行っているのです。

言葉を話す前段階として、言葉を理解するというプロセスが必要ですが、それは日々の声かけによって培われます。子供が発信した欲求を周囲が満たし、そこに言葉という刺激をプラスすることで、関連付けがなされます。

子供にとっての言葉の理解は次の流れになります。

・子供がおもちゃに手を伸ばす

  1. 保護者は「取って~なのねぇ」と言いながらおもちゃを取る
  2. 手を伸ばすとおもちゃがもらえると理解する
  3. 「とって~」と言うと保護者が見ていなくても反応してくれる

こんな学習を自然のやり取りの中で学んでいます。

・目の前のものが食べたいときに声を出す

  1. 「アウアウ」など子供が声を出すと、保護者が反応してくれる
  2. 「モグモグねぇ」と言いながら口に食べ物を運んでくれる
  3. 「おいしい?」と聞きながら、ニッコリ笑ってくれる


このようなやり取りは、日常的に誰もが意識をすればできることです。

喃語から意味のある言葉に変わっていくのは、子供の不確かな表現でも保護者がそれを汲み取って声かけをしてくれるという関係が生まれます。やがては確実な話し言葉として、子供が欲求を伝えてくれるのが、コミュニケーションに使える言葉として積み重ねられていきます。

保護者が子供の求めることに寄り添って声かけを行っているほど、実用的なやり取りの見本が学べます。だからこそ、1歳前後で話し始めるという子供の中でも、ペラペラおしゃべりが上手なケースが出現するのでしょう。

言葉が遅い原因が兄や姉の可能性も!上の兄弟がいるときに注意すべきポイント

子供の言葉が遅い原因は、掘り下げていくと兄や姉といった年長者がすでに生活している家庭に起こることがあります。しかも、周囲から見ても「おりこうさん」な兄や姉がいる家庭に見られることがあるのです。

兄や姉がいるということは、保護者以外にも言葉を聞く機会が多くなって良いことばかりに思えるのが一般的。でも、自分の気持ちを表現する機会に特化して考えると、そのチャンスが少なくなってしまう環境が存在します。1歳になっても話さないというのは、本人だけでなく生活環境全てを把握して評価しなければなりません。

お世話好きは良いことばかりではない

兄や姉がすでにいる家庭は、当然ながら下の子の面倒を見るということが子供の頭にもあるでしょう。しかも、真面目で保護者のお願いを聞いて、きちんと弟や妹の面倒を見てくれる子も多いでしょう。

こうした恵まれた環境は、子供の言葉を育むというのがイメージされるかもしれません。でも、本人が要求を言葉で伝える前に、それを察して兄や姉が動いてしまうようであれば、いつまでも要求を言葉で表現することなく、事が足りてしまうという状況が生まれます。

世話好きだからといって、1歳の子が求める要求を察して動くのは、「機転が利く」という年長者の成長は見られるものの、言葉が遅いと感じる子にとっては経験不足な状況を作ってしまいがちです。要求をしっかり通すというスタイルも、日々の関わりの中から学ばなければならないのです。

先回りは親切ではなくチャンスを奪うもの

子供の要求を先回りして叶えてしまうのは、満たされる感はアップするでしょうが、話し言葉を使ってコミュニケーションを取るという点ではデメリットが大きくなってしまいます。

目線を向けるだけで「自分の元に見ていたものを持ってきてくれて渡される」というやり取りが行われているのであれば、言葉を使わずとも自分の要求が叶えられるという学習をします。つまり、言葉を必要とするタイミングが生活から感じられなくなってしまうのです。

成長に伴って指さしを行う時期がありますが、それは「見て」「取って」などの言葉が隠れています。それを表現のモデルにならないように叶えてしまうと、「指さしをすると困ったことが解決する」という判断になってしまいます。

その積み重ねが強くなるほど、いつまでも言葉を使わなくても困らないという状況が生まれます。

1歳児への言葉の教え方・トレーニング!関わりを分析して言葉が出ない糸口をつかむ

1歳になっても意味のある言葉を話してくれないという状況は、何かが足りていないかもしれません。言葉の量が日常的な関わりで少ないために理解が伸びていないということもあるでしょうし、言葉を発する運動面が未熟な場合もあります。

子供と関わることを分析できる専門職に相談できる環境があるようであれば、現時点の発達状態を確認してもらうことも有効です。小児を専門的に扱っている言語聴覚士と出会うことができるようであれば、その糸口をつかむのは難しくありません。

理解する言葉を育てる育児のコツ

子供の言葉を伸ばすには、理解するスキルをアップさせましょう。話し始める前に「わかる言葉」を作ってあげなければ話せるようにはなりません。この順番は覆ることが無いルールです。

理解する言葉を育てるのであれば、意図的に言葉に触れさせる生活演出を行うべきです。

子供の興味に寄り添った言葉を入れるなら、

「あった」
子供が欲するものを探し、そこにあったことを指さしと言葉かけで強化。
「ない」
わざと物がない状況を作り、その場所を一緒に確認する。
「取って」
欲しいものに手を伸ばして子供にお願いをする。そこに言葉も一緒に乗せる。
「バイバイ」
毎日お父さんが会社に出るときに見送る。そこで毎日使う。


このように、数語でも体験させることは全然違うはずです。それぞれの意味を理解できるようになるためには、生活の中でシチュエーションを考えなければなりません。そこが緻密にならなければ、いつまでも言葉を話さないという悩みを抱えてしまいます。

1歳という年齢はまだまだ未熟に思えるかもしれませんが、それでも言葉育ては始められます。意識して取り組むほどに質の高いやり取りができて、分かり合える体験が親子で共有できます。育児の中で理解の側面に丁寧な働きかけを行うことができると、言葉を話すことへの興味も膨らみます。

共感することから子供が発するべき言葉を出す

子供の言葉が出ない原因は、保護者の関わりが心に寄り添えていないかもしれません。子供が本来発するべき言葉は、どうやって表現すれば良いかのお手本が必要です。保護者は子供の気持ちを変わりに言葉にする役割があり、それを共感するところから始めなければなりません。

子供が何を考え、何を伝えようとしているかを理解できたとき、心の動きに寄り添った言葉かけができるようになるでしょう。

アイコンタクトによって信頼関係を確認することも行われているため、保護者が子供の目を見て時間を共有することに難しさを感じている場合には、言語聴覚士のような子供の小児関連の専門家に相談すると良いでしょう。日常に改善点のヒントが隠されていることもわかるでしょう。

保護者の関わり一つで言葉の育ちは変化する

1歳で言葉が出ないというのは、保護者にとっては心配な部分が大きくなります。でも、年齢よりも育ちが遅いことに焦るのではなく、着実に言葉の理解を増やしているかを確認しましょう。保護者の関わり一つで言葉のシャワーに浴びられるかどうかが決定します。

まずは理解面を伸ばし、言葉を使ったコミュニケーションが楽しくなるようなお手伝いを受けると、表現してくれるまでの時間短縮も可能です。

お近くの保健センターをはじめ、乳幼児健康診査の時に相談してみると、言語聴覚士が在籍している施設で関わりのコツが教えてもらえるかもしれません。そこからの関わりが濃密になると、子供の言葉に関するルールが少しずつ分かるようになり、いつしか言葉が出ないという悩みから解放される時期が来るかもしれません。