子供が1歳になっても言葉が出ないのは、発達をきちんと見直さなければならない時期にきているのかもしれません。

自然に学ぶはずの言葉が出てこないのは、保護者の不安を大きくするばかり。その状況を好転させる方法がわかると、ホッとできる瞬間が訪れます。

ここでは、全般的な発達を評価することで言葉が出ない原因を把握し、その後の生活で言葉を促す関わりができるよう、言葉以外の遅れにも注目して言語聴覚士が解説します。

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1歳で言葉が出ない・遅い原因は?産まれた状態が話すタイミングにも影響する

赤ちゃんが成長して言葉を話すようになるまでには、一般的には生まれてから1年前後の時間が必要です。その感に言葉を聞いて学ぶことが促され、言葉を話すことのメリットを養っていくのです。

でも、子供の成長には個人差があります。しかも、産まれた状況によっては生後1年といっても発達状態が大きく異なるはずです。

正常分娩で体の成長にも心配がないという場合もあれば、出産時のトラブルや、その後の成長が緩やかに経過することが少なくありません。それでも現在は未熟児でも命が繋げられる医療技術が発達しています。

全般的な発達の遅れがある場合には、言葉を話すという前に伸ばさなければならない点も多くなるため、1歳を迎えても喋らないという状況が生まれるのです。

早産・未熟児は遅くなる可能性がある

出産したときのトラブルによって、子供の成長が一般的な月齢の換算とは切り離して考えなければならないことがあります。

それが、早産で産まれた場合です。修正月齢という言葉を聞いたことがある保護者の方も多いでしょうが、分娩予定日よりも早く産まれてしまった子供は、早産として考えられる場合があります。

それが、37週0日未満の赤ちゃんなのです。

正確には、早産は妊娠22週0日~36週6日の間に赤ちゃんを出産した場合を指します。何らかの異常があって早く産まれてしまった状態なのですが、双子や羊水が少ない場合にも起こりやすいのが特徴です。


37週に近いほど、赤ちゃんの体は成熟した状態へと移行します。

もしも出産予定日よりも2ヶ月早く産まれた場合には、予定日を出産日として考えるため、生後4ヶ月でも修正月齢ではまだ生後2ヶ月として考えられます。だからこそ、一般的には生後3~4ヶ月くらいで首が座りますが、早産の場合には修正月齢で考えるため、産まれて5~6ヶ月くらいで首が座るのかもしれません。

このように、早産の場合には生後1年といっても、まだ話し始めるにはタイミングが早い状態であるかもしれないのです。

未熟児は早産に加えて体重が2500g未満で産まれた場合を指します。色々な成長が一般的な赤ちゃんに比べてゆっくりしているため、1歳になっても言葉が出ないという悩みを抱えやすいのが特徴です。

身体的な発達も言葉に影響する

赤ちゃんの成長は言葉だけに限定して考えるのではなく、全般的な発達に遅れが無いかを確認しなければなりません。体の発達が言葉を発するに至っていない場合には、当然ながら話すというスキルは遅れます。

首が座らなくて反り返りが強く、座位を取ることができないという赤ちゃんは、当然ながら言葉を話すことが難しいです。話すための呼吸機能が整っていなかったり、息をコントロールするための姿勢が安定していない可能性も否めません。


言葉を話すという行動は、意外にも複雑なプロセスで成り立っています。

「息を吸ってはく」という行動は、無意識に行われているものです。でも、意識して音をプラスできなければ、声としてコミュニケーションの道具に使うことはできません。

まずは言葉を発するための体の準備が整っているかを確認しながら、どれくらいの月齢まで伸びているのかを確認しましょう。

母子健康手帳には、それぞれの月齢ごとに達成できる発達の様子が描かれています。その内容と自分の子供とを照らし合わせることで、どこまで成長しているかが見えてくるでしょう。

1歳で言葉が出ない・話さないときは発達の評価を行うことが大切

子供の発達状態を把握することは、次に何を経験させてあげることで成長できるかがはっきりします。

どのように育てるのが言葉の成長にプラスとなるかは、一概には決められないのです。体の発達や物の認識、親子関係など、あらゆるエッセンスを総合的に判断しなければなりません。

言葉が出ないことで心配なのであれば、地域保健センターや言語聴覚士が在籍している施設を頼ることで、現状の確認が行えるでしょう。


「様子を見ましょう」という判断で終わってしまうのではなく、どうやって関わるべきかの具体的な提示が聞けるまで、保護者は安心してはいけません。

待っているだけでなく、少しは子供の成長を促してあげることができる方が、言葉が出ないという悩みの解消に役立ちます。1歳だから何もできないのではなく、発達の状態を鑑みて、できることから始めるべきではないでしょうか。

現状把握からスモールステップが設定できる

子供の現状が把握できるようになると、次のステップが明確になります。

経験させていないものや、もう少しで達成しそうなものなど、細かくチェックを行うことで見えてくるものがあるでしょう。

子供の成長はショートカットできるものではありません。順当に積み上げていくことが大切です。これから経験させてあげることを設定し、日々の生活の中で鍛錬を重ねていくことが、言葉を話すことへと繋がります。

全般的な発達の遅れが少しでも改善されるよう、何から手をつけるべきかのアドバイスを受けるのがおすすめです。

保護者は育児を実践する立場なので、それを検証するパートナーが寄り添ってくれるだけでも育児負担は軽減できます。夫婦で役割分担をしても良いでしょうし、専門家の支援を受けながら軌道修正を行うことも大切です。

発達を促す働きかけでスピードアップが可能

1歳で言葉が出ないという状況は、発達を促すコツを保護者が理解して実践することで、スピードアップが図れるようになります。

育児のコツは書籍から学ぶのではなく、リアルなやり取りから足りないものを補うのが良いでしょう。

あくまで一般論しか把握できないのが育児書です。実際に目の前の子供に必要なものが何かを見極めてもらわなければ、育児経験が浅い保護者ほど、何をすれば良いかがわからないという状況に陥ります。

発達を促すには身体的な成長に刺激を与える方法と、言語理解に働きかけを行う方法があります。

言葉を話すにしても体の成長が伴っていなければ実現しません。わかるという概念が広がらなければ、言葉を出すことも難しいため、順番を整理しながらやるべきことを明確にしましょう。

1歳で言葉の遅れを感じるときに保護者の関わりを変える働きかけの方法

保護者の関わりを意識的に変えることで、子供の言葉が出てこない状況が打開できることも少なくありません。でも、どうすれば最善策になるかは、素人判断では誤った見解に発展し、脱出できない状態で相談を行うという状態も散見されるほど。

だからこそ、専門的なアドバイスを受けることで、必要なことの優先度をつけて臨むことができるのです。

保護者の関わりにメスを入れる方法は、1歳の子供であれば乳幼児健康診査を大いに活用するべきです。

1歳半健診というものが各自治体で開催されますが、それ以前に発達に心配がある家庭のフォローを行ってくれています。まずはそこで相談をしてみると、今後の課題がはっきりします。

もっと専門的に言葉の発達を知りたいのであれば、言語聴覚士に相談するのがおすすめです。明快な分析から、意識しなければならない点も把握できます。

乳幼児健康診査から学べるエッセンス

乳幼児健康診査は、誰でも無料で受けられるシステムです。各自治体で運営が行われており、一般的には1歳半健診で発達の状態を把握するという流れになっているでしょう。

でも、1歳半健診まで待てないという場合や、すでに健診が終わってしまったけれど、問題が解決できていないという場合には相談する良い時期ととらえ、乳幼児健康診査を取り仕切っている保健センターや自治体の母子保健の方に相談するのが良いです。

日々の関わりについてのアドバイスをくれたり、日常的に困っていることへの対応策を示してくれたりと、乳幼児健康診査には保護者をトータル的にサポートしてくれる体制が整っています。

専門的な療育から言葉の発達が促される

1歳で療育に通うのは早いと思うかもしれませんが、専門的な立場で言葉の発達評価を行い、成長が促せるところを見つけてアプローチを考えるのが言語聴覚士です。

子供の言葉を専門的に扱っている人に巡り合うと、今後の育児不安の減少にも使えます。

言葉という視点から子供の発達を見てくれて、どこが繋がっていないから成長が遅れているかを把握してくれます。もちろん、小児科医や耳鼻科医など、体の発達や聞こえのチェックを確認してもらい、総合的に判断してもらうことで詳細な療育が行えます。

1歳だからという思いを捨てて子供の成長を見守るべき

「子供が1歳になったから言葉が出るだろう」と思っていても、それまでの準備がきちんと積み重なっていなければ思ったような成長は期待できません。

たとえ発達障害などの要素が無かったとしても、周囲の関わりによって言葉を話すことへの意義を感じていない場合もあります。

「1歳だからこうなる」という固定観念を捨てて、子供それぞれの成長に寄り添った関わり方のコツを学ぶことが、次のステップに繋がる一歩を作ります。

早産や未熟児といった状態で出産した場合には、月齢の換算にも注意が必要です。

専門的支援を受けることで、発達を促す関わりが持てることもあるので、全般的な発達の遅れがないかを判断してもらうことも必要ではないでしょうか。