赤ちゃんの喃語は言葉を話すための準備段階。その時期はいつからなのかを知るだけでも、成長のためのステップを歩んでいることがわかります。

どうして喃語は必要なのかは疑問に思う方も多いでしょうが、何事もトレーニングが必要です。話し始めるための準備をしているのが喃語ですから、日々の関わりから成長のあかしを見つけることができるはず。

ここでは、喃語とは何かという基礎知識から、言葉の専門家である言語聴覚士が大切にする乳幼児期の言葉の発達を紐解いていきましょう。

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喃語とは何か?時期はいつから?

赤ちゃんは生まれてすぐに言葉を話し始めるわけではなく、喃語を経て言葉らしさを形成します。いわゆる意味のある言葉を話し始めるための準備として考えるのが良いでしょう。

喃語にはいくつかのパターンがあり、日本語を話すために必要な音の元になる表出が見られます。生後4ヶ月くらいから発せられる喃語は、2つ以上の音が組み合わさった発声です。この喃語があるからこそ、赤ちゃんは意識して声を出すことをコミュニケーションへと繋げていきます。

喃語は言葉を話し始める準備をしている

喃語は話し始めるための準備を赤ちゃんがしている証拠です。漫画の世界では生まれてすぐに話し始める赤ちゃんキャラが出ることがありますが、実際にそんなことがあったら大変ですよね?

赤ちゃんが話すようになるためには、喃語をはじめとした準備の積み重ねが必要です。話すだけでなく口から食べ物を摂取するという行動も、言葉を話すためには重要なエッセンスです。

喃語が出始めるのは生後4ヶ月くらいです。それから1歳くらいまで色々な音を出す学習を自然に重ね、やがて「ママ」などの意味のある言葉に聞こえてきます。

喃語は親子を繋ぐコミュニケーションです。実際には意味のある言葉ではなくても、周囲が赤ちゃんの発する喃語に耳を傾けて真似をしたり話しかけてあげることで、「声を出すとかまってくれる」という学習を幼いながらに学ぶのです。

喃語を発して家族から言葉の刺激を浴びて、時には自分の欲求が満たされる経験ができると、赤ちゃんは「声を出すと良いことがあるかもしれない」という期待を抱きます。ですから、喃語に共感して話しかけることで、言葉の成長に大きな一歩を踏み出す力を与えるとされています。

喃語に発達する前にもう一つステップが存在する

赤ちゃんの表現は喃語からスタートするのではなく、その前にクーイングというものが表出されます。喃語は誰しも耳にしたことがあるものでしょうが、生後4ヶ月くらいから聞かれるようになるのが一般的。

一方、クーイングはもっと早くから出現し、個人差はあるものの生後1~2ヶ月くらいの赤ちゃんが、息をはくときに「アー」や「ウー」という音を出します。これが、クーイングなのです。

ただし、次の場合にはクーイングの表出が遅れるかもしれません。

  • 在胎37週未満で産まれた早産の場合
  • 低出生体重もしくは、それより小さく産まれた場合

早産の場合には、生まれてから1~2ヶ月といっても、実際にはまだお腹の中で育っていなければいけない時期です。そのような状態のときには、修正月齢といって、出産予定日を基準に生後〇ヶ月と考えます。

低出生体重で産まれた場合にも、一般的な赤ちゃんの身長や体重から修正月齢を考えます。ですから、どちらの場合も修正月齢で生後1~2ヶ月くらいの時には、クーイングが確認できるようになる状態が整うでしょう。

喃語の発達によって成長を確認できる

喃語は発する音が成長段階によって変化します。どんな声を出しているかを確認しながら、自分の子供がどのように成長しているのかを確認しましょう。個人差が大きい言葉の成長。日々の何気ない場面から「きちんと育っている」という感覚を得ることは、育児に対するモチベーションを高めます。

喃語は話し言葉に発展する大切なプロセスです。同じように無造作に音を出しているわけではなく、発達に合わせて微妙な変化が存在します。それがわかるだけでも話すためのステップを踏んでいることが理解できるでしょう。

母音表出から子音が加わる変化が生まれる!10カ月頃からは喃語が減ったと感じる時期も

喃語が出始める生後4ヶ月くらいの時期は、「アーオー」「ウーアー」といった母音だけの表現が特徴的。喃語の前段階であるクーイングと見分けるのが難しいような子も多いはず。

ところが、生後5ヶ月~6ヶ月になると、今度は子音が混ざった表現へと変化します。「バーブー」など、両唇を使って出すものが代表的です。

この頃はちょうど離乳食を開始する時期に差し掛かります。今までは母乳やミルクを吸うだけだったのが、今度は咀嚼するという行動が日常生活にプラスされます。それが色々な音を出す元になっているのです。

その後はいくつかのバリエーションを使って繰り返し言うという行動が増加します。「ウマウマ」などご飯を催促するような表現をすると、保護者もにっこり微笑みながら、赤ちゃんの訴えを叶えてあげようとするはずです。こうした変化が、月齢を追うごとに出現するのです。

10カ月を過ぎる頃には、喃語が減ったと感じられるかもしれません。喃語が出ない代わりに、身振りを使って伝えることを学ぶ時期だからです。色々なコミュニケーションスキルを学び、これからの成長へと役立てているのでしょう。

喃語の次は?話し始めるために必要な運動を獲得する

喃語の次は、いよいよお待ちかねの意味のある言葉を発する段階へと移行します。

最初は「ママ」って言ってほしいという母親や、「パパ」っていうのが先だと意気込む父親もいるはずです。でも、このようなやり取りを行うためには、お口や舌の動き、息の使い方を学ばなければなりません。

赤ちゃんは喃語を話し始めるのと併行して、離乳食を食べるようになったり、お座りやハイハイを覚えるといった体の使い方からも、話す準備を行っています。つまり、運動面の発達がきちんと伸びていなければ、それを通り越して意味のある言葉を話すことは難しいのです。

口の運動は開閉するだけでなく、唇をすぼめてみたり、両唇を震わせて音を出すといった運動にも使います。「ブー」や「バー」という喃語を出すためにも、唇を意識して動かさなければなりません。

舌の動きは子音を作るために重要です。「キャー」っという声を出したり、母音といわれる「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」以外の音を出すにも、舌の動きが出てこなければ分かれていきません。こうした運動を日々の関わりから赤ちゃんが学んでいくのです。

喃語もコミュニケーションに使える!喃語が出ない場合は?

喃語は親子で交わす楽しいコミュニケーションです。日々の関わりから発達を促すことができるため、周囲が意識して関わろうとすれば、それが子供のスキルを磨くことに繋がります。

保護者はどのように声かけをすればわからないと思うかもしれませんが、これといって決まった声かけの必要はありません。むしろ、赤ちゃんが発した喃語に寄り添うように、感じたままの言葉かけを行ってください。

喃語が出ないという場合には、発達の心配をするのが一般的。困った時には子供の成長に詳しいところへ相談し、日々の関わりのコツを段誦してもらいましょう。乳幼児健康診査に携わっている保健師や、療育のスペシャリストである言語聴覚士、子供の病気や成長に詳しい小児科医など、困った時に相談できるところを押さえておくのもおすすめです。

他愛のないやり取りを喃語からできるのは幸せなことです。いつかは自分たちのことを「パパ」「ママ」と呼んでくれる日が迫っていることを感じるきっかけにもなるでしょうから、小さいうちから積極的にコミュニケーションを取りましょう。

喃語の変化から話し始めの期待が膨らむ

喃語は赤ちゃんが意味のある言葉を話し始める準備をしていることはわかりましたでしょうか。

喃語にも色々な種類があり、それによって成長の見立てができます。もう少しで「パパ」「ママ」と呼んでくれるかもしれないという期待は、保護者にとっては幸せをかみしめる瞬間にもなるでしょう。

喃語の変化は次の段階への基礎を築きます。一見すると喃語が減ったと思うようなことがあっても、日々のやり取りを大切にしながら保護者自身が赤ちゃんの言葉育てを行うべきです。

初語と言われる意味のある言葉を発するのは1歳前後が一般的。でも、日々の積み重ねがあってこそ、待ちわびた言葉が聞かれるのです。その時まで暖かく赤ちゃんを見守りつつ、成長を見守ってください。