赤ちゃんの成長過程で始めに遭遇することの多い「首すわり」。初めてのことなので頭のなかが疑問と不安でいっぱいになることも多いですね。
首すわりは練習しないとできるようにならないの?どんな練習をしたらいいの?そもそもいつ頃までに首がすわればいいの?そんな疑問をひとつずつ解決していきましょう。
赤ちゃんに首すわりの練習は必要?練習するならいつから?
「首がすわる」というのは、赤ちゃんが頭を赤ちゃん自身で自由に動かせるようになった状態をいいます。
まだ自分の頭を支えることもできず、不安定な状態の赤ちゃんが自分で頭を持ち上げられるようになるために赤ちゃんになにか練習させる必要があるのでしょうか。
首すわり目的の練習はいらない
生後間もない赤ちゃんは自分の力で首を動かすことができません。仰向けで上だけを向いている赤ちゃんの首を安定させるためには練習させないといけないと感じるかもしれませんが、首すわりのために特別な練習をする必要はありません。
目がはっきり見えるようになり、周りの音を認識するようになることで、自ら左右に首を動かそうとするようになります。首を動かすことで自然と筋肉がつき、ぐらぐらだった首が少しずつ強化されていきます。
周りへの興味や好奇心を持つようになることで、体を動かしたい気持ちが芽生え、赤ちゃん自身が試行錯誤しているあいだに、その動きに必要な筋肉が徐々についてくるものです。無理に練習をさせなくても、赤ちゃんが自分のペースで成長しようとしています。そのペースに任せてみましょう。
練習をしなかった我が子たち
私の2人の子どもには、首すわりを目的とした練習は特にさせていませんでした。練習をさせなかったというよりは、首は勝手にすわるものだと思い込んでいただけなのですが、結果的にはそれで問題ありませんでした。
2人とも首すわりがすわる目安と言われている4ヵ月のころには首はすわっていたようで、4ヵ月検診で合格をいただいています。
「首は座っていたようで…」というあいまいな書き方をしたのは、首すわりがいつからできるようになったかは明確に判断することが難しいためです。頭がゆらゆらしなくなったから多分すわっているのだろうと感じていたところに、専門家からOKをいただいた、という状態です。
寝返りやハイハイとは違い、目に見える動作ではないので、なかなか首がすわらない、と心配になることもありますが、首は日々の生活のなかで少しずつ進行していくものなので、お子さんも少しずつながら、首がすわってきているかもしれません。焦らずに温かく見守りましょう。
練習の目的を変えてみる
見守っているだけでは首すわりが遅くなりそうで不安という人は、首すわりではない目的を持った練習を試みることをおすすめします。
首すわりは、前述したとおり、寝返りやハイハイといった、できるようになったことが目に見える動作ではないゆえに、練習の成果を実感しにくい成長過程です。
ゴールが見えない練習は、いつまでどのくらい練習するべきかの判断もつきづらく、親にも赤ちゃんにもつらいだけのものになってしまいがちです。目に見えるゴールを設定するか、メリットが感じられる練習にすることで、向かうべき方向が明確になるので、練習も負担ではなくなります。
ただし、相手はまだ自分の頭も自由に動かすことのできない赤ちゃんです。スパルタ教育をする対象にはなりえませんので、高すぎるゴールを設定したり、練習を強要することは控えましょう。
別の目的が、結果的に首すわりの練習になる効果的な方法
首すわりを目的とした特別な練習は必要ありませんが、別の目的でする練習が結果的に首すわりの練習にもなることがあります。首すわりに効果のある練習方法についてご紹介します。
寝返りやハイハイに備えて「うつ伏せ」の練習
寝返りやハイハイなど、首がすわった後に待ち受けている数々の動作に備えた練習は、少しずつ始めておくことをおすすめします。
首がすわった赤ちゃんは寝返りやずりばい、ハイハイといった動きをどんどん身に付けていきます。そのどの動作にも基準となる姿勢が「うつ伏せ」です。
寝返りをすると、仰向けからうつ伏せの姿勢になります。うつ伏せの姿勢に慣れていないと、寝返りができても、そのあとすぐに仰向けに戻してあげなければいけません。
赤ちゃんが移動を始めるずりばいやハイハイもうつ伏せの姿勢からスタートします。うつ伏せの姿勢に慣れておくことで、それらの動作を身に付ける事前練習になります。
私の娘は、うつ伏せの姿勢に慣らす前に、寝返りをできるようになってしまったので、すぐに仰向けに戻してあげる必要があり、私も、そして多分娘自身もその対応に苦心しました。うつ伏せは、生後1ヵ月ころから練習を始めることができるので、少しずつ慣らしておくことをおすすめします。
また、首がすわっているかの判断基準として、うつ伏せの姿勢で頭を持ち上げ、左右に動かすことができるかどうか、というものがあります。
うつ伏せの姿勢で頭をあげる練習をすることは、首すわりにもつながっていきます。ただし、首がすわる前段階での長時間練習は禁物です。始めは数秒から試すくらいで充分です。まだ首の筋肉が未発達な赤ちゃんの体に負担がかからない範囲に留めましょう。
縦抱きで親の負担軽減しながら首すわりの練習になる
親の体にかかる負担軽減を目的として、縦抱きの時間を少しずつ作るようにする方法もあります。
首がすわる前の赤ちゃんは、首を守るように優しく横抱きすることが多く、腕が疲れ、肩こりや腰痛に悩まされることも多くあります。抱っこしているときに座ると泣き出す赤ちゃんも多く、立ちっぱなしで抱っこした赤ちゃんをゆらゆらさせ続けなければいけないと、親の体も悲鳴をあげてしまいます。
首がすわったら縦抱きできるようになるから、なんてなだめられることもあるので、新生児は横抱きしかしてはいけないイメージがありますが、正しい抱き方をすれば、短時間であれば、縦抱きすることも可能です。
現に、授乳後にゲップをさせるときには、縦抱きしたりしますよね。首に負担をかけないようにきちんと支えてあげれば、首すわり前の赤ちゃんも縦抱きをすることができます。親との密着度が増すので、縦抱きを好む赤ちゃんもおり、横抱きで泣いていた赤ちゃんが縦抱きにしたら泣き止むこともあるくらいです。
横抱きの体勢に大きな負担を感じているようであれば縦抱きと取り入れてみましょう。縦抱きの姿勢で頭をまっすぐ保てるようになると、首すわりも進行していくので、首すわりの練習にもなります。
赤ちゃんとのコミュニケーションを目的として首の筋肉も鍛える
練習だと思うと、その成果を求めてしまいますが、赤ちゃんとのコミュニケーションが目的であれば、その先の成果が目に見えなくても焦ることもありません。
そこで、前述したうつ伏せの練習や縦抱きを日常生活のなかに少しずつ取り入れ、赤ちゃんとのコミュニケーションやスキンシップをとってみましょう。
うつ伏せの赤ちゃんと同じ姿勢で向かい合い、目線の高さを合わせて話しかけてみたり、お腹の上でうつ伏せにして顔を合わせてみたり、縦抱きで顔を近づけて頬をすりすりしてみたりすることで、赤ちゃんはその姿勢を楽しみながら、首の筋肉を鍛えることができます。
親も練習だという認識を捨てることで、結果が目に見えなくても赤ちゃんとのコミュニケーションを素直に楽しむことができるでしょう。
首すわりに向けた練習を生活に取り入れる際の注意事項
首すわりを目的とはしないけれど、首すわりに向けた練習を生活に取り入れる際に、注意するべきことがあります。練習をさせる際には以下のことを意識するようにしましょう。
強要しない
赤ちゃんが泣いたり、嫌がっているのに強要するのはやめましょう。前述したとおり、うつ伏せなどの練習をしなくても日常生活のなかで、首は自然とすわっていきます。
私の息子はうつ伏せの姿勢がとにかく嫌いで、うつ伏せにして布団に置くだけで大号泣するような赤ちゃんだったので、まったくうつ伏せの練習をさせることができませんでした。
それでも生後3ヵ月のころには縦抱きしても頭は揺れなくなってきて、4ヵ月のうちに寝返りもできるようになりました。そのころになっても、うつ伏せの姿勢になることを嫌がり、結局はうつ伏せで遊ぶ経験をしないまま、おすわりを身に付け、おすわりからハイハイをするようになりました。
ひとつのことができなくても、次のステップに進んでいく赤ちゃんは多くいます。嫌がるときには強要せず、別の方法を試すか、興味を示すまで様子をみましょう。
時間は短めに!10秒、数十秒、1分と少しずつ伸ばす
うつ伏せも縦抱きも首の座っていない赤ちゃんにとっては、少ながらず負担のかかる体勢です。負担がかかる体勢を続けると、体の成長に異常をきたす可能性があります。
どちらの場合も数秒といった短い時間から始めましょう。苦しくなさそうであれば、10秒、数十秒、1分、と、少しずつ伸ばしていくことで、赤ちゃんの体の成長とともに耐久時間が長くなっていきます。
ママとの目線を近くする
新しい体勢をとることは、赤ちゃんにとっても不安がいっぱいです。仰向けの姿勢のときに見えていたものが、うつ伏せになったとたんに、急に見えなくなることで不安を感じる赤ちゃんもいます。
縦抱きも同様で、横抱きのときは上を向けば見えていた親の顔が、肩に赤ちゃんの頭を乗せると、赤ちゃんからは親の顔が見えません。赤ちゃんと目線の高さを合わせて、赤ちゃんから親の顔が見える状態を保つようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんの成長は個人差がありますし、赤ちゃんにはそれぞれの好みもあります。最初に興味を持つ対象が違ったり、好む姿勢が違ったりするので、子育ては一様にはいかないものです。
月齢が同じ他の赤ちゃんの首がすわったから、うちの子も…、なんてプレッシャーは感じず、赤ちゃんのペースに合わせてあげてください。繰り返しになりますが、首すわりのために特別な練習をする必要はありません。
まだ言葉も話せないので、好みを明確に伝えてくれるわけではないので難しいとは思いますが、表情や態度、視線の動きなどから赤ちゃんの好きなものや好きな体勢を理解し、赤ちゃんに合わせた方法で、生活のなかに取り入れられるものから取り入れてみましょう。