赤ちゃんが産まれて、ホッとしたのも束の間、育児の真っ最中、ストレスも数多く、お酒が飲みたくなるお母さんもいるのではないでしょうか。

もちろん、授乳中にアルコールは控えた方がいいとは思いますが、どうしても飲みたい時もあれば、何かしらの集まりなどお酒が出る場所に行く時など、我慢するのが大変ですね。

授乳の時間と量に気をつければ、アルコールを飲む方法がないわけでもないんですよ。

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授乳中にアルコールを飲むことによる影響

授乳中にアルコールは控えた方がいいというのは、誰もが知っている常識ですね。とはいっても、アルコールは飲みたくなるもの・・・。

なぜ、授乳中にアルコールを飲んではいけないのか・・・その答えは、「母乳を介して赤ちゃんに影響がある」「母乳の生産率が下がる」からです。

まずは、影響を理解したうえで、気をつけながら飲むことが大切です。

赤ちゃんへの影響

母乳を飲む赤ちゃんにとって、母乳は、唯一の栄養源です。

アルコールは肝臓で分解され、たんぱく質などの栄養源として吸収し、全身に送りますが、1度にすべてのアルコールを分解できるわけではありません。

詳しくは後でお話ししますが、肝臓の能力には限りがあるんです。その血中のアルコール濃度と母乳に出るアルコール濃度は、ほぼ同じです。

赤ちゃんは、肝臓の機能が未発達で、アルコールを分解するためには、お母さんの数倍もの時間がかかります。そのため、多量のアルコールをお母さんが飲み、そのまま赤ちゃんに母乳を飲ませたことで、急性アルコール中毒になって死亡してしまった例もあります。
  
急性アルコール中毒の他にも・・・

  • 学習障害・認知障害・記憶障害などの発達障害になる
  • 運動能力の発達が遅くなる
  • 肥満
  • 低身長
  • 睡眠時間の減少

などの影響が伴う危険性があることを忘れないで下さい。

母乳の生産率が下がる

母乳を作るためには、母乳を作って腺房に貯める働きをするプロラクチンと、腺房周辺に刺激を感じた時に母乳を押し出す働きをするオキシトシンという2つのホルモンの働きが不可欠です。
   

・プロラクチンは、脳下垂体前葉で分泌されているホルモンです。

ビールの原料になる大麦若葉には、プロラクチンの分泌を促す効果があるので、母乳の出がよくなったというお母さんもいるようですが、ビールを飲んだ後では、プロラクチンの分泌量が減ったという研究結果もあります。
   

・オキシトシンは、脳下垂体後葉で分泌されているホルモンです。

「幸せホルモン」「愛情ホルモン」ともいわれ、お酒を飲みたいと思う気持ちを減らしてくれたり、酩酊状態であっても、運動障害を抑えることができる可能性があることが知られています。


飲みたいと思う気持ちが減るのは、とってもありがたいことで、授乳中にたくさん分泌されるオキシトシンの影響なのか、お酒が飲みたくなくなったというお母さんもいるようです。

しかし、アルコールによる運動障害を抑える効果があるというのは、まだ研究段階の話で、血中のアルコールが無くなるのが早くなるわけではないそうです。そして、プロラクチン同様に、アルコールを飲んだ後、オキシトシンの分泌量が減ったという研究結果もあります。

お酒を飲みたいお母さんにとって、酩酊状態でも運動障害が抑えられてしまうと、つい飲み過ぎてしまうこともあるのではないかと、私は感じました。

アルコールは、脳を萎縮し、同じように脳下垂体後葉から分泌されている抗利尿ホルモンなどの分泌量が下がるのを考えると、プロラクチンとオキシトシンも同様に分泌量が減るのは間違いないでしょう。

分泌量が減るのですから、母乳の生産率が下がることにつながってしまうのは、必然的のように、私は思います。

どちらが真実なのか、私にはわかりませんが、お酒を飲む率が1番低かった1番下の子は完母ですが、それ以外は、母乳の不足を感じて粉ミルクに切り替えた子もいますよ。

授乳中だけど、どうしてもお酒を飲みたいお母さん必見!

どうでしょうか?授乳中にアルコールを飲むことによる影響・・・怖いですよね。

「わかるけど、やっぱりお酒が飲みたくて、イライラするの!」そんなお母さんもいますよね。私もそうだったので、ものすご~く気持ちわかります。

実は、授乳中にアルコールを飲む方法がないわけではないんです。

  • 授乳とアルコールを飲むタイミングに気をつける
  • アルコールを飲む量の制限
  • 食後にアルコールを飲む
  • 睡眠時間

などに気をつけることで、赤ちゃんや母乳へのアルコールの影響を抑えることができます。

そういった背景もあり、米国小児科学会では、「アルコールによる悪影響はあるが、アルコール摂取は母乳育児の禁忌にはならない」という見解を示しています。

ただ、黄色人種に属する私たち日本人は、アルコールを分解する能力が他から比べると低いこともあり、妊娠中に引き続き、授乳中も禁酒すべきだというのが厚生労働省の見解です。

「お酒を飲みたいからミルクに変えた」というお母さんもいますが、それが正解なのか、不正解なのかは、お母さんの考え方次第といったところではないでしょうか。

飲酒したい授乳中のお母さんは粉ミルクを用意しておこう

私も、授乳中にお酒を飲むことがあった1人なので、厚生労働省の見解通りに「絶対にやめた方がいい」とは言えません。

ただ、ひとつ、絶対に守っていただきたいのが、粉ミルクを用意しておく、あるいは搾乳して予備を用意しておくことです。

前述したように、お母さんがアルコールを飲むということは、母乳の生産率が下がり、不足してしまう場合があります。いざ、授乳した時に母乳が不足していると、赤ちゃんが飲み足りなくて、泣きやまないなんてことにもなりかねません。

また、ビール350ml缶1本のつもりが、つい飲み過ぎてしまう場合もあるかと思います。後述しますが、多量に飲んだお酒は、それだけ母乳にアルコールが出る時間が長くなり、赤ちゃんへの影響にもつながります。

また、思っていた以上に早く赤ちゃんが起きて、飲みたがる場合もないとは限りません。お酒を飲んですぐに母乳を赤ちゃんに飲ませると、上記のような影響を受ける可能性が高くなります。


そんな時のために、粉ミルクや搾乳して冷凍しておいた母乳をあげて、お母さんの今、たまっている母乳は搾乳して捨てて下さい。

搾乳する余力がない・飲酒する日数が少ないお母さんの場合、大きな缶であれば、1度開けてしまうと酸化してしまうので、スティックあるいはキューブの使いきりサイズを用意すると、無駄にする量を抑えることができます。

私は、搾乳するまでの余力もなかったですし、毎日、飲酒していたわけではないので、無駄にならないように、明治から出ている「らくらくキューブ」を必ず用意していました。キューブ1個が40ml.なので、赤ちゃんが早く起きてしまった時や、母乳が不足がちな時に、少ない量にも対応できて、とても便利でしたよ。

授乳中にお酒を飲む方法!量はどのくらい?何時間後なら授乳できる?

では、アルコールを飲むにあたって、どのようにすればいいのかを考えてみましょう。

アルコールを飲む量の制限

よくアルコールの飲む量は「ビール350ml缶1本まで」「ワイングラス1杯(125ml)まで」だと、母乳に影響はないと聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

これは、お母さんの血中アルコール濃度に関係しています。

お母さんの血中アルコール濃度と母乳のアルコール濃度は、ほぼ同じです。お母さんが飲む量が多ければ多いほど、母乳に出るアルコール濃度は高くなり、必然的に、赤ちゃんへの影響も高くなるというわけです。

普段、飲んでいるお酒の量と度数を確認してみてください。そのお酒の量と度数から、純アルコールをどのくらい飲んでいるかがわかります。

①[アルコール度数(%)÷100]×お酒の量(ml)×0.8(アルコールの比重)=純アルコール量(g)

これに、先ほどのビールとワインを当てはめると・・・
 

  • ビールの場合・・・[5%÷100]×350ml×0.8=14g
  • ワインの場合・・・[14%÷100]×125ml×0.8=14g

すでにお酒を飲んでいるみなさんは、計算してみていかがでしたか?

純アルコール14gまでが、一般的に影響がない数値ということになります。これ以上、飲んでいるのであれば控える必要がありますし、それ以下であれば、まずは一安心ですね。
   
また、これから、飲みたいと考えているお母さんは、純アルコール量が約14gになるお酒の量をまとめたので、下の表を頭に入れておくと目安になりますよ。

※小数点以下は切捨て
※度数は厚生労働省のお酒の基準%に基づき計算しています。 
※関連記事:飲酒量の単位 | e-ヘルスネット 情報提供
お酒の種類 度数(%) お酒の量(ml)
ビール・発泡酒 5 350
日本酒 15 116
缶チューハイ 7 250
焼酎 25 70
ワイン 12 145

ただ、個人差があるので、次のタイミングと合わせて考えることが大切です。

授乳時間とアルコールを飲むタイミングに気をつける

次に、アルコールを飲むタイミングです。授乳の直後からアルコールを飲み始めるのが、1番ベストなタイミングです。

授乳の間隔は、新生児でだいたい2時間30分~3時間ですね。個人差や状況によって違いがありますが、飲み終えてから30~90分後に、お母さんの血中アルコール濃度がピークになり、肝臓で少しずつ分解され、少しずつ減少していきます。

お母さんの肝臓が1時間で分解できるアルコール量の平均は「②体重(kg)×0.1」です。

お母さんが血中アルコールを消化できる時間は、前述した①と②で出た答えから導き出すことができます。
     

①÷②=アルコールを消化できる時間

お酒を飲んでいるお母さんは、この出た答えが2.5~3時間以内であれば、赤ちゃんへの影響は、気にしなくても大丈夫です。

それ以上であれば、出た答えの時間以上、授乳時間を空けるようにして、その間は、粉ミルクにするか、範囲内にアルコール量を抑えて授乳するかのどちらかです。

仮に体重50kgで計算してみると「50kg×0.1=5g」で、1時間に分解できる純アルコール量は5gになります。先ほどのアルコールの量で出た14gで計算してみると「14÷5=2.8」で、2.8時間という答えが出ます。

これが、授乳時間を考えた時に、ちょうど区切りのいいアルコール量だということでしょう。

「公益社団法人 アルコール健康医学協会」のページに計算式あります。


上記を踏まえた上で守ってほしいのは、食後にお酒を飲むようにすることです。何も食べずにお酒を飲むよりも、食後にお酒を飲む方がアルコールを分解する時間が早くなります。

また、眠っている時間は、逆に分解する時間が遅くなってしまうため、お酒を飲んだ後、すぐに横になってしまうと、それだけ、母乳に影響が出る時間が長くなります。すぐに眠るのは控えた方がよさそうです。

ただ、体重やアルコールの分解能力は、個人差があります。状況によっても変わります。

仮に母乳にアルコールが少し残っていたとしても、赤ちゃんの体重1kgあたり0.5gまでのアルコール量であれば問題ないといわれています。授乳時間とアルコール量を守ってさえいれば、それほど影響を心配する必要はないかもしれません。

とはいっても、アルコールによる赤ちゃんへの影響や母乳への影響を考えると、私的には、上記で出た数値よりも、アルコール度数を下げるか、あるいは、量を減らすことをおすすめしたいです。

そして、新生児の授乳時間が短い間は、アルコールを控えた方が無難です。赤ちゃんが3~4か月くらいになって、授乳時間が安定してからの飲酒をおすすめします。

まとめ

お母さんがアルコールを飲むということは、母乳が不足したり、赤ちゃんに影響があるなど、たくさんのリスクを伴い、本来であれば、アルコールは、控えた方がいいもの。

でも、授乳中のお母さんだって、息抜きは必要ですよね。

飲む量と授乳時間に気をつけて、できる限り、赤ちゃんに影響が出ないように、心がけることが大切です。搾乳したり、粉ミルクを利用したりするなど、タイミングを考えながらアルコールを飲んで、上手に息抜きしてくださいね。