母乳育児のお母さんは食事に対して、何かと気を使いますよね。

中でも、家庭料理の定番ともいえるカレーが、授乳中のお母さんを悩ませる料理のひとつになっているのではないでしょうか。

カレーは「授乳中に食べたら赤ちゃんに影響がある」「母乳の味が不味くなる・質が悪くなる」「詰まって乳腺炎になる」という言葉を聞いたことがあるお母さん、多いですよね。

では、本当にカレーは食べたらだめなのでしょうか?実は、カレーは食べても大丈夫なんです。何事もバランスが大切なんですよ。

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授乳中にカレーを食べる影響

悪者になることの多いカレーは、授乳中のお母さんの悩みの種ですよね。

母乳に出るからとカレーを作らなければ、自分自身が食べたくなったり、家族から「カレーライスが食べたい!」とクレームが入ったり・・・

わが家も、旦那と長男がカレーライス大好きで、しょっちゅう「カレーライスが食べたい!」というクレームが入りました。

上3人の時は、自分だけカレーライスを食べないで過ごしましたが、4人目ともなると、自分1人のために違うものを作るのも大変で、1~2か月に1回はカレーを食べ、翌日になると、母乳を飲まなくて、最初の頃は本当に悩みました。

授乳中にお母さんがカレーを食べると・・・

  • 母乳の味が不味くなる
  • 母乳の質が悪くなる
  • 母乳が詰まって乳腺炎になる
  • 赤ちゃんが寝なくなる
  • 赤ちゃんが夜泣きするようになる
  • 赤ちゃんに湿疹が出る
  • 赤ちゃんが下痢をする

など、さまざまな影響が出ると言われています。授乳中にカレーを食べることでの影響は、すべてカレーのルーにあります。

カレーが授乳に影響が出るといわれる要因

カレーがよくないといわれる要因は「動物性油脂」「スパイス」「化学調味料」です。

「動物性油脂」

わが家で使用している市販のカレールーの1番最初に書かれているものは、辛口・甘口どちらをみても「豚脂」です。知り合いからもらった市販のカレールーの1番最初も「動物性油脂(牛脂・豚脂)」です。

原材料名の表記は、重量が多い順番に書くのが原則なので、市販のカレールーの中には、動物性油脂がたくさん入っていることになります。しかも、原材料名を辿ると、中間くらいに、また「ポークエキス」という豚肉から抽出したエキスが書かれています。

さらに、カレーを作る時にお肉を入れるのですから、動物性油脂の宝庫ですよね。これが、乳腺が詰まる原因や、母乳が脂っこくなるといわれる要因です。

「スパイス」

カレーを作る時に、たくさんのスパイスを使うことを知っているお母さんも多いと思います。ターメリック、コリアンダー、クミン、チリペッパーなど数々のスパイスが入りますが、残念ながら、市販のカレールーにはカレーパウダー、あるいはカレー粉としか載っていませんでした。

スパイスは、私達が健康に生きるために、たくさんの効果をもたらしてくれます。しかし、その反面、刺激が強すぎるという弱点を持っているため、少なからず母乳から出るスパイスが、赤ちゃんには刺激が強すぎて影響が出てしまいがちです。

「化学調味料」

市販のカレールーは、ものすごい量の化学調味料が入っています。

旨味を出すアミノ酸などの調味料をはじめ、乳化剤、カラメル色素、香料など、改めて見てみると「こんなに化学調味料が入ってるんだ」と感じます。

化学調味料が決して身体にいいものでないことは、みなさんもご存知ですよね。これだけの要因があれば、「なるほど」と納得してしまいがちですが、実は、食べた物がそのまま母乳に影響し、母乳や赤ちゃんに影響があるかどうかは、立証されていないんです。

母乳はお母さんの血液から作られている

アルコールやニコチンなどのように、お母さんが口にした数分~30分くらいで、赤ちゃんに影響を与えてしまう成分もありますが、アルコールは肝臓で、ニコチンは肺で分解されるとはいえ、その血中濃度と母乳に出る濃度は、アルコールはほぼ同じ、ニコチンは2~3倍にもなるそうです。

そのようなものは、脳に影響を与え、母乳にとって大切なプロラクチンやオキシトシンに強い影響をもたらします。そして、母乳にも・・・


一般的な食事の中で、そこまで吸収力の高い成分はほとんどありません。お母さんが食べた物が母乳にすべてなるわけではなく、0.06~1.5%というわずかな量です。

私達が食事をして、味が「薄い」「濃い」「甘い」「しょっぱい」と感じる程度、あるいはほぼ変わらないというのが、WHO(世界保健機構)の見解です。そして、乳腺炎になるのは、食べ物ではなく、下着による締め付けが影響しているといわれています。

その日、食べた物がそのまま母乳になるわけではなく、日々の積み重ねによって作られたお母さんの血液から母乳は作られています。毎日、新しい血液が少しずつ作られ、完全に入れ替わるまで4か月かかります。

要は、毎日の食事を少しずつ摂り入れながら、4か月前にお母さんが食べていた物が母乳の素になり、その日、食べた物は4か月後の血液になり、母乳の素になるのです。

でも私は、たしかに、カレーを食べた次の日に母乳に影響を感じるとともに、娘の機嫌が悪くなるのを感じました。いったい、どうしてなのか・・・

授乳中にカレーを食べるために必要なのはお母さんと赤ちゃんの体質を知ること

それは「お母さんの体質」「赤ちゃんの体質」と関係があるのではないかと感じました。

「お母さんの体質」

お母さんの体質が母乳にどれだけ影響があるのか、ネットでいろいろ調べてみたのですが、「お母さんの体質とは関係なく、ホルモンの分泌量の違い」「食生活の偏り」と、書かれているものがほとんどでした。

赤ちゃんに乳首を吸ってもらうことで、前述したプロラクチンとオキシトシンという2つのホルモンの分泌がよくなり、母乳の出る量が増えます。授乳回数が少なければ少ないほど2つのホルモンの分泌量が減り、多ければ多いほど分泌量が増えることにつながるというわけです。

しかし、授乳回数が多くても、ストレスや疲労、睡眠不足などによって分泌量が減ってしまうこともあり、それぞれ個々の環境や心境などが、かなり大きく影響されるようです。

また「母乳が出やすい・出づらい体質」と言われることがありますが、これも、乳腺トラブル、貧血や栄養不足などの影響であり、改善できるケースも多いので、本当に母乳が出づらいお母さんは一握りしかいません。


前述したように、母乳はお母さんの血液から作られていて、血中の成分が正常の範囲になるように、たくさんの臓器によって守られています。

そんな血液から作られた母乳も、血液と同じように、赤ちゃんに必要な栄養が維持できるように、成分がほぼ均一になるように、私達の身体が働いているため、よほど毎日同じものを食べない限りは心配いらないようです。

ただ、問題なのは、毎日の食生活に偏りがある場合、血液への供給と需要が崩れ、母乳にも影響が現れてしまう可能性があります。

母乳に変化を感じる私の身体は、もともと脂性体質で、水分も不足しがちです。そのうえ、肉料理の方が得意なので、上に3人いる中の妊娠・出産で、忙しい合間に作る料理は、必然的にお肉料理が増えていました。

そんな私が食べた物で作られた血液から作られた母乳ですから、もともと多かった動物性油脂が、カレーを食べることで、さらに悪化してしまったと考えられます。

要は、その日食べたカレーよりも、もともとの体質と今まで食べた食事に重点を置かなければいけなかったんです。

「赤ちゃんの体質」

赤ちゃんの体質も同じように、個々に違いがあります。

お母さんから産まれたといっても、全ての赤ちゃんがお母さんと似た体質だとは限りません。お母さん自身は、アレルギーがなくスパイスに強い体質でも、赤ちゃんがそうとは限らないんです。

同じアレルギー体質でも、匂いだけで反応する人もいれば、少しくらいなら食べても問題ない人もいます。

赤ちゃんも同じです。たかが0.6~1.5%の影響でも、赤ちゃん本人に強いアレルギーがあれば、そのアレルギーの元になる食べ物を食べたお母さんの母乳によって、アレルギー反応が引き起こされてしまう場合もあれば、1度くらい食べても問題ない赤ちゃんもいます。

スパイスも同じです。スパイスは、身体にいい成分もたくさん含まれていますが、刺激が強く、まだ消化機能が未熟な赤ちゃんにとって、決していい効果をもたらすとは言えないものです。

とはいっても、私たち大人であってもスパイスに強い人と弱い人がいます。同じように、スパイスに強い赤ちゃんもいれば、弱い赤ちゃんもいます。

アレルギー同様に、たかが0.6~1.5%の影響でも、スパイスに弱い赤ちゃんにとっては、強く影響を受けてしまうこともあるので、気をつけなければいけないところです。

まずは気にせずにカレーを食べてみよう!

カレーを食べることに不安を感じているお母さんに、お願いがあります。まずは、普通にカレーを作って食べてみてください。

もちろん、市販のカレールーには、化学調味料がたくさん含まれています。いつもスパイスを使っているのであれば、そちらを使ってください。

まったく母乳に影響がない人、影響のある人、赤ちゃんに影響がある人、影響がない人、みんなそれぞれ違いがあると思います。

母乳にも赤ちゃんにも影響がない

母乳にも赤ちゃんにも影響がない人は、気にしなくて大丈夫です。そのまま、家族と一緒にカレーを楽しんでください。

ただ、栄養バランスを考えて、食べ過ぎないようにだけ気をつけてくださいね。

母乳は大丈夫だけど赤ちゃんに影響があった

母乳は大丈夫だけど赤ちゃんに影響があった人は、残念ながら、赤ちゃんがスパイスに弱い体質の可能性があります。

赤ちゃんに無理をさせないためにも、極力、カレーは控えた方がいいかもしれません。後は、お母さんの考え方次第です。

母乳にも赤ちゃんにも影響があった

母乳にも赤ちゃんにも影響があった人も同様に、赤ちゃんがスパイスに弱い体質の可能性があるとともに、お母さんの体質改善も必要な可能性があります。

この状態が前述したように、まさに私の状態です。カレーは控えた方がいいかもと先ほどいいましたが、4人目には申し訳なく思いますが、全くできませんでした。小学生になった今でも、やはり、スパイスが苦手です。

赤ちゃんは大丈夫だけど母乳に影響があった

赤ちゃんは大丈夫だけど母乳に影響があった人は、お母さんの体質改善をすれば、母乳の影響を抑えることができ、家族と一緒にカレーを食べても大丈夫です。

工夫さえすれば、カレーは食べても大丈夫なんですよ。

家族と一緒に野菜たっぷりのチキンカレーで楽しい一時を

スパイスからカレーを作る人もいると思いますが、市販のカレールーを使うお母さん、多いかと思います。前述したように、カレールーには、たくさんの動物性油脂が入っています。市販のカレールーを使うよりも自分でスパイスを作った方がいいのは明確です。

私も授乳中に、1度挑戦しようと思い、必要なスパイスを調べるまではしました。

しかし、スパイスを使って最初からカレーを作るとなると、スパイスを用意して、分量を量って、スパイスを炒って・・・したことがない私にとって、勇気が必要で、なかなか作るまで辿りつきませんでした。

私が授乳中に影響を感じてからは「野菜たっぷりのチキンカレー(甘口)」にしました。

ネットで調べると、たくさんレシピが載っているので、お好きなものを選んでみるのもいいかと思います。ただ、大切なのは甘口のカレーを食べることです。甘口にすることで、チリペパーやブラックペパーの分量が減ります。

辛口が大好きな旦那さんには、食べる時に「ガラムマサラ」あるいは「チリペパー」を甘口にかけてもらってください。

少々、スパイスが強く感じる人もいるかもしれませんが、甘口を辛口に変えてくれます。別に辛口を作らなくてもいいので、楽ですよ。

よくシーフードカレーを進められることもあるかと思いますが、シーフードに欠かせないエビやイカは、悪玉コレステロールで豚肉と同じ種類の脂です。鶏肉の脂は、ほぼコラーゲンからできていて、しかも青魚と同じ種類の善玉コレステロールです。

  • じゃがいも
  • 人参
  • 玉ねぎ
  • チンゲン菜
  • ブロッコリー
  • ごぼう
  • なす
  • さつまいも
  • かぼちゃなど

たくさんの野菜を入れて作り、トマトや林檎、にんにくや生姜をすりおろして入れ、醤油を少し入れることで、カレールーの入れる量を減らすことができます。

さらに、カレーには必ず、毒素を排除してくれる働きをする海藻を摂り入れた副菜をつけることで、化学調味料に対する罪悪感が半減します。


そして、もうひとつ気をつけたのが、カレーをする前日の食事です。

メインを青魚料理にして、食物繊維たっぷりのキャベツを中心とした野菜料理(サラダなど)をすることで、できる限り動物性油脂の影響を受けづらくなるように心がけました。

カレーを食べないことよりも、毎日の食生活を見直すことに重点を置くことで、次第に、母乳の変化を感じなくなり、4人目の機嫌が悪くなることもなくなりました。

ひとりひとり体質が違います。私に合った食のバランスが、みなさんにも合うとは限りません。

現に、私の友人は、カレーよりも青魚で母乳に感じるものがあったと言います。そんな私の友人は、青魚が大好きで、豚肉の脂がちょっと苦手なタイプです。

それぞれの体質にあったバランスの食事をとることが、赤ちゃんの健康にも、お母さんの健康にも大切だということですね。

まとめ

授乳中にカレーを食べることは、決して悪いことではありません。赤ちゃんの身体に影響がない範囲であれば、カレーは食べても大丈夫です。

カレーを食べることで母乳に影響を感じるのであれば、まずは毎日の食事を見直してみましょう。普段から「お母さんの体質」「赤ちゃんの体質」を考慮したバランスの摂れた食事をすることで、お母さんの身体も健康になり、カレーによる影響を減らすこともできます。

ただ、スパイスは赤ちゃんにとって刺激が強すぎるので、控えめにすることが大切ですよ。