食べ物や飲み物を制限されることが多い、母乳育児中のママ。カフェインを含んだコーヒーも、飲まない方がいいといわれるもののひとつです。コーヒーを愛飲している人は、コーヒーを飲むことが習慣化していることが多く、飲まないでいるとイライラが募り、ストレスが溜まってしまうこともあります。

授乳中のママがコーヒーを摂取すると、ママや赤ちゃんにどんな影響があるのでしょうか。その影響を知って、自分に合った授乳中のコーヒーとの付き合い方について考えてみましょう。

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授乳中のママがコーヒーを飲むとどうなる?

授乳中のママがコーヒーを飲まない方がいいとされる理由は、コーヒーに含まれる「カフェイン」にあります。ママがコーヒーを飲んで、カフェインがママの体内に取り込まれると、赤ちゃんにはどのような影響があるのでしょうか。ママがコーヒーを飲んだ時点からの流れを確認していきましょう。

「カフェイン」の作用

コーヒーに含まれるカフェインには、「覚醒作用」があります。カフェインが含まれる飲み物を、眠気覚ましとして利用することがありますよね。それは、この覚醒作用を求めているからです。

ママの体に取り込まれたカフェインは、脳を刺激して、興奮状態にします。脳がリラックスすることができず、興奮状態を保つことで、眠気を感じにくくなります。カフェインを摂取することで、眠気を覚ます効果がありますが、摂取し過ぎると、不眠などの副作用を引き起こすことがあります。

また、カフェインを摂取し続けると、体がカフェインに慣れてしまい、その効き目は薄れてきます。そのため、さらなる効果を求めて、摂取量が増えていく「中毒症状」になりやすい成分でもあるので、摂取し過ぎないことを意識することが必要です。

カフェインはママの体から母乳へ

授乳中のママがカフェインを含むコーヒーを摂取すると、その1%の濃度のカフェインが母乳に取り込まれます。カフェインと同様、授乳期間中は避けた方がいいとされるアルコールは、ママの血中濃度と同じ濃度の母乳が生成されます。それに比べて、カフェインはママが摂取した量の1%なので、比率としては決して高いわけではありません。

ただし、たった1%とは言っても、カフェインを多く摂取すればするほど、母乳に含まれるカフェイン量も多くなります。カフェインに対する中毒症状を自覚しているなど、カフェインを採り過ぎていることを感じている人は、摂取量を控えた方がいいでしょう。

赤ちゃんがカフェインを摂取すると

カフェインがもたらす作用は、基本的にはママも赤ちゃんも同じです。母乳に取り込まれたカフェインを赤ちゃんが摂取すると、脳が刺激され、興奮状態になります。

少量のカフェインでは、それほど反応はでませんが、カフェインに敏感な赤ちゃんもいます。敏感な赤ちゃんは反応がでやすいので、カフェインの影響を感じた場合は、摂取を控えましょう。

ママがコーヒーを飲んだ後の授乳後に、赤ちゃんが次のような反応を示した場合、カフェインの影響が考えられます。

  • 寝つきが悪く、夜寝てくれない
  • 情緒不安定で落ち着きがなくなる
  • 乳幼児突然死症候群のリスクが高まる

それぞれの反応については、次の章で詳細にご紹介します。

カフェインが赤ちゃんに与える影響

ママの母乳に取り込まれたカフェインを、赤ちゃんが摂取すると、赤ちゃんには前述したとおり、次のような影響がでることがあります。

  • 寝つきが悪く、夜寝てくれない
  • 情緒不安定で落ち着きがなくなる
  • 乳幼児突然死症候群のリスクが高まる

それぞれ、具体的にどのような状態になるのかをみていきましょう。

寝つきが悪く、夜寝てくれない

コーヒーなどのカフェインを含む飲み物を飲むと、大人でも眠気が覚めたり、頭が冴えたりしますよね。それは、カフェインの持つ覚醒作用によるものです。カフェインを摂取した赤ちゃんにも、大人と同様に覚醒作用が働きます。脳が興奮状態になった赤ちゃんは、なかなか寝付いてくれなくなります。

また、カフェインの効果で、本来眠くなる時間に眠気が覚めてしまうことで、いつもなら眠りについてくれるはずの夜に寝ることができず、目が冴えて遊びだしてしまうことがあります。

赤ちゃんの体内時計を狂わせることにつながりますし、赤ちゃんが夜寝てくれないと、ママもゆっくり休むことができません。母子ともに規則正しい生活を送って、健康を維持するためにもカフェインは摂取し過ぎない方がいいでしょう。

情緒不安定で落ち着きがなくなる

カフェインの持つ覚醒作用が強く働きすぎると、脳が興奮しすぎてしまい、眠気を覚ます以上の作用をもたらしてしまうことがあります。赤ちゃんがカフェインに対して反応し過ぎてしまうと、テンションが上がり過ぎて、落ち着きがなくなったり、パニック状態になって泣くことが増えたりします。

自分の意志とは関係のないところで、眠れない時間が続くので、赤ちゃんは体力を消耗してしまいますし、情緒不安定な状態が続きます。赤ちゃん自身もつらいですし、どう対応していいか分からずにあたふたするママも疲れ果ててしまいます。

少量のカフェインでここまでの反応がでることはほとんどありませんが、中にはカフェインに敏感な赤ちゃんもいます。少しでも影響が出ていそうだと感じたときには、カフェインの摂取は控えましょう。

乳幼児突然死症候群のリスクが高まる

はっきりとした病気の原因は分かっていませんが、カフェインを過剰に摂取したママの母乳を飲んだ赤ちゃんは、「乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)」を発症するリスクが高くなると言われています。

乳幼児突然死症候群は、窒息などの事故ではなく、何の予兆や既往歴もない赤ちゃんが眠っている間に死に至る病気です。

はっきりした原因が分かっていないので、カフェインの過剰摂取が原因であるとは言い切れませんが、原因が分かっていない病気だからこそ、ママが少し気を付けることで防ぐことができるのであれば、防ぎたいところです。

コーヒーの摂取方法でカフェイン濃度は変わる?

コーヒーに含まれるカフェインが、母乳や赤ちゃんに悪影響を及ぼすとお伝えしてきましたが、コーヒーの摂取の仕方を変えることで、カフェインの濃度を低く抑えることはできるのでしょうか。カフェインの摂取量を減らす努力をするための方法を考えてみましょう。

カフェオレ/コーヒー牛乳

カフェオレやコーヒー牛乳は、牛乳や砂糖でコーヒーの苦味が軽減されるので、コーヒーを飲んでカフェインを摂取することへの罪悪感も軽減されているかもしれませんが、そんなことはありません。

苦味がなくても、カフェオレやコーヒー牛乳にもコーヒーと同じくカフェインは含まれています。むしろ、カフェオレやコーヒー牛乳には、脂肪分が多い牛乳や糖質となる砂糖が多く含まれています。

ママの体質にもよりますが、脂質や糖質を採り過ぎると、母乳をドロドロにしてしまい、ひどいときには乳腺炎を引き起こしてしまいます。飲みすぎると、脂質や糖質の過剰摂取につながる可能性があるので、授乳中のママにとっては、ブラックコーヒーより悪影響があるといえるかもしれません。

カフェインと脂質と糖質を同時に摂取することになるカフェオレやコーヒー牛乳の飲みすぎには充分に注意しましょう。

コーヒーゼリー

子どものおやつとしても食べられることが多いゼリーの仲間なので、カフェインの影響を意識しづらいコーヒーゼリーですが、実はコーヒーと同等量のカフェインを含んでいます。

コーヒーゼリーには、カフェオレやコーヒー牛乳と同様、砂糖が加えられている他、コーヒーゼリーとセットで販売されているポーションミルクは、脂肪分を多く含んでいます。ポーションミルクをかけたコーヒーゼリーは、カフェインと脂質と糖質を同時に摂取することになり、こちらも授乳中のママにはおすすめできません。

どうしてもコーヒーゼリーを食べたい場合には、手作りすることをおすすめします。ゼリーに入れるコーヒーをノンカフェインコーヒーにすることで、まずはカフェインの摂取を控えることができます。

さらに加える糖分も自分で調整することができるので、糖分控えめなゼリーにすることも可能です。ポーションミルクはお好みですが、乳製品を摂取すると、乳腺が詰まりやすい体質のママは、かけないで食べることをおすすめします。

ノンカフェインコーヒー

ノンカフェインコーヒーは、カフェイン含有量がゼロなので、妊娠中も授乳中も安心して摂取することができる飲み物です。前述したコーヒーゼリーなどのおやつを作る際にも、ノンカフェインコーヒーを用いるようにしましょう。

同じようにカフェインを含まないものとして扱われることの多い「カフェインレスコーヒー」「デカフェ」は、ごく少量ではありますが、カフェインを含んでいます。少しでもカフェインの摂取を控えたい人は、ノンカフェインのものを選んでください。

授乳中のママがコーヒーを飲むとき、カフェイン摂取するときの注意事項

コーヒーに含まれるカフェインが母乳や赤ちゃんに及ぼす影響を知っていても、好きな飲み物を我慢し続けることはつらいことです。完全母乳で育児している場合には授乳期間は、1年以上続きます。妊娠中からカフェインを控えている場合には、2年程度の長丁場です。

赤ちゃんが産まれ、慣れない育児に忙しく、ストレスを感じることも多いこの時期に、好きな飲み物も飲むことができず、ストレスを増大させてしまうことは避けたいところです。どうしてもコーヒーを飲みたいと感じたときには、次のことに注意して摂取しましょう。

飲んでいい量

授乳中のママが摂取したカフェインの約1%が母乳に取り込まれます。1%と少量ではあるので、インスタントコーヒーを1日に2~3杯であれば、摂取しても問題ないでしょう。

ただし、エスプレッソコーヒーやドリップコーヒーは、同じ1杯でもカフェインの含有量が多くなるので、比較的カフェイン含有量の少ないインスタントコーヒーがおすすめです。

また、牛乳やポーションミルクなど、脂肪分を多く含む乳製品や砂糖は、できるだけ少なめにしましょう。苦味は軽減されますが、脂質や糖質を採り過ぎると、カフェインの作用とは別に、乳腺が詰まり、乳腺炎を引き起こすことがあります。

「インスタントのブラックコーヒーを2~3杯」が、授乳中のママが飲んで影響が少ない量といえるでしょう。それでも稀に、カフェインに敏感な赤ちゃんは反応を示すことがあります。その場合は、この基準に従わず、カフェインの摂取を止めた方がいいでしょう。

飲むタイミングは授乳直後

コーヒーを飲むのは、授乳直後がおすすめです。

ママがコーヒーを飲んでから15~30分後が、母乳のカフェイン濃度のピークといわれています。そのため、コーヒーの飲んだ直後に授乳をしてしまうと、母乳にカフェインの影響が大きく出てしまいます。

母乳や赤ちゃんへのカフェインの作用を最小限に食い止めるためには、コーヒーを飲んでからできる限り時間を置くことが重要です。授乳した直後であれば、次の授乳までの間の数時間を確保することができます。

もし、赤ちゃんが授乳したら眠りについてくれるようでしたら、そのタイミングで大好きなコーヒーでほっと一息つくのもおすすめです。日頃のストレスが少なからず緩和できることでしょう。

できればカフェインを含まない飲み物に

私もコーヒーが大好きなので、他の飲み物ではなく、「コーヒーを飲みたい!」という気持ちは充分に理解しているつもりです。その気持ちを理解したうえでも、できることなら、カフェインを含まない飲み物で代用することをおすすめします。

授乳中のママがカフェインを含む飲み物を摂取していると、赤ちゃんの寝付きが悪かったり、不機嫌な時間が続いたりしたときに、「自分がカフェインを摂取したことが影響しているのでは?」と自分を責めてしまうことがあります。

赤ちゃんが寝付かなかったり、不機嫌になる要素は他にもたくさんありますが、その責任の一端が自分にあると感じて、ママが自己嫌悪に陥ってしまうと、赤ちゃんもその空気を感じ取って、さらに情緒が不安定になってしまいます。

カフェインを摂取することで、自分を責めてしまうくらいであれば、コーヒーに似た飲み物は他にもあります。カフェインを含まない飲み物を代用することで、自分の心を労わってあげましょう。

授乳中にコーヒーの代用として、おすすめのノンカフェイン飲料

コーヒーは飲みたいけど、カフェインは控えたいという授乳中のママにおすすめのカフェインを含まない飲み物を紹介します。おすすめのノンカフェイン飲料には次のようなものがあります。

  • ノンカフェインコーヒー
  • たんぽぽコーヒー
  • ハーブティー

ノンカフェインコーヒー

先ほども紹介しましたが、ノンカフェインコーヒーは、カフェインがゼロなので、授乳中でも安心して飲むことができるコーヒーです。味も見た目もコーヒーと遜色がないので、コーヒーの代用品としてはベストな飲み物です。

私もコーヒーが大好きで、妊娠前までは1日に数杯飲んでいました。ただ、カフェインの過剰摂取を自覚していたので、1人目の妊娠を機に、カフェインの摂取量を減らすべく、ノンカフェインコーヒーを取り入れた生活に切り替えました。

ノンカフェインコーヒーと同じように扱われることの多い「カフェインレスコーヒー」「デカフェ」は、少量ではありますが、カフェインを含んでいます。極力カフェインの摂取を少なくしたい場合には、ノンカフェインコーヒーをおすすめします。

たんぽぽコーヒー

たんぽぽコーヒーは、別名「たんぽぽ茶」とも呼ばれ、たんぽぽの根っこから作られた飲み物です。味や風味がコーヒーに似ているため、たんぽぽコーヒーと呼ばれていますが、実際にはコーヒーではないので、カフェインは含んでいません。

たんぽぽコーヒーの元となる「たんぽぽ」には、ビタミンやミネラル、鉄分などが多く含まれています。それらの栄養素は、血液循環を促進させるので、血液がサラサラにしてくれます。ママの血液から作られる母乳もサラサラになるので、乳腺が詰まることもなく、乳腺炎を予防してくれます。

ノンカフェインなのに、コーヒーを飲む気分を味わいながら、母乳をサラサラにする効果のあるたんぽぽ茶は、授乳中のコーヒー愛飲家の強い味方となるでしょう。

ハーブティー

コーヒーとは見た目も味も異なってしまいますが、苦手でなければ、ノンカフェインのハーブティーを取り入れてみてはいかがでしょうか。

温かくしても冷たくしても飲めるという点では、コーヒーと共通する部分があります。また、様々な香りや味のものがあるので、これを機に、自分に合ったハーブティーを探してみると、新しい発見につながるかもしれません。

また、たんぽぽコーヒーと同様、ハーブティーにも母乳の出がよくなるとされる種類がいくつかあります。母乳の出に悩んでいる人は、次のようなハーブティーを試してみることをおすすめします。コーヒーとはまた一味違ったリラックス効果をもたらしてくれるでしょう。

  • ラズベリーリーフティー
  • ルイボスティー
  • フェンネルティー
  • ネトル
  • ローズヒップティー

まとめ

授乳期間中は、慣れない育児だけでも大変なのに、食べ物や飲み物にまで制限があり、ストレスをためやすい時期です。

大好きなコーヒーを我慢して、ストレスを増大させることは、育児をする心理としていい状態とは言えません。コーヒーを飲むことで少しでも気持ちを落ち着けることができるのであれば、授乳後にほっと一息つく時間を作りましょう。

ただし、母乳や赤ちゃんへの影響がないわけではありません。ノンカフェイン飲料で代用できれば、それに越したことはないですが、いつもより少し薄めに入れるといったところからでもかまいません。カフェインの摂取量は極力減らす方法を選択して、母子ともにストレスのない育児生活を楽しみましょう。