妊娠中に風邪をひいてしまって、薬が飲めずに困ったという経験ありませんか?

あるいは、お腹に赤ちゃんがいるのだけど、咳がひどい・喉が痛いのでトローチを舐めたい、もしくはうっかり舐めてしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

トローチも薬だから、妊婦が摂取して大丈夫かな…と心配されている方、ここではトローチについて、種類や含まれている成分などについて紹介します。そして妊婦も舐めても大丈夫かどうかについてもお話したいと思います。

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妊娠中に大丈夫?トローチは2種類に分けられる

トローチは以下の2種類に分けられます。

  • 医薬品…医療用に供される薬のこと。
  • 医薬部外品…薬事法で医薬品と化粧品の間にあるもの。医薬品に比べて効果が緩やか。

処方されるトローチは医薬品となりますが、その成分は主に以下の3つです。

分類 種類1 種類2 種類3 種類4
抗生物質系 テトラサイクリン フラジオマイシン グラミシジン バシトラシン
殺菌剤系 臭化ドミフェン 塩化デカリウム クロルヘキシジン
局所麻酔系 アミノ安息香酸エチル

この抗生物質などが入っていることが、妊婦にとってはたして舐めていいのかどうかと迷ってしまうところですね。


上の表のグラミシジンという抗生物質系のトローチは「複合トローチ明治」という名前で販売されていましたが、このグラミシジンという少量の抗生物質が逆に耐性菌を増やしてしまう可能性があるということで、今では製造中止になっています。

また同じく抗生物質系のパシトラシンという物質が含まれているトローチも、妊娠中の投与の安全はいまだ確立されていないということです。

アミノ安息香酸エチルは麻酔系ですが、乳幼児に対してはメトヘモグロビン血症が報告されているところからしても、妊娠中は控えたほうがよさそうです。

日本産婦人科学会の「妊婦と薬物」という記事によると、トローチにかぎらずテトラサイクリンは、中・後期での歯牙の着色、エナメル質の形成不全があるという報告例があります。
参照元:日本産婦人科学会「妊婦と薬物」

他の成分も妊婦は控えたほうがよいものなどありますが、それは含まれている量(例えば2週間続けて服用した場合など)に関係してきます。

産婦人科などで処方されるトローチ

通われている産婦人科などで処方されたものは、妊婦として処方されたものですので、そこは安心して服用しましょう。

そうはいってもどんな成分なのかと心配な方のために、ここでは主なトローチをいくつかみていきましょう。

SPトローチ明治

抗菌作用があるもので、上の表で行くと殺菌剤系の塩化デカリウムが主成分になります。舐めることで口腔内や喉のバイキンをやっつける作用があります。

デカリニウム塩化物というものが1錠0.25mg含まれていて、副作用が少ないことが確認されています。ですので、妊娠中でも舐めても問題ないと言えます。

オラドールSトローチ

1錠中に0.5mgの臭化ドミフェンが含まれています。こちらも殺菌剤系のものです。妊娠中の方でも、のどが痛い時、風邪を引いた時これを処方されたという声が結構あります。

リスク応じて分類される市販のトローチ

市販のトローチはどうなのでしょうか?実際、処方されたトローチと同じ成分が含まれているものもありますので、代表的なものから見てみましょう。

一般に市販薬は、そのリスクの大きさに応じて、要指導医薬品から第一類~第三類医薬品に分類されています。まずはこれらの分類を目安に商品を選びましょう。

分類 説明 商品例
・要指導医薬品
・第一類医薬品
特に注意が必要で、店頭でも薬剤師の説明を受けてからでないと購入できない リアップ、ガスター10など
第二類医薬品 副作用の面で特に注意が必要なもの アレジオン10など
第三類医薬品 比較的副作用が軽いもの 栄養ドリンク剤など

龍角散ダイレクト トローチタイプ

第三類医薬品の分類にはいるのが、この龍角散です。第三類医薬品とは、一般用医薬品のうち安全・健康のリスクが比較的低い薬のことです。こう聞くと、妊娠中も安心して服用することができそうですね。

これらは生薬の成分が含まれます。主な成分は、キキョウ末、キョウニン、セネガ、カンゾウで、妊娠中に服用しても問題ないものとなっています。

ヴィックス

色々な味がでている三角形の形をしたのど飴ですが、こちらはセチルピリジニウムという殺菌剤の成分を含んでいます。説明書きには以下のように記載されています。

次の人は使用前に医師、歯科医師又は薬剤師に相談してください。
⑵妊婦又は妊娠していると思われる人。

大量に摂取しなければ問題ないと思いますが、心配な場合は担当医師や薬剤師に相談してみることをおすすめします。

ルルトローチ

病院で処方されるSPトローチ明治の市販薬です。デカリニウム塩化物とキキョウエキス、カンゾウ抽出粉末が含まれています。

こちらも妊娠中に控えたほうがよいという注意書きがない、主成分に漢方を含めているということもあって、妊婦さんでも舐めることができそうですね。

ベンザブロックトローチ

このトローチの注意書きには、「妊娠していると思われている、または妊婦は医師や薬剤師に相談」という文言があります。

含まれている成分には口の中を殺菌するセチルピリジニウム塩化物と咳をしずめる成分デキストロメトルファンフェノールフタリン塩というものです。この咳止め成分が妊婦にとって注意すべきものとして扱われています。

ペレックストローチ

第二類医薬品のペレックストローチはベンザブロックトローチやヴィックスと同様、「妊娠している、あるいは妊婦は医師や薬剤師に相談」することになっています。

第二類医薬品とは、副作用などが日常生活に影響を及ぼす可能性がある、リスクが中程度のもののお薬です。これらの医薬品は、妊婦や授乳中は担当医師に相談するか中止すべきものであるとされています。

コルゲンコーワトローチ

グリチルリチン酸ニカリウムとセチルピリジニウム塩化物水和物、そしてセネガ乾燥エキスが含まれています。

さきほどのヴィックスやベンザブロックトローチと同じセチルピリジニウムが成分にありますが、このコルゲンコーワトローチのHPサイトのQ&Aには妊娠中の方でも使用可とあります。

参照元:コルゲンコーワ トローチ Q&A

注意

このように同じ成分でも含まれている量が違うからなのか、あるいはメーカーによって判断基準が違うのか、あるところでは控えたほうがよいとしていても、別のところでは妊娠中でもOKとされているものもあります。

市販のど飴のハーブエキスは大丈夫?

ハーブティーなどのものには妊娠中控えたほうがよいものがあります。しかし、市販ののど飴などに含まれているハーブエキスはごく少量です。

大量に摂取してお腹をゆるくするなどの影響が考えられますが、胎児や母体にのど飴のハーブエキスが影響することは考えにくいため、舐めても問題ありません。

判断に迷ったときはかかりつけの産婦人科・薬剤師に相談を

妊娠中の身体はつねに変化していきますし、とてもデリケートになっているため、予想もしない反応をすることがあるかもしれません。

そう考えると、トローチ1つを舐めるにしてもどんな影響がお腹の赤ちゃんや母体にでてくるかわからず不安になってしまいがちですね。

しかし、むやみに恐れて対処せず、喉が痛いのを我慢して悪化させるよりは、容量用法を守った上で服用したほうが結果的に身体を守ることにもなります。(何事も過度に取りすぎるのはよくありませんよね。)


あくまで自己責任のもとで判断して摂取する。でも判断に迷う、そんな時はやはりかかりつけの産婦人科の先生や薬剤師に聞くことが一番でしょう。

ほとんどが問題ないとされていますが、安心の確認を得るという意味でも、少しでも疑問に感じることがあれば、医師や薬剤師に相談されることをお勧めします。

喉の痛みが一刻もはやく取り除かれて、元気な身体に回復されますように。