妊娠36週目に突入すると、いよいよ妊娠10ヵ月の「臨月」と呼ばれる時期を迎えます。

さらに、37週目に入ると、いつ赤ちゃんが産まれてもいい状態である「正期産」になります。正期産の時期に入れば、赤ちゃんはもういつ産まれてもおかしくありません。出産はもう目の前まで迫っています。

臨月に入り、出産が近づいてくると、妊婦さんのお腹はだんだん下に下がってきます。

お腹が下がってくると、出産が近いと言われているため、臨月に入った妊婦さんにとっては、お腹が下がるというのがどういう状態なのか、気になるところです。また、予定日が近づいても、お腹が下がってくる気配がないと、赤ちゃんがいつ産まれてくるのか、心配になる妊婦さんもいます。

臨月の妊婦さんのお腹が下がるとは、具体的にどういう状態なのでしょうか。

また、なかなかお腹が下がらない場合、お腹を下げるために、妊婦さん自身にできることはあるのでしょうか。私の2度の出産体験も交えて、ご紹介していきます。

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臨月でお腹が下がるとは?いつから・どのくらい?

臨月の妊婦さんの「お腹が下がる」のは、出産兆候のひとつで、赤ちゃんがお腹から出てこようとしていることの表れです。

では、なぜ出産が近づくと、妊婦さんのお腹は下がってくるのでしょうか。またその現象は、いつ頃から見られるのでしょうか。

お腹が下がる理由・下がる位置

臨月に入り、出産が近づいてくると、お腹の中の赤ちゃんが、出産に向けて体の位置を動かし始めます。

赤ちゃんは、お腹の中から外の世界に出るために、ママのお腹の出口である子宮口に向かって下に下りてきます。赤ちゃんの位置が下に下がってくるので、妊婦さんのお腹の膨らみも下の方に下がります。

この赤ちゃんが下の方に降りてくる現象を、妊婦さんの「お腹が下がる」と表現します。


臨月を迎えるまでは、へそのあたりにあったお腹の膨らみが、徐々に下腹部へと移動します。

ただ、お腹の下がり方には個人差があります。周りの人の目から見ても分かるくらい下がる場合もあれば、妊婦さん自身ですら気づかないくらい、少しずつ移動することもあります。

ママのお腹の中で、だんだん下に降りてきた赤ちゃんが、ママの骨盤の間に頭を通して、本格的に外の世界に出ようとし始めると陣痛が起こり、出産に向かいます。

お腹が下がるのは、この陣痛の一歩手前の段階まできているということを示しています。

お腹が下がる時期、見た目や感覚ででわからないことも

臨月に入るとお腹が下がると言われていますが、実際には、どの妊婦さんも臨月に入ったとたんにお腹が下がり始めるわけではありません。

正期産の時期を迎え、赤ちゃんがお腹から出てこようと、下に移動し始めたタイミングから始まるので、臨月に入ってすぐに下がり始める人もいれば、予定日近くなっても動きがない場合もあります。

初産の場合は、産道が開きにくいので、赤ちゃんは2週間程度かけて、ゆっくりと下に下りてきます。

下りるペースが遅いので、お腹が下がってきているという実感はわきにくいかもしれません。赤ちゃんが移動を始めて数日経ったころに、そういえば、お腹の膨らみが下に移動したかも、と思う程度の人もいるでしょう。


私が第1子を妊娠しているときは、お腹の赤ちゃんが小さめだったこともあり、臨月になってもお腹の膨らみがそれほど目立たなかったので、見た目ですぐに分かるほどは、お腹は下がりませんでした。

予定日が近づいてから、産院での診察で「お腹が下がってきていますね」と言われて、初めて気づいたくらいです。

お腹が下がってくると、出産が近づいていることは間違いないですが、それから何日後に出産を迎えるというところまでは計算できません。もうすぐだ、ということだけは分かるので、いつ陣痛がきてもいいように準備は進めておきましょう。


経産婦さんの場合は、産道が開いているので、赤ちゃんが下の方に移動を始めてから陣痛を迎えるまでの日数が短くなる傾向にあります。そのため、お腹が下がってきたと感じたときには、もう陣痛も迎えているということもあります。

私の場合、第1子を出産してから2年後に第2子を出産しましたが、第2子のときはお腹が下がっているかどうかを感じることもないまま、予定日の9日前にいきなり陣痛を迎え、翌日に出産しました。

実際にお腹が下がってきていなかったのか、第1子との日々の生活に重点を置きすぎて、お腹が下がっているかどうかまで気が回っていなかったのか、今となっては判断ができませんが、お腹が下がってきたからそろそろかな、と感じる余裕はなかったように思います。

臨月にお腹が下がることによって起きる体の変化

出産が近づき、お腹が下がってくると、見た目以外にも体に変化が訪れます。お腹が下がることによって起きる体の変化としては、次のようなものが挙げられます。

  • 胃がすっきりする
  • 恥骨や足の付け根が痛む
  • トイレが近くなる

それぞれの変化はどうして起きるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

胃がすっきりする

妊娠後期に入った頃から、大きくなった子宮が、胃や肺など周りの臓器を圧迫し、食欲が減退したり、息苦しさを感じたりすることがあります。

しかし、臨月に入り、赤ちゃんが下方に移動することで、圧迫されていた臓器が解放され、胃がすっきりしたように感じます。

胃もたれや胃のむかつきから解放される代わりに、食欲が急激に増すことがありますが、食欲のままに食べ過ぎることのないように注意してください。

食べ過ぎによる急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群を引き起こす可能性があります。また、産道に脂肪がつき過ぎると、赤ちゃんが通りにくくなり、難産の原因となります。たとえ、胃がすっきりしても食欲に負けないよう、強い気持ちを持ちましょう。

恥骨や足の付け根が痛む

出産に向けて、赤ちゃんが移動を始めるとともに、ママの体も出産に向けて準備段階に入ります。

下方に移動してきた赤ちゃんを受け入れるために、骨盤が少しずつ緩み始めます。下方に移動してきた赤ちゃんを支えるために、骨盤の結合部分にあたる恥骨や足の付け根が痛むことがあります。

赤ちゃんはどんどん下方に下りてきて、ママの骨盤もどんどん緩んでいきます。痛みが強いほど、出産のタイミングが近づいているといえるでしょう。

トイレが近くなる

お腹が下がってくると、それまで圧迫されていた胃や肺が圧迫から解放される一方で、下腹部に位置している膀胱が圧迫されるようになります。

膀胱が圧迫されると、尿の溜めておくことができなくなるため、頻尿になりトイレに行きたくなる回数が増えます。

私も妊娠時、見た目ではお腹が下がったことを実感できなかったのですが、トイレが近くなったことで、出産が近づいているんだな、と感じたことを記憶しています。

夜中もトイレに行きたくて目覚めることが増え、出産間際は毎晩2~3回トイレに通っていました。何度トイレに行ってもすっきりせず、残尿感が消えない人もいるようです。

すべてはお腹の下方に下りてきた赤ちゃんが膀胱が圧迫しているためです。出産がもうそこまで迫っているととらえ、頑張ってトイレに足を運びましょう。

お腹が下がる以外の出産兆候

お腹が下がる以外にも、出産の兆候としては次のようなものがあります。

妊婦さんによって出る症状は異なりますが、どれも出産のときが近づいている証です。しっかりと出産に備えましょう。

  • 赤ちゃんの胎動の回数が減る(赤ちゃんの頭がママの骨盤にすっぱりはまるため)
  • 手足がむくむ(大きくなった赤ちゃんに体が圧迫され、血流が悪くなるため)
  • 便秘になる(子宮の下にある腸が圧迫されるため)
  • 下痢になる(ホルモンバランスの影響による)
  • 夜うまく眠れなくなる(ホルモンバランスの影響などによる)

臨月にお腹を下げる方法「運動・体操・家事」

出産予定日が近づいても、なかなかお腹が下がってくる気配がなくて、心配になる妊婦さんもいると思います。

産院によって異なりますが、臨月に入ってからは、妊婦検診の頻度が週に1回程度に増えます。

検診の際に、主治医に状況を確認し、お腹を下げる運動をした方がいいと判断された場合には、次のような動きをすることで、赤ちゃんが下に下りてくる傾向にあります。

  • ウォーキング
  • ストレッチ
  • 掃除

それぞれ、どのような動きが効果的かを紹介していきますが、ママの体調と、お腹の赤ちゃんの状態によっては、運動を制限されることもあります。産院の指示に従い、無理のない範囲で行うようにしましょう。

ウォーキングでお腹が下がりやすくする

お腹を下方に下げるためには、ウォーキングがおすすめです。

お腹が大きくなってくると、動くこと自体がつらく感じ、ついつい運動不足になりがちです。ウォーキングであれば、運動ということを意識することなく、体を動かすことができます。体重が増加気味の妊婦さんには特におすすめです。

ウォーキングは、歩くときの振動で、赤ちゃんが下に下がりやすくなるだけでなく、体を動かすことで血行がよくなったり、自律神経が整ったりする効果も得ることができます。

少し体力に余裕のある人は、ウォーキングのコースに階段の上り下りを入れると、さらにお腹が下がりやすくなります。ただし、お腹が大きい状態では、足元が確認しづらくなります。転倒には充分に注意し、できるだけ、手すりのある階段を利用するようにしましょう。


私は第1子のときも第2子のときも、お腹が下がっている実感が少なかったので、天気さえ悪くなければ、よく散歩に出かけていました。

出産時期が4月と5月だったので、気候がいい季節だったことも、散歩に出かける気分にさせてくれていたと思います。第1子のときは、義母が散歩に付き合ってくれ、第2子のときは、第1子の外遊びも兼ねて、公園周辺を巡りました。

ウォーキングというと、運動のように感じて、プレッシャーがかかってしまう人は、私のように「散歩」ととらえるといいでしょう。

早いペースで歩く必要はありません。気分転換も兼ねて、外の空気を吸いに出かけてみましょう。

ストレッチでお腹が下がりやすくする

天候や気候に左右されずに、室内でできるお腹を下げる方法としては、ストレッチが挙げられます。

なかでもおすすめなのは、立った状態で、膝を曲げたり延ばしたりする「スクワット」です。

大きいお腹を抱えてスクワットをすると、体のバランスを崩しやすいので、テーブルや椅子の背もたれ、手すりなど掴まるものがあるところで行いましょう。


立った姿勢での運動がつらい場合には、股関節を開くことを意識したストレッチがおすすめです。

股関節を緩めることで、赤ちゃんは下に下りてきやすくなります。また、ストレッチの一環として、座って過ごすときには、あぐらをかくようにすると、股関節は開きやすくなります。あぐらをかくときには、両足の足の裏同士をくっつけるようにすると、さらに効果的です。

臨月にもなると、大きなお腹を支えるために、猫背になっていたり、運動不足によって、血行不良の状態が続いていることがあります。股関節を広げる以外にも、体を伸ばすストレッチを取り入れると、体調も整いやすくなります。

掃除などの家事でお腹が下がりやすくする

わざわざ運動をするよりも、日常生活のなかでおなかを下げる方法が知りたいという人におすすめなのが、掃除をはじめとする家事です。

掃除のなかでもおすすめなのが「雑巾がけ」です。

「臨月の妊婦さんが雑巾がけをすると安産になる」というジンクスを耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

このジンクスは、ただの願掛けというわけではなく、そういわれる理由があります。

それは、雑巾がけをする際にするしゃがんだ姿勢が、赤ちゃんの出口となる子宮口を開きやすくするためです。子宮口が開きやすくなることで、赤ちゃんは徐々に下に下がりやすくなります。

雑巾がけによって、子宮口が開きやすくなり、赤ちゃんが出てきやすくなるという意味で、こういったジンクスが生まれたと考えられます。

雑巾がけ以外にも、料理などの立ち仕事をすることで、重力の力を借りて、赤ちゃんを下に下げるという方法もあります。

体に無理のない範囲で試してみましょう。

まとめ

臨月を迎えると、出産のときはもう目の前に迫っています。いつになったらお腹が下がり、どのタイミングで陣痛がくるのか、そわそわドキドキした日々を送っていることでしょう。

ただし、妊娠も出産も、人それぞれです。なかなかテキスト通りはいきません。

私も第1子のときは、赤ちゃんが下りてくる前に破水して入院し、そのまま出産を迎えましたし、第2子のときは、妊婦検診で、「まだですね」と言われたその日に陣痛がきて、翌日出産しました。

お腹が下がることは出産兆候のひとつではありますが、お腹が下がったからすぐに産まれるわけでもありませんし、お腹が下がったことを実感していなくても、出産のときを迎えることはあります。

お腹が下がってきた実感がなく、不安な場合は、妊婦検診でお医者さんに聞いて、状況を確認することで、不安を払拭しておきましょう。

お腹が下がってきたな、と感じたときには、出産の日はすぐそこです。出産に備えた準備を万端にして、その日を迎えましょう。