これから出産を控えている妊婦さんやご家族にとって、出産後の生活は、赤ちゃんが増えることで生活スタイルもガラリと変わり、授乳やおむつ交換などと忙しくなることは予想がつくかと思います。

実は、忙しさはそれだけではないのです。人が誕生するということは、社会的にも大きな変化なのです。そのために出産後は必要な手続きがたくさんあります。

今回は数ある手続き関係の中でも、出産した人全員に関係するものである、6つの手続きについて説明していきます。

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産後は忙しいのに手続きがたくさんで大変!

出産後は赤ちゃんのお世話に追われ、目まぐるしい日々を送ることになりますが、忘れてはいけない大事な手続きもたくさんあります。

その手続き関係の多さも産後の忙しさに拍車をかけていると言ってもいいでしょう。

各種の手続きは、その対象者となるかどうかでまた異なってくるので、自分がその手続きの対象者なのか調べることから始めましょう。

出産した全員が対象となる手続き

出産した方全員が対象となる手続きは6つあります。

この手続きは出産した全員が対象になるというだけあって、どれもとても重要な手続きになります。まずはこの6つを忘れずに行いましょう。

  • 出生届
  • 出生した児の健康保険の加入
  • 乳幼児医療費助成
  • 児童手当給付金
  • 出産育児一時金
  • 出生連絡票

働いている妊産褥婦が対象となる手続き

働いている妊産褥婦さんが対象となる手続きもあります。その多くは、仕事を休業する形になるために発生する手続きが多いです。

今回は参考までに、どのような手続きがあるのかご紹介します。

  • 産前産後休業
  • 出産手当金(産休中に退職した場合も対象になる)
  • 育児休業申請
  • 育児休業給付金
  • 出産祝い金(企業により有り)
  • 失業給付金の延長(出産を機に退職した場合)
  • 傷病手当金(妊娠中に傷病休暇を取得した場合)


高額医療など特別な対象となった場合の手続き

妊娠出産で医療費が高額になった場合に申請できるものや、生まれた赤ちゃんに何らかに治療が必要な場合や、低出生体重時などの場合に申請できる手続きがあります。

・高額医療費
妊娠・出産に伴う保険適用範囲の治療で、自己負担限度額を超えた場合が対象。帝王切開も対象となる。
(参考文献 高額な医療費を支払ったとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会
・未熟児養育医療給付金
2000g以下の出生体重児、または生活力が特に弱く、対象となる症状のいずれかの症状を示す乳児を対象として、医療費の助成が行われる。
(参考文献 未熟児の養育医療 東京都福祉保健局

最低限必要な6つの手続き方法と順番

出産した人全員が必ず行うべき手続きは6つあります。

自分は産後で身体の回復もまだですし、赤ちゃんのお世話もあるので、ご主人やご家族に手続きしてもらうことが良いでしょう。

それぞれ、期限なども決まっているので、早めの手続きしたほうがよい順番でお伝えしていきます。

何よりも一番大事な出生届

出生届は赤ちゃんを戸籍に登録するための、赤ちゃんが生まれてから行う手続きの中で一番大事な手続きになりますので、何よりも先に行いましょう。

出生届を提出する際に、赤ちゃんのお名前を書く欄があります。提出までに赤ちゃんのお名前を考えておく必要があります。

お名前は一番初めの赤ちゃんへのプレゼントとなるので、ご夫婦や家族で妊娠中から話し合って候補だけでもだしておくことが良いですね。

提出期限:
赤ちゃんの生まれた日から14日以内(14日を過ぎるとお金が発生します)
提出先:
①住民票がある地域の区役所や市役所、役場
②里帰りなど出生地の区役所や市役所、役場
③本籍がある地域の区役所や市役所、役場
提出する人:
生まれた赤ちゃんの両親、代理人も可ですが、記載は両親が行います
用紙の受け取り:
出生証明書と一体になっていて、出産した病院や産院で発行するものなので、用紙の準備はないです。1枚しか発行できないので、失敗や紛失しないように注意が必要です。
提出に必要なもの:
①出生届
②出生証明書(出生届と一緒になっています。医師・助産師記入欄があります。母子手帳の出生証明欄と間違いがないか必ず確認しましょう)
③印鑑(シャチハタは不可)
④母子手帳(表紙に必ず赤ちゃんの母親の氏名がペンで記入されていること)
⑤届出人の本人確認証
⑥届出人のマイナンバーが必要な場合もある

健康保険の加入手続き

生まれた赤ちゃんの健康保険に加入する手続きで、これも早めに行う必要がある大事な手続きです。

両親どちらの扶養に赤ちゃんが入るのかによって、手続きの申請場所が変わってきます。

父親の扶養に入ることが一般的でしたが、最近では母親も働いている人が多く、フルタイム勤務の場合などは母親の扶養に入ることもあるようです。

児のことに関して今後何か手続きが必要になったりする場合は、母親が行うことも多いので、一括して保護者を母親でまとめてしまう家庭も増えてきており、そのために扶養も母親の方に入るということも増えています。

申請期限:
原則として児の1ヶ月健診まで(1ヶ月健診で提出を求められます)
申請先:
①扶養に入る両親どちらかの勤務先の担当窓口(健康保険や共済組合など)
②両親が国民健康保険の場合は、住民票のある地域の区役所や市役所、役場
申請者:
両親どちらか。できれば扶養に入る方の親
申請に必要なもの:
①母子手帳(出生届出済証明が記入されていること)
②申請者の印鑑(シャチハタ不可)
③扶養に入る人の保険証
④申請者の本人確認証

乳幼児医療費助成の申請

住民票のある自治体によってその助成の内容は変わってきますが、児の医療費などが無料や収入に応じて減額になったりする制度です。

手続きによって乳幼児医療証が発行され、病院や薬局で医療証を提出することで医療費が助成されるというものです。

自治体により手続きの方法や助成内容がかなり変わってくるので、前もって住民票のある地域の自治体に確認しておきましょう。

申請期限:
だいたいの自治体が1ヶ月健診まで。
申請先:
住民票のある地域の区役所、市役所、役場
申請者:
児の両親(保護者)
申請に必要なもの:
①母子手帳(出生届済証明が記入されているもの)
②児の健康保険証(手続き中の証明書でも可の場合も多いです)
③申請者の印鑑
④申請者の本人確認証
⑤乳幼児医療証の申請書(申請先の自治体にあります)
⑥申請者のマイナンバー

児童手当給付金の申請

年金制度に加入していて、支払いをしている養育者に対して、育児費用の支援の目的で、国から給付金がもらえる制度です。出生したときから、その児が中学校を卒業するまでの期間が対象となります。

支給額は児の年齢と第何子か、養育者の所得によって変わってきます。

  • 0~3歳未満:乳幼児1人につき、月額15,000円
  • 3歳~小学校卒業まで:乳幼児1人につき、月額10,000円(第3子は15,000円)
  • 中学生:月額10,000円

所得制限が設けられていて、制限以上の所得がある場合は、給付金がもらえないのではなく、特例給付という扱いになり、児の年齢に関係なく、1人につき月額5,000円が給付されます。

児童手当は、10月、2月、6月に前の月4ヶ月分をまとめて支給されるので、実際に手元に入ってくるのは年3回となります。

申請期限:
児の生まれた月の月末まで。(遅れても申請は可能ですが、さかのぼっての給付は受けられないので注意が必要)
申請先:
住民票のある地域の区役所、市役所、役場
申請者:
養育者の中で一番収入が高い人
申請に必要なもの:
①児童手当認定請求書(その自治体にあります)
②申請者の健康保険証
③申請者の印鑑
④申請者の本人確認証
⑤申請者名義の普通預金通帳
⑥申請者のマイナンバー

出生連絡票の提出

出生連絡票とは、母子手帳を交付してもらった時に、一緒に交付されるか母子手帳に同封されているハガキのことです。

これを提出することで、新生児期に住民票のある地域の担当助産師や保健師が、新生児家庭訪問をして、母子の健康状態の確認や、育児情報の提供などをしてくれるサービスを無料で受けられるというものです。

提出期限:
新生児訪問なので、最低でも新生児期である生後28日以内
提出方法:
郵便ポストに投函するだけ
提出書類:
母子手帳交付時に一緒に同封されている
注意点:
①里帰りなどで1ヶ月以内に自宅に在宅していない場合は、その旨を一緒に記入することで里帰り先から帰ってきてから同様のサービスを受けることができる。
②経産婦の場合は、育児情報の提供のみで終わることもあり、自治体によってサービス内容はある程度変わってくる。
③家庭訪問を拒否することもできる。

出産育児一時金の申請

出産育児一時金とは、出産した時に加入している健康保険から42万円がもらえる制度で、妊娠12週以降の出産であれば、流産や死産などの悲しい出産や、経済的理由からの人工妊娠中絶となってしまった場合でも、支給される制度です。

また双子の場合などは、胎児1人につき42万円なので倍額が支給されます。

今は多くの病院が直接支払制度というものを導入しています。

これは、出産する病院で健康保険証の提示とそれぞれの病院での所定の文書を記入することで、出産後に受け取る予定の42万円を出産費として病院に支払い、出産後の支払いを42万円からの差額だけにするというものです。

この制度により、出産の時に多額の費用を準備する必要がなくなります。

出産予定の産院が産科医療保障制度に加入していない場合は、40.4万円の支給となり、企業によっては祝い金もプラスされて42万円以上支給される場合もあります。

そのため、妊娠中にすでに手続きを終えている場合も多いと思いますが、直接支払制度を利用しなかった場合は、出産した人全員が対象となる手続きのため、その内容について説明していきます。

申請期限:
出産した日から2年以内
申請先:
勤務先の窓口(旦那さんの扶養に入っていて利用する場合は、旦那さんの勤務先)
国民健康保険の場合は、住民票のある区役所、市役所、役場
申請者:
児の母親、父親で利用する場合は父親
申請に必要なもの:
①支給申請書
②母子手帳(出産したことが証明できるもの)
③出産費用の領収書や医療明細書
④直接支払制度を利用していないことを示す文書
⑤申請者の健康保険証

忘れずに申請することが親の務めの第一歩

産後、出産した全員が必ず必要な手続きだけでも6つもあり、その他にも対象となる手続きが数多くあります。

場合によっては、出産しただけで十数個の手続きが必要となってくることもあり、産後の忙しい生活の中で、さらに追い打ちをかけるように大変だなと感じることでしょう。

でも、子どものために必要な手続きや、育児の負担を軽減するための給付を受けられるものであったりと、どれもが大事な手続きです。

妊娠中の時間に余裕があるときから、どの手続きが対象となるのかリストアップしておき、産後スムーズに手続きができるように準備しておきましょう。

大変ですが、赤ちゃんのお世話だけでなく、手続き関係もきちんとこなしていくことが、親の務めの第一歩かもしれないですね。