寝返りをするようになった赤ちゃんが、うつ伏せの状態で前にあるものを手に取ろうという意思が働きだすと、体が持ち上がらないながらも、腕の力を使って前に進もうとします。そして、最初にできるようになることが多い移動手段が「ずりばい」です。

ずりばいがどういう動きで、赤ちゃんがずりばいで移動をできるようになる時期はいつ頃なのか、またずりばいができないときに練習は必要かどうかなど、ずりばいに関する悩みを解決していきましょう。

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ずりばいとは?ハイハイとの違いは?

「ずりばい」は、それまでねんねの姿勢で場所を移動することなく過ごしてきた赤ちゃんが、一番早くに習得することが多い移動手段です。

ずりばいとは具体的にどのような動きで、赤ちゃんがどうやって習得していくのかを確認しましょう。

ずりばいってなに?

「ずりばい」とは、赤ちゃんがうつ伏せの状態で、腕で床を押したり、足の裏で床を蹴ったりしながら、おなかを床についたまま前に進む動作です。

「ほふく前進」といった方がイメージはわきやすいかもしれません。

寝返りができるようになった赤ちゃんが、うつ伏せの状態で遊ぶようになると、視界に入る気になるものを手にとるために前に進もうと手足をばたばたさせたり、腕を前に伸ばしたりします。その意思表示がずりばいを始めるきっかけとなります。


ただ、ずりばいを始めたばかりの赤ちゃんは、本来進みたい前方向に進むのではなく、後ろに進んでしまったり、ぐるぐると同じ場所を回転してしまうことが少なくありません。

それは、うつ伏せで上半身を持ち上げるために腕の筋肉が強くなっているのに対して、まだ足の筋肉があまりついていないことが原因で、足の筋肉がつくにつれて前に進むようになっていくので、心配することはありません。

自分自身で手足をばたつかせて試行錯誤することで、徐々に足の筋肉がつき、前に進むことができるようになるのです。赤ちゃん自身が、前に進めないことにいら立ちを見せることもでてきますが、前進できるようになるまで、サポートしながら見守りましょう。

ずりばいとハイハイの違いは「おなかが床についているか」

まだ歩くことができない赤ちゃんの移動手段で代表的な「ハイハイ」があります。

ハイハイとずりばいは、手足を使って前に進むという点では同じで、動きも似ていますが、大きな違いは、おなかが床についているかどうかです。

おなかを床につけたまま、体を引きずるように移動するずりばいに対し、ハイハイはおなかを床から持ち上げ、手のひらと足の膝から下だけを床につけて移動します。

おなかを持ち上げた体勢を維持するだけの筋肉が必要なので、ずりばいを習得し、筋肉がついてからハイハイに移行していきます。

同じく手足を床につけて移動する動きとして「高ばい」と呼ばれるものがあります。

高ばいは、ハイハイからさらに進化し、手のひらと足の裏だけを床につけて移動する動作なので、赤ちゃんが習得する順序は、ずりばい→ハイハイ→高ばいとなります。

ずりばいはいつ頃からする?

赤ちゃんの成長には個人差があるので、ずりばいを始める時期もそれぞれではありますが、それでもいつ頃からするものなのかは気になりますよね。

そこで、ずりばいを始める時期の目安とともに、その月齢になってもずりばいをしない場合どうしたらいいかをお伝えします。

ずりばいをする時期の月齢目安

赤ちゃんがずりばいを始める時期は、寝返りができるようになり、おすわりをし始める7~8ヵ月ころが多い傾向にあります。そこからさらに、1~2ヵ月程度かけて、おなかを持ち上げたハイハイを習得していきます。

ただ、ずりばいは、赤ちゃんの成長過程で重要な動作ではありますが、寝返りやハイハイとは異なり、赤ちゃんが必ずする動作ではありません。

赤ちゃんが、目安の時期を過ぎてもずりばいをしなくても焦る必要はありません。ずりばいをしないケースについては次に説明していきます。

すりばいをしない・できない場合

ずりばいをしないケースのひとつに、ずりばいをしないままハイハイを習得することがあります。

前に進みたいという願望が芽生えた時点で、腕や足の筋肉がついていて、ハイハイできる体がすでにできている場合には、ずりばいをすることなく初めからハイハイで前に進みます。

私の第一子はこのケースに該当し、前に進もうとした時点でおなかは床から浮いており、ずりばいはしませんでした。


また、おすわりの姿勢が好きな赤ちゃん、言い方を変えるとねんねの姿勢を好まない赤ちゃんは、ずりばいをしないことが多くあります。

こういった赤ちゃんは、うつ伏せの状態で遊ぶことが少ないので、前方のものに興味を示して手を伸ばそうとする機会があまりありません。そのため、ずりばいの必要性を感じておらず、気が付いたときには、もうはいはいできる体が出来上がっていたり、そのままつかまり立ちに移行していくこともあります。

ちなみに私の第二子はこちらのケースに該当し、とにかくうつ伏せが嫌いだったので、おすわりばかりしていて、おすわりの姿勢から床に手をついてはいはいするようになりました。

このように、ずりばいは必ずしも赤ちゃんが習得する動作ではないので、ずりばいをしないことで頭を悩ませることはありません。別のステップへ進みそうであれば、そのまま見守ってあげましょう。

ずりばいの練習は必要?練習方法は?

ずりばいをしない赤ちゃんがいると言われても、やっぱり目安の時期にできないと心配になるという方もいらっしゃると思うので、その場合練習をさせた方がいいかどうか、また、させるとしたらどんな練習があるかをご紹介します。

ずりばいの練習は必要?

ずりばいの練習を率先してさせる必要はありませんが、目安の月齢になっても前に進もうとする気配がなくて心配な場合や、うまく前に進めずに赤ちゃんが苛立ちを感じている様子のときなどは、少し手助けをしてあげましょう。

練習といっても、赤ちゃんにちょっとしたヒントをあげることをイメージしてください。

ヒントを得た赤ちゃんはそれをもとに、自分自身で試行錯誤して習得していきます。あくまでも赤ちゃんの成長のペースに合わせた練習を取り入れましょう。

ずりばいの練習方法

具体的な練習方法には以下のようなものがあります。

手が出ない場合は目の前にお気に入りのおもちゃを置く

うつ伏せやおすわりの状態のときに、少し手が届かない位置にお気に入りのものを置いてみましょう。手に取りたいと思うことで、一歩(一手)が出るようになります。私の第一子はこの方法でハイハイを習得しました。

後ろに進んでしまう・回転してしまう場合は壁をつくる

どうしても後ろに進んでしまい、前進がうまくいかない赤ちゃんにはこちらの方法がおすすめです。

お母さんが足側に座り、後ろへ進むという選択肢を消すことで、前に進む努力がしやすくなります。軽く足を前方向に押してあげることも効果的です。

同じ月齢の赤ちゃんとの対面

まだ赤ちゃん同士で遊べる月齢ではありませんが、他の赤ちゃんの動きを見て自分にもできると思わせることも大切です。

他の赤ちゃんの動きを観察し、マネをするようになることで、動きの幅が広がります。赤ちゃん自身にもいい刺激になるので、月齢の近い赤ちゃんと触れ合える子育て支援センターや育児サロンのような施設が近くにある場合には、積極的に利用しましょう。

月齢の近い赤ちゃんと接する機会を持つことが難しい場合は、お母さんなどの身近にいる大人がずりばいの見本をみせてあげることで、どうすればうまく進めるか参考にすることができます。

まとめ

赤ちゃんの成長スピードには個人差があり、また動作を習得する順序も赤ちゃんによって異なります。

特にずりばいは、赤ちゃんが必ず行う動作というわけではないので、ずりばいをせず次のステップに進行する赤ちゃんは、そのまま次のステップに向かわせて問題ありません。

また、ずりばいがうまくいかずに悩んでいる赤ちゃんには、さりげなくヒントを出しながら、前進できるよう優しくサポートしていきましょう。