1歳の子供が言葉をどれくらい獲得しているかは、ある程度の目安が欲しいという保護者も多いはず。発達のチェックが気軽に行えるものがあると、自分の子供と照らし合わせて考えられます。

1歳は成長の差が多い時期だけに、心配が大きくなる傾向が強いはず。ここでは、言葉の発達の目安に加え、発達全般の目安も併せて確認することの大切さを言語聴覚士が説明します。少しでも保護者の不安軽減が図れると幸いです。

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1歳の言葉の発達目安!真似する言葉数の平均や言葉の理解

1歳を迎えた子供の言葉の発達は、母子健康手帳を参考にすると目安が確認できます。

「話す」という表出の面で見るのであれば、正しく言葉を真似するものが1~2語出てくる時期です。1歳を過ぎると2語・3語言えるという変化が見られるようになる時期でもあります。

「わかる」という理解の面で見るのであれば、簡単な要求に反応してくれるのが1歳前後の時期です。こうした目安が少しでもわかっていると、早い・遅いの見極めをすることができます。


言葉の発達は表出と理解の2つのポイントを見るべきです。「話せる言葉」と「わかる言葉」の両方をカウントしていくと、子供の発達が見えてきます。

1歳は初語が出始める時期でもあり、そこからどんどん新たな言葉の経験を積み、実用的な言葉が増えてきます。

1歳代の発達がどのような経過をたどるかを周囲がわかっていれば、日々の生活から成長が見えてきます。そのための目安を、ここでは紹介します。

1歳代の言語発達の目安は「話せる言葉」と「わかる言葉」分けて考える

1歳の子供がどれくらい発達しているかを把握するには、母子健康手帳を参考にするのが近道です。

とはいっても、限られたスペースにまとめられている情報ですから、発達の目安を「話せる言葉」と「わかる言葉」に分けて考えながら、自分の子供の成長と取らし合わせる作業を行うと、どこまで進んでいるかがはっきりします。

「話せる言葉」の成長を追うのであれば、1歳になるまで、喃語を盛んに出すというのが一般的な発達です。

そこから意味のある言葉を話すようになるのですが、1歳ちょうどくらいの時期は、正しくまねることができる言葉は1~2語くらいです。不完全ながらも2語・3語と言える言葉が増えてくるのが一つの目安ではないでしょうか。


保護者の言葉かけをまねようとする姿勢があることも、これからの成長には重要です。まだ言葉ができていなくても、こうした姿勢があると意味のある言葉が出てくる日も近いはずです。

「わかる言葉」の成長は、「話せる言葉」に先行して発達します。

1歳になると「おいで」「ちょうだい」「ネンネ」のような要求を理解してくれます。

もう少し発達すると、簡単な命令を実行してくれるでしょう。「新聞取って」と言うと、保護者に新聞を渡してくれるといった簡単なお手伝いができるようになります。

「バイバイ」に応えてくれたり、「ダメ」というと手を引っ込めるなど、言葉による反応がはっきりする時期です。

言葉だけが成長することはありえない!体の発達も言葉の成長に影響する

体の発達は歩行が始まる時期です。

つかまり立ちから少しずつ歩くようになり、バランスを取りながら歩行の距離が長くなります。手や足を使った動きも豊かになり、ボールを投げたり蹴ったりすることも見られるようになります。

1歳前後は乳歯が生えてくる時期でもあります。

食事が母乳・ミルクから離乳食に変化し、食べることへの興味も膨らむ時期です。おやつを食べるなど、口を使って色々なことができるようになるのもこの時期です。

体の発達や興味・探索の成長が伸びていないのに、言葉だけが成長することはありません。1歳という年齢は、言葉と体の発達を切り離して考えるのではなく、全般的な発達の目安にそって、どれくらい成長しているかを確認するべき時期なのです。

1歳児の言葉が育つ月齢ごとの目安!早い・遅いの見極めは

言葉の育ちは突然伸びるものではなく、日々の生活の中で培われていくものです。

言葉の発達順序の基本は「わかる」という体験が積み重なり、やがて「伝える」というスキルが成長します。でも、月齢ごとに違う子供の様子の目安がわかれば、「もう少しで意味のある言葉が出てきそう」という期待が持てるでしょう。

幼い時期の成長は個人差が大きいのですが、連続的な目安がわかっていると、大よそ生後どれくらいの月齢まで伸びているかがはっきりします。

言葉が育つことに注目した月齢ごとの変化を知ることは、早い・遅いといった発達の状態を明確に感じる情報源になります。

ここでは、1歳までの発達過程と、それ以降の発達についてを紐解きます。

1歳までの言葉の発達過程

子供の言葉は1歳までに色々な成長を遂げ、意味のある言葉を発するようになります。そのためにも、初語が出るまでの期間の発達過程も知っておくべきです。

  • 生後2ヶ月頃:クーイングと言われる発声が出現する時期
  • 生後4ヶ月頃:喃語を話し始める時期
  • 生後7か月頃:喃語の表出が複雑になっていく時期
  • 生後1年前後:初語と言われる意味のある言葉がでてくる時期

子供によっては1歳を待たずして初語が出る場合もありますし、1歳以降にやっと言葉が出てくることもあります。あくまで目安ですから、日々の生活から変化を感じてください。

早い・遅いの判断も、早産や未熟児で生まれた場合には生後1歳を過ぎてから初語が出るということも珍しくありません。出産のときのエピソードや、その後の生活スタイル、子供の育ちを総合的に判断しなければ、発達のスピードは判断できません。


1歳の子供がわかる言葉としては、欲求を満たすような声かけです。

「食べる?」「飲む?」「取る?」などの子供の気持ちに寄り添った要求を言葉にして提示してあげると、首を横に振ったり縦に振ったりといったリアクションをしてくれます。

これは、保護者が提示した言葉がわかっていなければ、「返答する」という行動に繋がりません。こちらから声かけを行っているのにポカンとしているのであれば、まだ理解が曖昧であるという考えを持たなければなりません。

1歳頃には指示理解も進むため、言っていることが伝わっているという感じが保護者の中にも芽生えます。言葉のやり取りの基礎を培い、「伝える」というスキルへと繋がります。まずは「マンマ」などの簡単な言葉を聞いて反応することを確認しましょう。

1歳以降の言葉の発達過程

1歳の子供は目まぐるしく言葉の発達が促される時期です。初語が出たと思ったら、知らぬ間に喋る量が増えているということは珍しくありません。

1歳以降もどのような経過をたどるのかがわかると、保護者にとっては子供の成長が把握しやすく、安心できる範囲も広がります。

1歳以降の発達過程としては、以下のような変化があります。

  • 絵本やテレビなどで知っている言葉を保護者に伝えてくれる
  • 目や口、手足などの体の場所がいくつかわかるようになる
  • 「もうひとつ」や「もう少し」といった表現が理解できる
  • ちょっとしたお手伝いがスムーズにできる
  • 2つの言葉を繋げて表出することがある(「ワンワン、きた」など)

このような変化が2歳までには起こるのが一般的。やり取りが長くなるための言葉を手に入れることで、会話のキャッチボールが少しずつ繋がります。


また、言葉の発達は1歳ちょうどでチェックするよりも、1歳半健診を一つの目安として考えるのが良いです。それだけ個人差があるからこそ、国で決められている乳幼児健康診査も1歳半に設定されているのです。

1歳半健診を受ける前に、自宅に発達状態を伺うアンケートが送付されます。そこでも言葉の発達をチェックする項目があるでしょうが、10個くらいの言葉を喋るのが年齢相応と考える一つの目安です。

1歳頃から話しはじめ、1歳半にはバリエーションが増えていると感じられると、10語くらいはすぐに言葉を習得します。

1歳の言葉の発達は日々の生活が影響する!言葉の教え方・言葉を覚える・言葉を引き出すコツ

1歳の子供の目安をチェックした際に、「成長が遅い」と感じられるのであれば、日々の生活を意識的に過ごすことで、子供の成長を刺激するのがおすすめです。

子供の言葉を育てるのは保護者の関わりです。特別なトレーニングを受けるよりも、家庭で関わる人がコツをつかんで子供に刺激を与えるべきです。

保護者が関わりのトレーニングを積むことができれば、豊かな体験から言葉の魅力を子供自身が学びます。そのコツをここでは紹介します。

自宅で行える言葉の発達を促すトレーニング

子供の発達を促すためのスキルを磨きたいのであれば、関わりのトレーニングを保護者が積むべきです。1歳の子供にトレーニングを施すのは難しいため、周囲からインパクトのある言葉の刺激を体験させてあげることが重要です。

まずは日常的に子供の中に言葉として残せそうな単語をピックアップしましょう。名詞もしくは動詞、人物名やキャラクター名など、よく触れそうな言葉を10個くらい考えてみましょう。

子供が触れやすい言葉が把握できた後は、どのように触れるかを考えてください。

普段の生活の中で子供に言葉を体験させたり聞かせてあげることができるほど、わかる状態に近づきます。回数の目安は特に無く、いかにして子供の記憶に言葉の印象を刻み込むかが重要です。


イメージとしては教え込むのではなく、さりげなく触れることが必要です。

「取る」という言葉の理解を促すのであれば、子供が「取って」とお願いしなければならないように仕向ける必要があります。おもちゃを手の届かないところに置いて、大人に取ってもらう演出を何度も経験させてみましょう。

それが日々繰り返されるようになると、「取って~」と言ったら保護者が気付いてくれて、自分のもとに届けてくれたというやり取りのルールが飲み込めるようになります。

豊かな体験が言葉を育てるワケ

言葉は豊かな体験があれば、回数を重ねることなく習得に向かうことがあります。インパクトは言葉を理解するために大切なポイントなので、日常生活でいかにして記憶に残るエピソードを作るかが、言葉の発達を促します。

保護者が意識して子供の心を揺さぶり、そこに言葉を乗せることができるようになると、どんどん言葉の理解が進みます。

学生時代の勉強のことを思い出して頂くと、インパクトのある先生の授業ほど、明確に思い起こすことができるはずです。子供も同じように、インパクトが残るような体験をしているほど、言葉の結びつきを強くすることができます。


「りんご」という言葉を学ぶには、食べるだけでなく、切るところを眺めてみたり、お店で売っているところを見たり、買ったものを袋に入れてもらったりと、色々な体験から「りんご」に触れるべき。そんな体験が日々の中で重ねられるようになれば、豊かな言葉が育つでしょう。

「キャラクター名」を入れるには、一緒にテレビを見ながら仕草の真似をしてみたり、人形を使って遊んでみることも有効です。

テレビを見るだけでなく日常的に触れることが多いからこそ、「パパ」や「ママ」に先行してキャラクターの名前が出てくるようになります。

もしも「パパ」や「ママ」を早く引き出したいのであれば、保護者を頼るような体験を意図的に作りましょう。呼べば来てくれるという信頼関係が成り立つと、離れた場所でも声を出すことで、自分の近くに来てくれて、希望を叶えてくれるという流れが理解できます。

だからこそ、愛着が親子で形成されている家庭ほど、言葉の発達が早いという印象を持つような成長を遂げるのではないでしょうか。

1歳で言葉が出なくても焦らずじっくり関わるべき

保護者にとって、1歳になった子供の言葉が出ないというのは、焦りばかりが大きくなってしまいます。

でも、現時点でどれくらい発達しているかがわかるだけでも、これから何をしなければならないかがはっきりします。

目標は言葉を話させるという目先のものではなく、どんな子供に育ってほしいかを考えるべき。その先にある成長を見据えて育てていくことが、密な関わりを行うコツではないでしょうか。

子供の発達が心配な時には1歳半健診で相談したり、地域の保健センターへ連絡して、面談の日程を組んでもらうこともできます。もっと専門的に見てもらいたいのであれば、言語聴覚士が在籍している機関に相談するのも有効です。


コツコツ焦らずに子供と向き合っていくと、わずかな変化が嬉しい成長に感じられます。

吸収力が良くなると、大人が想像するよりも早く成長を遂げることも少なくありません。じっくり関わりながら言葉育てを行う環境を整えていくことで、保護者の不安も軽減できるようになるでしょう。

1歳の目安を把握しつつ、自分の子供にどんな体験をさせるべきかがわかるようになると、ぼんやりと過ごす毎日よりも充実した時間が流れます。

育児は迷いつつも子供が成長する喜びを感じなければモチベーションが低下します。これからの目安を考えつつ、言葉の発達に合わせたスモールステップを考えてください。

高すぎる目標ではなく達成できるものを無理なく考えていくことが、息の詰まらない育児スタイルを生み出すのです。