首がすわってくるようになると、抱っこだけでなくおんぶという選択肢も加わってきます。赤ちゃんをおんぶすると身体の前が空くので、家事・育児・上の子のお世話等がとても楽になります。
でもおんぶはいつからしていいのか、また、どんなおんぶ紐がいいのかわからないこともありますね。
ここではおんぶがいつからOKなのか、その月齢の目安についてと、おんぶのメリット・デメリット、お勧めのおんぶ紐5選、そしておんぶする時の注意点について私の体験と共に紹介します。
おんぶはいつからできる?月齢の目安
おんぶは赤ちゃんの首がすわってから、が基本的な目安です。
おんぶの歴史を少しのぞいてみると、昔は生後1ヶ月からOKと言われていたそうです。が、これは着物の中に直接赤ちゃんを入れて帯をする、あるいは半纏(はんてん)を羽織るなどが前提となっていたためでした。着物や半纏が首をしっかり支えてくれるため、まだ首がすわっていない月齢でもおんぶが可能だったのです。
現代人の私たちからすると、おんぶの時はいつでも半纏を羽織ることを前提とするのは少々難しいため、今は「首がすわってから」となっています。
おんぶは首すわりの時期から
個人差はありますが、首すわりの月齢は大体3ヶ月〜5ヶ月の間です。首がすわるようになると横抱きに加えて縦抱きも可能となりますので、抱っこする側も疲れた時は体勢を変えるなど少し楽になります。
首すわりの目安
厚生労働省が発表した平成22年の「乳幼児身体発育調査報告書」によりますと、首すわりは以下の判断で行われました。
“「首のすわり」は、乳幼児を仰向けに寝かせ、両手を持って引き起こしたとき、首が
遅れないでついてくるとき「できる」とした。遅れた場合は引き起こし加減を少しも
どして、再検した。再検してなお遅れる場合は「できない」とした。”
なお、健診等で首すわりを確認する目安は主に以下の点です。
- うつ伏せに寝かせると頭を持ち上げるかどうか
- 仰向けにして両手を引き起こして、首がついてくるかどうか
- たて抱きにして身体をななめにさせても首をまっすぐにしているか
この首すわりは医師でも判断が難しいとされています。自宅で確認しようと、無理して赤ちゃんの手を引っ張って引き起こす・縦抱きをすると赤ちゃんの身体にとって決してよくないので、気をつけましょう。
3,4ヶ月健診で医師が確認してくれますので(もし確認されないようなら聞いてみましょう)、それまではあまり心配しすぎず、しばらく様子を見てみましょう。
おんぶは腰すわりの時期から
おんぶ紐を出しているメーカーの中には、腰がすわってから使用ができるという製品もあります。
腰すわりの目安
腰がすわるとは一人でお座りできる状態のことです。こちらも個人差はありますが、生後6〜10ヶ月前後が目安とされています。
さきほどの厚生労働省の乳幼児身体発育調査報告書にも腰すわり=ひとりすわりは以下の点で判断されています。
“「ひとりすわり」は、おおむね1分以上支えなしですわっていられるもので、このとき両手を床についていないものを「できる」とした。”
腰すわりの目安は主に以下の点です。
- 両足を前に出して座ることができる
- 大人に支えてもらったり、寄りかかったりせずに座ることができる
- 前かがみにならず、背筋が伸びている
赤ちゃんの成長過程はそれぞれ違います。一般的に言われている成長過程の一つがなかったり、順序が逆になる赤ちゃんもたくさんいます。ですので、必ずこの月齢にはこの成長があると決めつけず、あくまで目安としてとらえてください。その兆候が見られ始めたのなら、日に日に赤ちゃんの成長スピードに驚くことでしょう。
もし、上であげたような首すわり・腰すわりの兆候がいつまで経って見られず心配の場合は、住んでいる地域の子育て支援センターなどに問い合わせてみるといいですね。
おんぶのメリット・デメリット
ここではおんぶのメリット・デメリットを紹介します。個々の子育て生活でおんぶが活用でき、育児がちょっと楽になるかもしれませんので、参考にしてみてください。
メリット
その1.身体の前が空くので作業がしやすい
私個人の意見ですが、なんといってもおんぶの最大のメリットはこの点であると言えます。
身体の前が空くことで様々な家事をすることができるのです。上の子との遊び、幼稚園・保育園の送り迎え、洗濯・掃除等が、抱っこと比較しても随分楽に行うことができます。床に座ったり立ったりする動作も抱っこに比べると楽です。
その2.視線が高くなることで様々な刺激・情報を得ることができる
抱っこは大人の胸が赤ちゃんの真正面にきて、赤ちゃんの視界も狭まってきます。
しかし、しっかりと適切な位置でおんぶすれば、おんぶでの赤ちゃんの視線は大人の肩付近になります。そうすると、肩越しからママ・パパと同じような視線で物事を見ることになり、たくさんの情報を得ることができます。
抱っこ紐と兼用で使用するおんぶ紐の中には、背中の真ん中に顔がくるものがある一方で、昔ながらのおんぶ紐は大人の肩甲骨あたり〜肩に顔がくるのが一般です。
日常生活の様々なシーンで、大人と同じような視線・音の聞こえ・空気の感じ方・匂いなどを得ることができることは、赤ちゃんに様々な刺激・情報となり成長の糧となります。
その3.寝かせやすい
これも私の体験ですが、我が家の子供たちはおんぶだと割りと早く寝ついてくれました。
家事をしているうちにいつのまにか「すぅ…」っと寝てくれたので、あとはお布団に着地する時、細心の注意を払いながらそおっと下ろせば、寝かしつけ完了でした。半纏も一緒に羽織っていたので、そのままその半纏が敷き布団代わりになり、昼寝の時いちいち布団セットを出さなくてよかったことを思い出します。
適度な揺れ、私の声・心音を背中越しに聞く心地よさ、情報・刺激を色々受けるので疲れて眠くなる、等が要因にあったのではと考えています。
その4.防災の時に役立つ
イメージしてみてください。災害が発生し早く安全な場所に避難しなければならい時、抱っこ紐で抱っこしながら避難するのと、おんぶ紐でおんぶしながら避難するのと、どちらがよいでしょうか。
身体の前が空くということは、とっさの動きにも対応しやすいものです。月齢が進み、どんどん体重が増えていく我が子を抱っこして移動するよりも、おんぶのほうが背負う側の身体の負担も軽減されます。
大人でも歩行が困難な場所・危険な道を通らざるをえない時、乳児のみならず幼児でも、おんぶ紐があれば移動をスムーズに行うことができます。
普段の生活でおんぶに少しでも慣れておくと、いざという時でもすぐに親子ともに行動でき避難することができます。私も入れているのですが、おんぶ紐はさほどかさばらず軽いので、防災バッグの持ち物におんぶ紐を一ついれておくと安心ですよ。
デメリット
おんぶにはデメリットもあります。
その1.後ろに赤ちゃんの顔があるので表情がわからない
さきほどのメリットにもありました「寝かせやすい」ですが、これは寝たのかどうかのチェックは鏡or窓に姿を映すか、誰かに教えてもらわらないと把握することが少し難しいことがあります。
その2.壁やドアにぶつけやすい
赤ちゃんをおんぶして移動すると、壁やドアや家具類に手足をぶつけてしまうことがあります。私も自分の子供をおんぶして部屋の中を移動する時に、赤ちゃんの手足の状態(伸ばしている等)を把握せずにドアを通過し、ガツンとぶつけさせてしまったことがあります。
その3.腰、肩への負担がある
おんぶ紐に限らず、ですが腰や肩への負担があるのも確かです。適度に休憩を挟んで(と言っても、なかなかママ・パパは自身の身体を休めることは難しいかもしれませんが)、おんぶしましょう。
その4.見た目がかっこ悪い
街中でおんぶをしているママ・パパはまだまだ少数派です。自宅ではおんぶしていても、外出の時は抱っこ紐に変えるという声もあります。また、昔ながらのおんぶ紐は胸のあたりで紐を交差させるため、胸が強調されがちという点もあります。
オススメおんぶ紐5選
ここではおんぶ紐にお勧めの製品を5つ紹介します。好きな形や体型に合ったものが見つかるといいですね。
紐ありおんぶ紐
いわゆる昔からある形のおんぶ紐のことです。
昔ながらのおんぶ紐
その名の通り、昔ながらのおんぶ紐です。シンプル・イズ・ベストというほどのシンプルさが逆に新鮮ですね。私もこの昔ながらのおんぶ紐を一人目、二人目ともに愛用していました。とにかく抜群の安定さ、赤ちゃんとの密着さ、装着のしやすさなど、使う度に昔から伝わる知恵に驚きつつ使用していました。
赤ちゃんを肩越しまでおぶってキュッと紐を結ぶと、気持ちもシャキッとしてきて家事もはかどったものです。
日本製 昔ながらのおんぶひも 背当て頭あてつき
お尻部分をしっかりホールドしてくれるので、安定感があります。おんぶにもだっこにも兼用できるものですので、その時の状況に合わせて使い分けできるところがいいですね。
紐なしおんぶ紐
紐を前で交差させない、リュックサックを背負うようなタイプのおんぶ紐です。
エルゴ 360 スリー シックスティ
ママたちに人気のエルゴですが、おんぶもできる360シリーズがお勧めです。対面、前向き、腰抱きに加えておんぶもできる4wayがいいですね。足の自由度が高い設計となっているところも注目したいところ。ただし、新生児(3.2kg以上)の対面抱きには別売りのインサートが必須です。
アップリカ コランハグ AB リュクス
デザイン性の高いリュクス、肌触りのよいコットン素材を使用したナチュレ、定番カラーの3つから選ぶことができます。また、赤ちゃん頭部を優しく覆って風や日差しから守ってくれる「おやすみカーテン」がついています。
おんぶの仕方の紹介動画にあるように、腰や肩のベルトでしっかり固定しつつ、長さを微調整できる点もお勧めです。
ベビービョルン ベビーキャリア ONE⁺
抱っこ形態→スライドしながらおんぶに変形できるタイプです。私はベビービョルンの抱っこ紐タイプを使っていましたが、ベルト部分の幅が太くてソフトな素材を使用しているので、腰や肩への負担が軽減され身体が随分と楽でした。
ベビービョルンの肩紐はしっかりした作りなので、紐が肩に食い込んで痛いということがないという評価の声はよく聞きます。ベビービョルンは海外のメーカーですが、ベビーキャリアONE+は日本人の体型に合わせて作られた専用モデルとなっています。
おんぶ紐をする時に必ず注意してほしいこと
おんぶする時は以下の点に気をつけてみてください。
料理中に手足を伸ばしてくる
私が実際子供をおんぶしていて危ないと感じた時は料理中でした。おんぶしながら料理ができることもメリットのうちの一つなのですが、我が家では、ガスコンロの火に興味を示した子供が足を火の方に伸ばしたりして、何度かヒヤっとしたことがあります。
また、身体の向きを変えた時にフライパンの持ち手部分に子供の足がひっかっかって、フライパンごとひっくり返り、危うく子供の足にやけどを負うところだったということもありました。
料理をする時はくれぐれも火や包丁などに注意し、それらとの距離感を意識してみてください。
まわりの物に手足を伸ばして触ろうとする
台所に限らず、棚においてある物など、なんでも触ろうとしました。後ろにいるので、掴んだ物を手離させようとしても、なかなかとることができません。壊れやすい置物などの側で立っている時は特に注意が必要ですね。
体重の使用制限に気をつける
さきほど紹介したエルゴ、アップリカ、ベビービョルンなどは使用する際、体重制限があります。購入する前に公式HP、取扱説明書をよく読んで、子供の体重で使用しても問題ないかチェックしておくといいですね。
授乳後30分間はおんぶしない
個人差はありますが、赤ちゃんは吐き戻しをよくするものです。おんぶをしてお腹に圧がかかり吐き戻しをしてしまうのを避けるためにも、ミルクや母乳を飲んでから30分以内におんぶするのは控えましょう。
下ろす時はゆっくり・よく注意して
紐をゆるめる時、気をつけないと赤ちゃんの体重で一気に紐がほどけて、下手すると床に落としてしまう可能性もあります。
下ろす時はなるべく座って紐をゆるめるか、立って下ろす時は誰か後ろで支えてもらう、しっかりと片手でも赤ちゃんを支えて少しづつ下ろすようにしましょう。
また、せっかくおんぶで寝かしつけても、いざ布団に寝かせようとすると、途端に起きてしまうということありませんか。いわゆる背中スイッチが入ってしまうのです。
対策としては、紐を少しゆるめながら赤ちゃんをそおっと身体の前側にスライドさせて抱っこし、そのままお布団に寝かせる方法や、赤ちゃんと一緒に大人も背中をお布団側に傾けつつ紐をゆるめて下ろす方法などがあります。
こちらの動画の後半で下ろし方を紹介していますので参考にしてみてください。
北極しろくま堂【昔ながらのおんぶひも】4ヶ月児の使い方
まとめ
おんぶを育児生活で取り入れると、忙しいママ・パパにとって役立つツールになります。また、それ以上に赤ちゃんとの密着さ、赤ちゃんが得ることのできる情報量など、試してみるとそのよさに気づくことでしょう。
ご自分や赤ちゃんの体型に合ったおんぶ紐を選んで、是非おんぶのある育児生活を楽しんでみてください。