1歳半から2歳くらいになるとお友達と少しづつ遊べる年齢になってきますね。お友達とおもちゃのとりっこで喧嘩をしたりもします。そうやって自分の気持ちを表出しながら、少しづつコミュニケーションを学んでいきます。
しかし、他の子と比較して出てくる言葉の数が少ないと感じる我が子に少し心配になるママ・パパも多いのではないでしょうか?
ここでは、一人で悩んでいるあなたに少しでも参考になればと思う内容を紹介します。
まず1歳半〜3歳前後の子の言葉の発達と目安、その子への関わり方を年齢別に見ていきます。次に言葉が出ない要因として考えられること、それに対して家庭でできることについてお話します。
最後に一人で悩みを抱え込まないためにもどこに相談すればいいのか、その相談先を紹介します。
1歳半・2歳・3歳、子供の言葉がでない・少ない・遅いときの「年齢別特徴」「発達目安」「関わり方」
1歳半〜3歳前後までの子の言葉の特徴と発達の目安、どう関わればいいのかについてお話します。どの年齢も、個人差があることを前提で参考にしてください。
1歳半の「特徴」「発達目安」「関わり方」
一歳半の言葉の特徴の一つに「象徴機能」というものがあります。
象徴機能とは、その物や人物、できごとを言葉にして、それが目の前にない時でも言葉によって理解し伝えることです。
例えばママをみて「ママ」、絵本にでてくる動物を指差して「わんわん(4本足の動物は全てわんわんと認識)」というようなことです。
このように明確な意味をもつ言葉がでているかどうかが1歳半の成長の目安となります。
この時期の子への関わり方として、
1.物の名称を会話の中で伝える
例えば、絵本の中にりんごが書いてあったら「これはりんごね、りんごだよ。」と伝え、犬の散歩を見たら「わんわんいるね〜」など
2.ジェスチャーを交えて言葉を伝える
視覚的に言葉をこどもの脳にインプットする方法
3.生活習慣の行動を言葉で伝える
「はい、おくちあーんよ」「それはないないしようね」「おてて、きれいきれいしようか」など、生活習慣の行動に声掛けをしながら行う
などがあります。
ところで、1歳半検診で言葉の遅れを指摘されてとても気になってしまったママ・パパもいることでしょう。ですが、検診では普段の様子をそのまま診てもらうのは意外と難しいことです。
いつもと違う雰囲気に圧倒され、普段出てくる言葉が出てこないことがあります。帰宅してからたくさん単語がでてきたという話はよく聞きます。
この時期は個人差が大きく、医師でも判断を容易につけられるものではありません。要観察になっても、それは少しだけ注意して様子を見ていきましょうという意味も含んでのことです。ですので、もしそうなっても落ち着いて事実を受け止めましょう。
日ごろの我が子の様子をよく見て一番理解しているママ・パパの情報と、医師・保健師が色々な子を診て総合的に持っている情報をすり合わせていくことは大事です。気になることがあれば検診時に小さなことでもいいので、ためらわず相談しましょう。
2歳の「特徴」「発達目安」「関わり方」
言葉が早い子だと「ママ」「わんわん」という1単語から「コップ、ない」という2語へと広がっていきます。3語は「ママ あっち いった」などです。家族の会話の意味を少しずつ理解し、単語をつなげて言葉を発することが2歳前後からでてくる特徴です。
この頃爆発的に言葉がでてくる子もいます。ですが、仮にお友達が急に話すようになって自分のこどもが全くそうでないとしても、あまり気にしないようにしましょう。
まだまだ個人差が大きい時期です。慌てずに様子をみましょう。と同時にどうしても気になる点があれば、そこは親の直感を信じて躊躇せずに専門機関に診てもらうことをおすすめします。
その判断の目安として、単語だけしか言わない、言葉が減ってきた、「うーうー、あーあー」しか言わないなどが見られるかどうかがあります。また、「お口はどこにあるかな?」と聞いて、答えられるかどうか、相手の目を見て話す、聞くことができるかどうかなどです。
この時期の子どもへの関わり方として以下の3つのポイントをあげてみます。
1.コミュニケーション
親子のコミュニケーションをよくとりましょう。
例えば、ぎったんばっこんもいいですし、ママ・パパの膝にこどもをのせて「出発進行!」と声掛けをし、少しオーバーなくらいに運転の真似をする遊びもいいですね。言葉をたくさん使ってコミュニケーションをとります。
2.声掛け、言葉かけをたくさんする
なにか食べる時は「いただきます、だね〜」「パクパク、おいしいね〜」「あー、お腹いっぱい」など仕草も交えながら、日常生活のあらゆる場面で普段から言葉をたくさん浴びさせると、この時期の言葉の成長を促す効果が期待できます。
3.なんで?どうして?に答える
2歳前後はなんで?どうして?を延々と質問してくる時期でもあります。
我が子もそうでした。上の子は絵本のページを開いて読み聞かせるたびに「なんで?」。最初は私も丁寧に答えていましたが、そのうち「さっき言ったでしょう」と答えを放棄したくなることがほとんどでした。
でも、言葉の意味を噛み砕き、わかりやすくシンプルな言葉に置き換えて伝えることが、今の我が子のこの時期には必要ではないのか?ということに気づいてからは、余裕がある時はできるだけ丁寧に細部まで答えるようにしました。
これはとても根気のいることですが、同時に親も説明する力が養われるいい訓練です。
また、なんで質問が続くようなら、「なんでだと思う〜?」と逆に質問してもいいですね。こどもに考えさせるきっかけになります。
3歳の「特徴」「発達目安」「関わり方」
このころはコミュニケーションが会話を通してもとれるようになってきます。早い子だと3語の「わたし おなか すいた」などを伝えられるようになります。
目安として、単語を話さない・質問内容をそっくりそのまま繰り返して言う場合などは一度専門家に診てもらいましょう。
親としては、年齢があがってくると少しづつ周りのお友達との差が気になるものです。また、こどもも言葉がなかなか出てこないと言葉以外の方法でコミュニケーションを図るため、トラブルになりがちです。それはこども自身にとっても困るものです。
この後でお話する言葉が出ない要因の中には、早期発見と早めの対応のおかげで改善され、よくなるケースがあります。この時期、もしママ・パパが気になる点があれば専門家に一度診てもらうとよいでしょう。
この時期の関わり方として、先にお話した日常生活の中での言葉かけ、声掛けの他に以下の点を今一度チェックしてみましょう。
1.テレビを意識的に見せる
私はテレビはよくないからずっと見せないという考えではありません。
ですが、長時間ずっとテレビをつけっぱなし=親子間でふれあいながらコミュニケーションをとる時間がもちずらい、というのも確かです。ですので、時間を決めて見せ、一定の時間が過ぎたらおしまいにして、そこから先は親子でお話をしたり遊んだりすることを意識してみましょう。
家族とふれあいながら言葉を交わす時間は、一方的にテレビから情報をインプットする時間とは比べ物にならないほど言葉を習得する上で優っています。
「1歳半・2歳・3歳」の言葉がでない・少ない・遅い原因は?要因として考えられること・家庭でできること
言葉がでないことには様々な要因があります。
これが原因とはっきりわかるまでには長い時間がかかったり、よくわからないまま成長し、いつのまにか解決していたということだってあります。
ですので、ここでは考えられる要因とそれに対して家庭では何ができるだろうかということを一緒に考えていきましょう。
1.個性、個人差
この言葉で片付けてしまうことに違和感を感じるママ・パパもいるかもしれませんね。ですが、その子がその子であるがゆえの、という部分はまさに個性です。
言葉のでかたもゆっくりな子もいれば早い子もいる。今は単にその子にとって言葉を発する時ではない(発するまでに至っていない)のかもしれません。
2.インプットの少なさ
コップに水を注いでも注ぐ量が少なければ、水があふれるまで時間がかかりますよね。コップはこども、水が言葉、コップから水があふれる時が言葉を発する時です。
子に対してあまり話しかけたりせずに多くの時間を過ごしてたりしませんか?あるいは、早口で一方的に話すしゃべりかたをこどもにしていませんか?このような場合、インプット不足が考えられます。
そのような時は普段の生活の中で、単語をたくさん聞かせてあげましょう。早口だとこどもは理解しにくいですので、普通の速さで、ややゆっくりめで話すといいでしょう。
例えば、おやつの時間、バナナやりんごを食べるとしますね。「このりんご、赤くてツヤツヤして美味しそうだね」といって切る前のりんごを触らせたり匂いをかがせたりして肌で感じ取れるようにします。
バナナなら「ほら、バナナは皮をむくんだよ」、そういってバナナをむく様子を見せたり、こどもにむかせてもいいですね。
りんごを切ったら「りんごの外側は赤いけど、中は白かな?黄色かな?クリーム色かな?」と見せてあげてください。そして一緒においしいねと言いながら、おやつの時間を楽しみましょう。
このように、言葉をインプットする情報量を無理のない範囲で、ときには聴覚以外の感覚も使いながら普段の会話の中で増やしていきましょう(その時のアプローチの仕方も早口ではなくゆっくりめで)。会話だけではもたない、難しいという場合はりんごやバナナの絵が書いてあるカードなどを使ってもいいですね。
3.アウトプットのうながしと受け止め方
コップがあふれる=言葉がでてくることがアウトプットです。
おとなになっても なかなか言葉が出てこない、あたまには思い描いていることがちゃんとあるのに、それを言葉で表現して相手に伝えることは難しいです。幼児期となればなおさらです。焦らずに、コップがあふれるまでインプットし続けることが大事です。
と同時に、アウトプットを出しやすいように促してみましょう。
たとえば、なにか遊んでいる時に「その遊びはどうやってするの?」、何度も読んで知っている絵本の次のページに移る前に「この後どうなるんだっけ?」など、答えるべき内容がわかりやすい問いをしてみましょう。自分の言葉で話すきっかけになるはずです。
また、アウトプットが始まった時の受け止め方として、うん、うん、うん、と聞いてあげると、こどもも安心してアウトプットすることができます。
我が家のことですが、上の子はおしゃべりも上手で早い段階でよく話ができる子でした。一方下の子は上の子が話すので話す必要がなかったのか、割りとゆっくりでしたが、アウトプットをし始めてから上の子がいつも先回りして結論を話してしまうのです。
せっかく今次の言葉をだして話そうと思っていたのに、上の子に先に話されてしまったことで、下の子は口をつぐんでしまうということがよくありました。(今でも時々あります。)
そういう時は下の子が話せるように「ちょっとまって」と上の子を制止してもう一度下の子に話してもらうようにし、ママ・パパは聞いてるよ〜ということを伝えました。この聞いてるよ、という姿勢が大事ですね。
4.病気、症状
聴力に問題があると言葉を聞き取ることができず、言葉がでてこない原因になります。
難聴や滲出性中耳炎の可能性もあります。早めの受診が大事ですので、1歳半検診やそれ以降も少しでも気になることがあれば専門家に診てもらいましょう。
以下に独立行政法人国立病院機構 東京医療センターの幼小児難聴についてのチェック項目があるサイトを紹介します。参考にしてみてください。
幼少児難聴とは?
5.発達障害
言葉が出てこない要因の一つに発達障害があります。これは脳の機能性障害です。発達障害はおおきなくくりで、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害などがあります。
この場合、言葉の遅れだけでなく以下のような様々な面の特徴があります。
- 目を合わせない
- 抱っこがきらい
- オウムがえし(質問内容をそのまま繰り返す)
- クレーン現象(自分で指差しせずに他の人の指や手をつかまえて指差しをする)
- 物を一列に並べる
- 人のやっていることに関心を示さない
- ある音や光に過剰に反応する
- 名前を呼んでも振り返らない
この他にも特徴はありますが、いくつかあてはまって心配な場合は、次にお話する相談先にいちど相談してみるといいでしょう。
子供の言葉がでない・少ない・遅いと思ったときの「相談先」
住んでいる地域の子育て支援センターなどがあります。1歳半検診や3歳児検診などを受けたところですね。
どこに相談すればいいのかまったくわからないという場合は市役所に聞いてみましょう。すぐに担当の窓口につないでくれるはずです。
・地域の子育て支援センター
検診などがない時でも、気軽に行くことのできる場です。個別に相談対応してくれるので、家庭の様子で気になる点はなんでも話してみましょう。
他にも
- 発達専門の小児科
- 児童相談所
- NPO団体
などがあります。
また電話相談ができるところもあります。
・児童相談センター 4152(よいこに)電話相談
東京都こども医療ガイド
相談する前に普段の様子などをメモしてから相談するとよいでしょう。動画を撮影して見せるのもよいですね。
まとめ
ここまで年齢別の特徴や関わり方、家庭でできることを紹介してきました。
慌てずに様子を見守り、あとになってそれまで悩んでいたのがうそのように言葉が溢れ出してきた、あるいは早期発見のおかげでその後療育等に通い改善されたと、色々あります。
どちらであっても、一人で抱えて悩まずに、まずは相談するところからがスタートです。そしてその子にあったよい方法が必ず見つかりますので、相談することも含めて、今、家庭でできることを試してみてください。